お客様が認めなければ駄目なものは駄目

参考

   大川隆法 未来への羅針盤 No.287

 「軒下を借りて始めた商売はまず失敗しない」と言ってきたように、特に小さな会社が最初から博打みたいな先行投資を大きくやるということは間違いで、基本的には失敗する可能性のほうが高いです。無限の未来があるように見えることは多いのですが、独走態勢に入れるようだったら、もっと資金が豊富な同業他社が必ず入ってきます。

 ここまで一応考えて経営しなければ駄目なので、完全独走態勢に入るためには、オープンにしなければいけないところもあるけれども、秘さなければいけない部分もあります。これは”秘伝のタレ”とか”秘伝の製法”とかいう部分です。明かしてはいけない部分は、やっぱりあるんだということです。「何十年も研究していただかないとそうはなりませんよ」という部分は、やっぱり持っていなければいけないし、誰が見てもできるようなものであってはいけないところがあります。

  売り上げは「単価」×「数量」

 売り上げというのは基本的には「単価」×「数量」です。品数がA、B、Cと複数ある場合は、それぞれの単価が違い、百円、二百円、三百円とあるかもしれないけど、それが何個出たかという数量の問題です。だから、「単価」×「数量」です。品数が減れば、それぞれの品によって単価が違う部分が何件出たかということです。

 結局、自分のところが扱っている商品、あるいはサービスの単価に対し、何人がそれを使ってくださったか、買ってくださったかという数量が売り上げだということです。変動するものとしては、商品の単価の部分と、それを買ってくださる方、あるいは使ってくださる方の人数の変化。この二つが変動要因です。ここしかいじれないのだということです。

 だから、格安のものを扱う場合、割り引いて安くすることもありますが、単価だけ引いて、結局、数量が変わらなかったら、それはまったく損です。例えば、一個三百円のマクドナルドのハンバーガーを百円まで値下げしたら、単価は三分の一になります。その店に今まで一万人来ていたお客様が、三万人来るようになったら、売り上げは一緒です。単価を三分の一に下げたけれど、来る方は三倍にならなかった場合、二倍にしかならなかった、あるいは 1.5倍にしかならなかったなら、売り上げは減です。先行きは厳しい。その値下げ戦略は失敗したということでしょう。そういうことは言えます。

 あるいは、経営安定的に言うと、高付加価値のものをつくって、数量を無限に出すのではなくて、しっかり売り込んでいくというか、地道に売り込んでいくみたいなことが、成功するとも言われています。

 両方あるのですが、例えばセイコーみたいに、大量生産して安く高品質のものを出してシェアを取るというスタイルのものもあれば、高級時計みたいなものを裕福な層に上手に売り込んでいくような作戦もある。両方ありますが、単価と数量のかけ算が売り上げなので、これで計算しなければいけません。

 あと、これ以外で自分で努力できるものは何かというと、いわゆるコストの構造です。自分の会社のコスト構造を見て、いったいどういうコストでできあがっているかということです。

 店をレンタルで借りている場合の家賃、あるいは電気代、水道代から、従業員の給料、それ以外の装飾品とか贅沢品、原材料費、いろいろあるだろうと思いますが、そのコストの見直しです。コストを下げることはできます。

 

マスコミに取り上げられたときの注意点

 今、赤字のところはどうかということですが、赤字ということは、基本的にその業種、その業態において、お客様から見て、ほかのところよりも、優れているとは言えないという評価が出ているということです。だから、それは未来に生き残れる率が厳しいことを意味しています。黒字が出たとしても、儲かっているからその黒字部分をパーッと使ってしまえばいいかといえば、それは間違いで、将来のリスクに備えなければいけないということです。

 特に気をつけなければいけないのは、週刊誌とかテレビとか新聞とかで取り上げられることがあるのですが、マスコミは経営センスが悪いことが非常に多いので、彼らが取り上げるときは、経営的にうまくいっているかどうかということが見えているわけではなくて、経営的には実は悪い場合、要するに、身分不相応なことをやっている場合が結構目立つのです。

 身分不相応なことをやっていると、取り上げたくなって、それを取り上げる。そうすると経営者は脇が甘くなって、もっとやる気になって、もっともっとバブルが発生するんです。そして倒産するというパターン、これが多いのです。

 例えば、週刊誌などに取り上げられて、「こんな素敵なお店ができました」とか、「こんな高級なものができました」とかやられると、その一年後に倒産しているというのは、実によくあるケースです。彼らが見る目は、異常性がある場合にすごく目を引きつけられるのですが、倒産する場合も多いことがあるので気をつけてください。

 実際にいい店は、地味にコツコツと客筋を増やして、地味に売り上げを上げていく。とにかくリピート客が増えていくことが大事です。一見さんばかりだといつまで経っても大きくなりません。いくら広告しても一見さんしか来ないなら、それはもうほとんど意味がありません。

 リピーターが出て、繰り返し繰り返し来てくださるということは、それ自体が広告です。繰り返し来る方がいると、ほかの人を誘ってくださるのです。必ず「いいですよ、あそこは」と、言ってくれるので。そういうことはあります。

 

値決めは経営

 もう一つ知らなければいけないことは、「値決めも経営」なんだということです。値決めが経営だということを知らない人は多いです。

 値決めは部下がやるものだと思って、下のほうで適当に値段を決めたりすることが多いです。値下げしたり値上げしたり、適当にやっているのは間違いです。値決めは経営なんだということ。値決めを間違ったら倒産するんだということです。

 マクドナルドみたいなところでも、値下げして安いイメージをつくりましたが、「不良品だ」という噂まで入ってきたりすると、一番大きな原宿の旗艦店でさえ、閉鎖に追い込まれています。あれだけずっと優良企業と言われていたところでも、「値下げして、質が落ちたんじゃないか」と言われて、さらに中国あたりの工場で異物が入っていたとかいうニュースが流されたりしたら、あっという間に客が離れて、旗艦店でも閉めなければいけないようなことが起きる。ライバルはたくさんいますから、他のところで代替できてしまうので。今は好調でも、いつまでも続くかどうかは分かりません。

 「リピーターが来るようなことなども注意しなければいけない」のと、あとは「値決めも経営」だということを忘れないようにしてください。自分自身の値段、あるいは自分たちのやっていることのサービスの値段などはよく知っていなければいけません。

 ただ、値決めも経営ですが、その「値段」×「数量」が売り上げなんだということまで頭に入っていなければ、経営者ではないということです。あと、値段と数量との読み。これは読みですね。経営予測です。

 それからローコスト化は基本です。ローコスト化がサービスの減退や商品の質の減退になるなら、これは限界があります。できるだけそうしたものに影響しない部分でローコスト化できるかどうかを考えていくことから始めなければいけないということです。

 商品の味が悪くなったり、サービスが悪くなったりしたら、ローコスト化は駄目です。お客は増えているのに、従業員を減らしていけば、サービスは悪くなります。それで「収益が上がった」とか言っていたら、それはいずれ潰れます。そういうこともあるので、この辺の”変数”をよくよく見てやることが大事です。

 それから空いた時間をつくったら、次の「未来商品」というか、「未来サービス」というか、「次の仕掛け」というか、そういうものを考えなければいけません。これはやっぱり常に考えておかねばならないことだと思います。今はよくても、いずれこれが駄目になることもあるということ、次はどうするかも考えておかなければいけないということです。こういうことを参考にしていただければ幸いです。

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