黒字体質をつくる

利益は企業存続のための必要コスト

 宗教的人格を持った人は、「利益」や「黒字」にネガティブなイメージを抱きがちです。キリスト教、仏教、イスラム教などの世界宗教でも、お金儲けに否定的なスタンスを取る場合が少なくありません。しかし、現実には、宗教でも信者を布施を集めて運用することは古くから行っています。組織の運営には経済的な原理が必要となるからです。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。

「利益というものを「欲」と捉える考え方もありましょうが、企業のレベルで見ると、やはり、利益というものは、単なる欲望ではなく、企業体としての会社が生き延びていくために どうしても必要なコストであるわけです。

 利益を持っていることは、一種の保険のようなものであり、利益が出なければ、それは やがて会社が潰れていくことを意味するのです。一定の利益幅があることによって、例えば、設備投資が出来たり、新しく工場をつくれたりしますし、あるいは、突如経済変動が起きて不況になったとしても、それに耐えて生き延びることができます。利益には そういう保険の価値があるので、それ自体を悪と考えてはいけないのです。

 ピーター・ドラッカーは、いみじくも、「いかなる天使が経営管理者になったとしても、利益というものを無視することは出来ないだろう」ということを述べていますが、その通りでしょう。利益の部分を無視したら、企業が生き延びることはできません。」(P-139~140)

 「利益=害」と考えると、「黒字=害」になってしまいます。しかし、経営者は、「赤字=害」と考えなければなりません。松下幸之助も「赤字は悪害」という考え方を持っていました。

 「企業が赤字なれば、これは単にその会社の損失というにとどまらず、社会的に見ても大いなる損失である。赤字を出したからといって、その企業が法的に罰せられることはないが、私は、その会社に対して、一つの過ちを犯したのだという厳しい自覚をもって然るべきだと考える。」

 ドラッカーも、利益の必要性を次のように指摘しました。

 「利益は、個々の企業にとっても社会にとっても必要である。しかし、それは、企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。」

 一倉定氏は、さらに具体的に利益の大切さを説いています。

 「会社は、どんなことがあっても絶対につぶしてはならない。それが社会的責任である。

 その社会的責任とは、一つは「社会に富を貢献する」ということであり、もう一つは「社員の生活を保障する」ということである。

 しかし、これは容易なことではない。様々な危機が あとからあとから押し寄せるからである。これらの危機を次々と乗り越えていくためには利益が必要である。したがって、「利益とは事業を存続させるための費用である」ということになってしまう。」

 

新しい価値を創造するための方法

 利益を生み出すには、価値を創造し続けなければなりません。そのためには どうすればよいでしょうか。

「企業には黒字体質が必要ですが、これは、デフレ基調のなかでは基本的に「付加価値」の問題になります。この世に今までなかった「新しい価値」を創造するということです。

 製品でいえば、「新しい技術を含んだものをつくっていく」ということです。そして、その新しい技術を含んだ製品を、「他社が出来ないような安いコストでつくっていく」ということも付加価値を生みます。

 また、サービスであれば、「今まで誰も考えたことがないような より一層きめの細かいサービスをしていく」というようなことでもありましょう。

 付加価値を生むためには、常に「何か新しいものをつくり出そう」という気持ちを持たなければ駄目なのです。

 したがって、企業のトップ、あるいは重役陣等は、常に「新しいアイデアはないか。今まで誰も気が付いていないようなものはないか」ということを考え続けなければいけません。

 そのためには、メモ用紙やノート類を いろいろな場所に置いておき、何か思いついたときに書き留めておくことが大事です。そうしないと忘れてしまいます。お風呂場であろうが、トイレであろうが、寝室であろうが、いろいろな所でメモを取れるようにしておき、忘れないうちに パッ と書き留めることです。

 また、人と話をしていても、参考になることがあったら、パッ と書き留めておかなければいけません。」(『未来創造のマネジメント』P-142~145)

 

税金を払いたくないばかりに赤字をつくっていないか

 「智慧の経営」を妨げる2つ目のパターンは、「税金を払いたくないので赤字をつくる」ことです。大川隆法総裁は、これに対し、「『黒字をつくらなくてはならない』と、自らを厳しく戒めなくてはなりません」と述べております。利益が出た時に、顧問の税理士から「経費を使いなさい」と言われることもあるでしょう。「車を買いなさい」とか「社屋の補修をしなさい」など、要らないものを買うように言われます。その時に、「むしろ、黒字をつくって会社を安定させるべきではないのか。社会貢献していくべきなのではないか」と考えていただきたいのです。

 きれいごとを言っているわけではありません。そうすることが、会社の発展にはどうしても必要だからです。経営者の判断によって会社のカルチャーが決まります。よい種を撒けば、それが芽吹いて、将来良い結果がでます。悪い種を撒けば、それが育って、将来悪い結果が出ます。撒いたときには分からないのですが、花を咲かせたときに、「毒麦」か「美味しい麦」かの違いが出るのです。(参考『智慧の経営』P-45 46)

経営と真理 へ

「仏法真理」へ戻る