大企業に必要な考え方

 大企業になれば、中小企業とは違ったかたちでのマネジメントが必要になります。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『宗教と経営』で以下のように説かれました。

「大企業のマネジメントとは、要するに、マネジメント層、経営層の人たちが、人を使って成果をあげ、結果を実現することです。これが大企業の条件であり、これができない場合には、限りなく一人会社に近い企業になるのです。

 「いかに社長が働くか」ということだけであれば、それは一人会社に近いものであり、プラスアルファとして事務員が多少ついているぐらいの会社になってしまいます。

 大きな会社になっていくにつれて、マネジメントが必要になり、「マネジメント層の人たちが、人を使っていかに成果をあげるか」ということに重点が移っていくのです。「自分がいかに働くか」ということから、「人を通じて、いかに仕事をするか」という方向に移っていかなければならないのです。

 したがって、重役会ができる段階になると、社長の仕事も、「重役層を使って、いかに仕事を実現していくか」ということを考えます。これが大企業の遺伝子です。」(P-95~97))

 

大きな組織で起きる無能の連鎖

 優秀なリーダーを組織が得ることが難しいのは、優秀な人材がいたとしても、真に優秀な人材は往々にして評価されないことがあるからです。

 また、大きな組織になると、知らず知らず 優秀な人材を排斥したり、取りこぼしたりするだけでなく、無能な幹部が無能な人を引き上げるという悲劇が生じることがあります。

 大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。 

「大きな役所や銀行、あるいはそれに匹敵するような大企業の場合、いちばん恐るべきこととして、よく「無能の連鎖」というものが起きます。

 大きな組織ほど、将棋の駒を積み上げたピラミッドのような形になっていて、「崩れないように、崩れないように」と誰もが考えます。そして、上の者は、自分の地位を安定的に長く保つために、自分を脅かさないような人を下に持ってくるのです。そのほうが楽なので、どうしてもそうなります。そうすると、これは どの業種でも見られることなのですが、自分より無能な人を引くのです。「役員は、自分より無能な部長を引き、部長は自分を脅かさない課長を引き、課長は自分を脅かさない係長を引く」というようなかたちで、無能な人を引く傾向がどうしてもあります。

 上の人にとって 一番楽なのは、自分の後輩を引いてくることです。そのため、そういう人を連綿と引いてくる場合があります。例えば、同じ大学の同じ学部の後輩、ゼミの後輩、あるいは何らかの意味で先輩・後輩の関係にある人を引きたがる傾向があるのです。

 また、体育会系の人には、「上に対してはペコペコし、下に対しては厳しい態度を取る」という人がよくいるので、そういう系統の人材を好む場合もあります。」(P-295~298)

 

嫉妬心の克服がないと組織は崩壊に向かう

 優秀な人材を引き上げるには、「嫉妬心」の問題を克服する必要があります。

「若くて優秀な人を遠ざけたり、そういう人に嫉妬したりしたくなる気持ちは、人間には本能的にあると思います。しかし、発展する組織を目ざそうとするならば、そういう部分は克服しなくてはなりません。

 そして、発展を目ざさない組織は必ず死滅するのです。

 「会社の寿命は三十年」とよく言われますが、「自分は長く勤めようと思っても、会社のほうがなくなってしまう」ということが 今は普通です。勤めている会社が三十年も続けはよいほうで、競争の激しい業界やベンチャー系企業の業界では五年と続かないことも多いのです。

 会社の寿命が三十年ということは、なかなか定年までは勤められないことを意味しています。「新卒で入ったけれども、定年まで勤めないうちに会社が潰れてしまう」というのは、ごく普通のことなのです。

 したがって、少なくとも自分が勤めている間は、会社が潰れないように努力をしなければいけません。

 自分の嫉妬感情を抑えるとともに、組織を補強する人材を絶えず入れて、育てていくことです。会社が大きくなっていこうとするとき、そういう組織の遺伝子ができないと、組織は崩壊に向かっていくのです。つまり、優秀な組織になればなるほど、「嫉妬心をどう克服するか」ということを、人々が文化として共有できなければいけないのです。

