経営資源を効果的に使う

 幸福の科学大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。

「「どのように経営資源を使うか」によって、勝ち負けは決まってきます。総花的に使えば、戦力が散り、どこでも勝てなくなるし、互いに相反する目的のために使っても駄目になることがあるのです。

 やはり、「どこに生き筋をつけるか」ということが必要です。

 さらに、負けた時には、撤退戦も必要であり、「最後は どこで譲るか」、あるいは、「どういう終わり方をするか」という考え方も非常に大事なのです。」(P-249~250)

 事業が大きくなってきたら、総花的にならないように絶えず事業全体の見直しを図っていく必要があります。その場合、自社の事業やサービスを「PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)」を使って分析する方法があります。

「どれほど強大な軍隊であっても、兵線が伸びきると危険です。いろいろなところで戦いを始めると勝てなくなります。先鋭部隊が集結して一気に戦えば敵を撃破できますが、部隊があちこちに点在すると、もともとは強い軍隊であっても弱くなってしまいます。」(『繁栄の法』P-201)

 特に不況期においては、安易な拡大戦略は命取りになります。経営資源を効果的に使っていく工夫が必要です。

「「魚は頭から腐る」と言われるように、会社が潰れるときは、たいていトップから腐っていきます。いちばん腐敗しやすいのがトップなのです。」(『智慧の経営』P-42)

 「トップが腐る」とは、必ずしも不正や経費の公私混同という意味だけではありません。トップが腐りやすいのは「情報」の部分なのです。情報が古くなって腐ってくると、智慧が出てこないので、会社が停滞してしまいます。したがって、「他の優れた会社はどうしているのか」「世間は今 何を求めているのか」など、いつも新しい情報を採り入れていかなくてはならないのです。

 また、これは、サラリーマンにとっての「生き残り戦略」そのものでもあります。知っている情報が新しく、大量であれば、経営者は重宝すること間違いなしです。

 

経営資源の集中

 経営においては、顧客ニーズに応えるにしても、内部管理を徹底するにしても、やるべき仕事は膨大になります。やりたいこと、やるべきことを全て同時に行うことはできません。

「経営者にとっては、「護るべきものは護り、捨てるべきものは捨てる」という考え方が非常に大事です。

 当会では、経営の考え方として、特に「優先順位が大事だ。『1、2、3、4』などと優先順位をつけ、順番にやっていきなさい」とよく言っています。

 ただ、これとは逆の発想ですが、やらないものの順位(劣後順位)を いつも考えておくことも必要です。「最後に回すのはどれか」ということも、優先順位と同時に考えておかなくてはいけないのです。

 とにかく、全部を同じように進めては駄目なのです。それで優先順位が要るわけですが、優先順位とは逆に、優先しない順位も考えないと うまくいかないことがあります。なぜなら、経営資源を集中投下しないと事業は成功しないからです。

 いろいろなところの顔を立てると総花的になります。

 企業の場合には、生き残りがかかっていて、最後は倒産が待っています。そのため、資金や人材、営業戦力の投入に当たっては、「何を優先するか」ということを考えなくてはいけません。」(『未来創造のマネジメント』P-60~62)

 「経営資源を集中投下しないと事業は成功しない」というのは鉄則です。

 たとえば、10憶円の利益を千人の社員で山分けしてしまえば、一人当たり百万円のボーナスで終わってしまいます。しかし、10憶円をそっくり新しい設備の投資に回せば、それが次の利益を生み出すことになります。

 しかし、それを実践できる経営者は少ないのが実情です。

一つは、社員に分けたり、値引きをして顧客に還元したりしたほうが、一見、喜ぶ人が多くなるように見えるからです。したがって、お人好しタイプや八方美人タイプの経営者は、ついばら撒いてしまうことになります。

もう一つは、富の集中は、もらえなかった人の不満を生むという面もあるからです。社員の突き上げ、組合の要求、世間の批判などに耐えかねて、経営資源の集中が出来なくなってしまうわけです。

したがって、明確な経営戦略のもとで、経営資源をどのような優先順位で投入すべきかを明確にしておく必要があります。気まぐれや思いつきでは経営資源の集中はできません。

 

