「生産」「販売」「経理」のバランス

 順調に売上が拡大しながら倒産してしまうのは、急成長をすると企業はバランスを崩しやすいからです。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。

「新しく起こされた企業の七割、八割は、物づくりを中心とした技術系です。あとの二、三割は、サービス系や既存のものを売る販売系などですが、たいていは技術者なのです。

 技術系の企業における初期の段階の経営は、まず生産です。要するに、技術を使って物をつくることです。次に販売です。それから経理です。初期の経営にはこの三つがあります。

 大多数は、従業員が五十人以下の企業だと思いますが、従業員が百人ぐらいまでの間は、「生産」「販売」「経理」の三つのトライアングルが安定していないと潰れるのです。

 技術系企業の社長は、アイデアマンの技術者であることが多いので、何らかの技術を開発し、それに基づいて新技術が出来たりするのですが、いくらよいものをつくっても、例えば販売力が弱ければ、その商品は無駄死にします。つまり、良い商品でも、それを売る組織に十分な販売力がなければ、商品が無駄になってしまうのです。本当はもっと売れるはずのものが小さな範囲でしか売れず、かかった開発費を回収できずに潰れることがあるのです。

 また、生産と販売がよくても、経理のほうが駄目だったら、よく売れていても潰れることがあります。これは「黒字倒産」と言われるものです。確かに売上は増大しているし、支払手形を切ったり、受取手形を貰ったりして、帳簿上は儲かっているはずなのに、実際には現金がなくて潰れることがあるのです。

 普通は赤字で倒産するものですが、黒字でも倒産することがあるのです。特に急成長企業の場合は、黒字倒産に気を付けなければいけません。

 黒字倒産をする場合は、たいてい「生産」「販売」「経理」のバランスが悪く、社長の目が技術や生産のところばかりに向いていたり、あるいは、社長が営業・販売系出身で「とにかく売上さえ増えればよい」と考えていたりします。このように、見えていない部分があるために黒字倒産するのです。したがって、「生産」「販売」「経理」の三角形が釣り合っていることが必要です。

 ただ、実際上、それはなかなか出来ることではありません。商品がヒットすると、どうしてもそのことに夢中になってしまい、他の部分に目が行かなくなります。そこで、時々「踊り場」をつくる必要があるのです。

 三年ぐらいグーッと成長したら、そのまま伸びていきたいところですが、一年ぐらいは少し我慢して、組織全体のバランスが取れているかどうか、新しい人材の教育が出来ているかどうかなどを確認しなければいけません。」(P-157~161)

 経営のバランスを欠いて黒字倒産に至るのを防ぐには、財務の勉強が必要になります。

 費用をかけてものが売れなければ、勿論潰れますが、売れても潰れることがある。ここが、財務が分かっているかどうかのところなのです。

 経営コンサルタント・田中要人氏は、企業には、「商品の構成」「設備の構成」「業務組織」「資金の構成」の4つの基本構造があると指摘した上で、そのバランスの大切さについて次のように述べています。

 「肝心なことは、それぞれ4つの基礎構造は、相互にバランスよく、動きのよいように選定・工夫されているということである。特に、商品構成を除いて、他の3つの構造の中に一つでも不具合があると、破綻を招くものなのである。

 しかも、それぞれが、販売に、製造に、仕入れに、商売的に有効な実績をあげるようにすることが重要な条件となる。

 資金の構成が不足では、他の2つがよくても、全体の運用が拙くなってきて金繰りに詰まって黒字倒産するということはよく見られる例である。

 また、いかに有能な人材が揃っていても、それに合った設備が不十分では、その効率は発揮されない。また、十分に動かしていける人材が揃っていなければ、その設備も金も十分に運用できないことになる。

 大企業の失敗は、大きすぎて全体の釣り合いが十分につかめず、採算を誤るということから ほとんど生じてきている。

 いつのまにか、設備の過剰と不足、組織及び人員の面での過剰と不足、そして資金の不足からくる財務内容の不備・不十分から破綻をきたし、また、業務全体からの不採算となって慢性の赤字体質となってしまう。これに耐える余力があれば別であるが、急に大きくなったような会社は、耐久性に乏しいから、ひとたまりもなく倒れてしまう。

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