 また、上の地位に行けば行くほど、より公的な目を持ち、組織そのものの成長・発展を喜ぶ気持ちを持つことが必要です。そうでなければ、自分を脅かさないような人ばかりを引いてしまい、どう見ても会社は左前になって、結局潰れてしまうのです。

 役所や銀行と違って、比較的 個人の能力を重視する商社であっても、会社が大きくなって長くなると、やはり そのような傾向は出てきます。

 組織というものは、嫉妬心などの個人の気持ちを抑えて、永続性を目指していかなければならないのです。」(『未来創造のマネジメント』P-298~302)

 

脱皮できない蛇は死んでしまう

 規模が大きくなるたびに、あるいは成長に限界が訪れるたびに脱皮する必要があります。「脱皮できない蛇は死んでしまう」という言葉を肝に銘ずる必要があります。

「一億円企業には一億円企業の行動の仕方、組織の活かし方、判断の仕方が当然ありますが、「百億円企業になったら、いったいどうなるか」、あるいは「一千億円企業になったらどうなるか」、それを思い浮かべられるようでなくてはなりません。

 「わが社は百億円企業になったら、このようになるだろう。この程度の工場を持ち、このくくらいの従業員を持っているだろう。多分、こういう所にまで支社を持っているだろう。従業員はこのくらいいるだろう。銀行からの借入金はこの程度あるだろう。広告をこの程度打っているだろう」ということが ありありと思い浮かべられるようでなければ、相も変わらず、一億円企業のままで続いていくことになります。

 一億円企業の社長としての意識しか持っていない人は、一億円企業のままで終わり、伸び率もGDP(国内総生産)と同じぐらいしかいきません。GDPがゼロ成長であればゼロ成長、マイナス成長であればマイナス成長、三パーセント成長なら三パーセント成長です。だいたい、「一億円プラス・マイナス GDP成長率」くらいの業績で企業が続いていくのです。

 自分の企業をそのようにしか思えない人にとっては、一億円企業でずっとやっていくことも一つの幸福でしょう。

 しかし、自分自身が、十億円企業、百億円企業、一千億円企業のイメージをありありと描くことができ、その実現を信じることができ、「それを実現することは多くの人の幸福につながる」ということが確信できて、その事業を成し遂げることに強い使命感、信念を感じるのであれば、それを達した姿を心に描くべきです。

 そして、それを受け入れる訓練をしなければいけません。その姿を心に受け入れ、描き続けることが大事です。

 心に受け入れていくと、だんだん ものの考え方が経営規模に合わせて変わっていきます。経営規模に合わせて考え方を変えられない人は、事業を大きくすることはできず、事業は自分の器以上のものにはならないのです。」(『宗教と経営』P-31~34)

「経営者や経営陣にも、成長しなくてはいけないところがあるのです。

 それについて、的確な教科書となる著作等はあまりないのですが、経営指導をしているような人が、たまに いろいろと厳しいことを言ったり書いたりしてくれる場合があります。また、経営者で、だいたい自分の代の終わったような人が書いた自伝を読み、「こんなことがあったのか」と思って、自分の過去の事例を反省することもあります。

 会社を一代で大きくしていく場合には、知らないことはたくさんあります。ただ、目には見えませんが、「組織」「売上」「従業員数」「資金」などの規模が一定のレベルを超えたときには、考え方を変えなくてはなりません。もっとも、それをタイミングよく見抜くのは なかなか困難なことなのです。」(『経営者の次なる一手』P-108)

 

何のための商売だったのかという原点に立ち帰る

 人の扱い方のほかにも、会社が成長していく時の注意点がある。

 内部管理の問題である。規模が大きくなるにつれて組織づくりは必要になるが、かといって、組織づくりという内向きの仕事に熱中し過ぎてもいけない。

「社員数が五十人から百人、そして 三百人ぐらいになる段階で、経営者は組織をいじり始めて、原点である「商売」を次第に疎かにし始めるのが この頃なのです。

 そもそも、何のために会社を運営しているのかが分からなくなってきて、会社の内部の組織づくりに専念し始めます。そうすると、売り上げが下がったり、収益率が低下したりします。