やらないことを決めることも大事

 経営資源を周知佑して投入するためには、「何をしないか」を決めることも必要です。

「投入しないならしないで、投入しない順序も考えなくてはいけません。

 いい格好だけをしているわけにはいかないため、「投入しない」という結論も要るのです。「仕事がうまくいかないので、もっと人をくれ」「もっとお金があれば、もっと仕事ができるので、お金をくれ」などと言う部署はよく出てきます。「社長が陣頭指揮を執ってほしい。そうすれば立ち直れる」と言われることもあります。

 もちろん、人もお金もあればよいのでしょうが、他の部署.とのバランスを考えると、「この仕事は やめたほうがよい」ということもあるのです。

 「くれ、くれ」と言っているところでは、赤字だったり、仕事がうまくいかず、同業他社に負けていたりすることがよくあるので、「そもそも、この仕事をやめたら どうなるのか」という発想もあるわけです。

 その仕事をやめれば、その部署の人員やそこに投入しているお金を、もっと儲かっているところに投入することも可能なのです。したがって、「くれ、くれ」と言っているところには、逆に「人もお金も与えない」という判断もありえます。さらに、「この仕事は要らないのではないか」という発想も常に持っていなくてはなりません。「今まであったのだから、なくすとかわいそうだ」という考えではいけないのです。

 「どの部署も発展したがっているだろうから」と考えて、同じように扱っていると、やはり無駄が生じます。「人を与えない」「お金を与えない」「仕事を与えない」という判断もあるのです。一度、これを考えてみないと駄目です。

 要するに、総花的、八方美人的な経営は失敗しやすいので、このへんの絞り込みに関しては、経営者の力量が問われます。「ここに会社の経営資源を投下する」と決めることも大事ですが、「やらない」と決めることも大事なのです。」(『未来創造のマネジメント』P-62~64)

 「富の分配」は貧しさを生み、「富の集中」は豊かさを生みます。心のなかにある優しさや弱さが、必要以上の「富の分配」に向かわせることがあります。注意が必要です。

 

最も貴重な経営資源は「知識」

 大川隆法総裁は、『社長学入門』で以下のように説かれました。

「経営資源にはいろいろなものがあります。例えば、鉄鉱石、石炭、石油、天然ガスなど、物としての経営資源は当然あります。しかし、これから先、現代から未来社会において、最も豊富な経営資源は何かと言うと、それは知識です。これは間違いありません。知識だけは どんどん増え続けています。知識は新しい経営資源として無尽蔵なものなのです。」(P-24)

「現代のマネジメント理論によると、「上手なマネジメントをすることによって、富の総合計が増える」ということが分かっています。それは、ここ二百年ぐらいで発見されたことです。

 要するに、「一人ひとりがバラバラに働いていれば、その労働力の合計以上の生産物を期待することは出来ないが、みんなが智慧を集めて良い仕事をすれば、一人ひとりがバラバラに働いて得られる以上の富を生み出すことが出来る」ということです。これは近現代の特徴です。

 例えば、一人ひとりが鉄鉱石から鉄をつくろうとしても、それほどはできません。また、その鉄で物を作るのも、なかなか大変です。しかし、資本金を元にして会社をつくり、大勢の人を雇い入れて、分業体制で行うならば、個人がバラバラに鉄製品をつくるよりも遥かに良い出来栄えのものが大量にできます。それによって得られる収入は大きいのです。」(『社長学入門』P-27~28)

 分業体制による生産性の向上を指南したのは アダム・スミスである。

 労働の生産力の最大の改良と、それがどこかに向けられたり、適用されたりする際の熟練、腕前、判断力の大部分は、分業の結果であるとされる。

 この分業の生産性向上に磨きをかけたのが、フレデリック・テイラーである。

 テイラーは、「どの職場においても、働き手は見よう見まねで作業の詳細を覚えるため、個々の作業にいくつものやり方が生まれる」が、そのなかで「最善の手法や道具を見つけたり発明したりするには、全ての手法と道具を対象として、科学的な研究や分析を行い、併せて緻密な時間・動作研究を行うしかない」と考えて、「科学的管理法」を提唱した。

 テイラーが知勇信となって推進した生産性の向上を「生産性革命」という歴史的事件として扱ったのが ドラッカーである。

 テイラーが知識を仕事に応用した数年後には、肉体労働者の生産性が年率 3.5%ないし4%

で伸び始めた。この数字は、18年で倍増することを意味した。その結果、あらゆる先進国において、テイラー以降 1993年までに生産性が50倍に向上したという。

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