企業の規範となり得る宗教経営の利点

 企業経営の上で、宗教に学ぶことができる利点とは何でしようか。

 『宗教と経営』では、5点指摘されています。

1 理想や信念

 理想を説かない宗教はありません。布教には理想実現に向けた強い使命感が欠かせませんが、これは企業経営にも転用できるものです。

 松下幸之助の有名なエピソードがあります。教祖殿を建築中の天理教の本部に訪れた時に、宗教的使命感が生み出す繁栄を目の当たりにしました。

 「われわれは、ともすれば自分のために商売をしている、というところに違いがあるのはなかろうか。」

 この時の経験をきっかけに、1932年、全社員の前で松下電器の使命をあきらかにし、第1回創立記念日としています。今日で言う「ミッション経営」の先駆けです。

 

2 目標設定

 どの宗教も伝道活動を行っていますが、漠然と行っているわけではなく、目標設定をしています。

 

3 ビジュアライゼーション(視覚化)

 理想実現の状態や目標達成の状態をありありと心のなかに描くのは、宗教ならではのアプローチです。

 

4 積極的行動

 伝道活動は、当然行動を伴うものです。キリスト教の宣教師のような命がけの伝道スタイルを見れば、企業の営業活動とは一線を画した行動力があることは理解できます。

 

5 説得力

 手に取って確認できる商品とは違い、宗教の場合は目に見えない功徳について説得しなければなりません。

 

 歴史的経緯からすれば、以上の5点は、企業経営の手法を宗教が使っているというよりも、宗教が使っていた手法を企業経営が違うかたちで活用していると見るべきでしょう。

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