 このときには、「何のために会社をつくったのか」ということを もう一度考えなければいけません。そうしなければいけない時期が必ず来るのです。

 会社をつくったのは、やはり、お客様に奉仕することが目的だったはずです。お客様あっての商売なのですから、その原点に立ち帰らなければいけません。」(『経営入門』P-196~197)

社長の仕事は「事業の経営」であって、会社の内部を管理することではない

組織カルチャーをどうつくるか

 組織ができたら、次は組織文化をつくっていかなければなりません。

 総裁は、『常勝の法』で以下のように説かれました。 

「組織というものは大勢の人でやっているので、一人の人が物をつくるところから、それを最終的な消費者、エンドユーザーに直接得るところまで、全てをやることはできません。個人発売であればそれはできますが、何十人、何百人、何千人の大きな組織になると、製品をつくる人とそれを売ろうと計画する人と、流通に乗せる人と、末端で売る人が、まったく別の人なので、組織全体がよいレベルで文化を共有していないと、思うような成果はあがらないのです。

 したがって、最終消費者に渡るまでの過程に関係している人全員の意識が活性化している必要があります。全員の頭がしっかりしていなければならず、社長の頭だけがフレキシブルでもだめなのです。

 会社のなかが官僚組織のように硬直化していて、お客様のクレームが来ても、まったく反応せず、ただただ物を押し付けるような組織になっていたならば、それは付加価値を増やすどころか、どんどん減らしていることになります。」(P-204~205)

 この組織カルチャーの発信源は、社長を中心とする経営陣です。これは、個人レベルではなく、組織のレベルで、「積極的なイメージの力」を使っていくということです。「組織レベルで想念の力を管理する」ということです。事業を成功させる力として「想念の力」があります。この想念の力を、「一人だけではなく、複数の人の積極的イメージの力を使っていく」ということです。

 

急成長による倒産を防ぐために

 成長した解きの落とし穴というものもあります。創業の苦労が実って、経営が軌道に乗ってくると、いわゆる イケイケドンドン で怒涛の快進撃を続けたくなるものです。しかし、そこに次の失敗の原因が潜むことがあります。

急成長を目指すだけでなく、踊り場をつくることも必要

 規模が大きくなったら、規模相応の考え方、組織に切り替えていく必要が生じます。急成長すると、慢心して冷静な判断が出来なくなるなどのケースが多いので、戒める必要があります。特に、きちんと利益を伴うかたちでの「成長」なのか、実は見せかけだけの売上だけが上がっている「膨張」なのかの違いは、注意深く見極める必要があります。

 大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。

「もう一つ、経営者が知っておかなければならないことは、「企業の成長には『踊り場』がある」ということです。

 この「踊り場がある」ということ、あるいは、「踊り場があるべきだ」ということを知らないがために、会社が潰れることも多いのです。

 例えば、たまたま製品がヒットすることがあります。時代環境によって追い風が吹き、急激に売り上げが伸びたため、「従業員を増やしても、工場を増やしても、生産が追い付かない」ということもあるのです。

 そのようなときに、一直線に伸びていくような幻想を抱きやすいのです。「まだまだ無限の可能性がある」と思って、ガーッと突っ走ってしまい、それで潰れることが多いのです。

 経営指標は「売り上げ」だけではありません。「毎年、倍々ゲームで売り上げを伸ばす」「二割、三割伸ばす」「五割伸ばす」というように、単に売り上げを伸ばすことだけが目的で経営しているわけではないのです。

 また、「利益」だけを目的に経営をしているわけではありませんし、「支店数」だけを目標に経営をしているわけでもありません。経営においては、いろいろな指標をトータルでバランスさせて運営することが大事なのです。

 経営にはバランスが必要であり、ある部分の調子がよかったとしても、「全体のバランスが崩れたら潰れる」と考えてよいでしょう。」(P-155~156)

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