戦国武将の武田信玄に学ぶダメ社員の活かし方

臆病者でも使える人材として登用

 武田信玄が優れた点は、人使いの上手さにあります。信玄の配下には名将が多く集まり、後に「武田二十四将」と称される軍団を形成しました。人材を活かす術を示すものとして、次のエピソードが残されています。

 信玄の部下であった岩間という侍は、ひどく臆病者で戦争を嫌がる性格でした。ある日、無理矢理、戦場に連れて行かれようとした岩間は、馬の背にしがみつき「嫌だ!嫌だ!」と泣きわめきました。当然、周りの者たちは呆れ果て、一部の武将が信玄に「こんな奴は首にした方がいい」と進言しました。

 しかし、信玄は「臆病者にも使い道はある」と言って首にはせず、岩間を呼び出し、戦の間、館の留守番役を命じたのです。首にされると思っていた岩間は、信玄の心遣いに感動。留守を任された岩間は、館を清掃しようと思いつき、館中をくまなくきれいにしました。帰ってきた人たちは驚き、これ以降、岩間に文句を言う人はいなくなったと言います。

 これを現代に置き換えると、岩間は仕事がまったくできないダメ社員ということになるでしょう。しかし、ダメ社員であっても、仕事を最適化し責任感を持たせれば、有用な人材になるということなのです。

 武田信玄の人生には、現代にも通じる成功の原理があることが分かります。その普遍的な原理を探し求める姿勢が、教養人の第一歩となり、歴史を学ぶ醍醐味であるでしょう。

参考

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