階層排除の理論

 会社が成長すると、組織が横に広がって事業部制などの分権理論が必要になるが、一方で役職などが増えて、組織は縦にも伸びていく。そこで必要になるのが「階層排除の理論」である。

縦の階層が長くなると無責任体制になる

 幸福の科学大川隆法総裁は、『社長学入門』で以下のように説かれました。

「縦の階層ができすぎると、この場合もまた組織が死んできます。トップのところに情報が来るのは最後の最期であり、判断ができないのです。

 例えば、20人が稟議書に判子を押さなければいけないとすると、17番目に判子を押している人は、本当に判断しているかと言えば、していません。「自分のあとに3人いるので、その人たちが判断するだろう」と思っています。18番目の人は判断しているかといえば、やはり していません。「19番目の人が判断するだろう」と思っています。

 では、最後の20番目の人は判断しているでしょうか。20番目の人は、「1番目から19番目までの人が判子を押したのだから、間違いないだろう」と思っているのです。結局、誰も判断をしていないわけです。

 したがって、縦の階層を長くすると、無責任体制になりやすいのです。

 これが、「判子が1個で済む」ということになると、その人の責任が明確化します。

 GE(ゼネラル・エレクトリック)という大きな会社でも、やはり、そういうことがあったようです。現場の工員は、作業をしていると、だんだん手袋が擦り切れてきて、新しい手袋が欲しくなります。ところが、GEでは、「申込用紙に記入して、判子を3つもらわなければ、新しい手袋はもらえない」というシステムになっていたのです。そうすると、新しい手袋をもらうためには、いったん機械を停めなければならないわけです。GEの社長は、それを指摘されて、「なぜ、そんなことになっているのか」と思い、調査したところ、「昔、手袋が1ダース箱ごと無くなったことがあり、それ以降紛失を防ぐために、きちんと申込用紙に書かないと もらえないようにした」ということだったのです。

 これはものすごく無駄です。判子を押す仕事も無駄ですが、現場の作業がストップしてしまう点でも無駄です。

 それで、結局どうしたかと言うと、作業をする人の近くに手袋の箱を置いておくことにしたのだそうです。

 笑い話のようですが、組織が巨大化してくると、必ず作業の効率が落ちるようなことをたくさんするようになるのです。

 役所は特にそれが多いのです。何か失敗があると、「監督する」と称して人が増えたり階層が増えたりします。

 そういうことは起きがちなので、判子をたくさん押すような縦のラインが長くなったときには、時々階層を減らさなくてはなりません。そうしなければ、「その人がいないと何も進まない」というようなことが起きるのです。」(P-167~170)

 

できるだけ階層の少ない組織をつくる

「階層は出来るだけないほうがよいのです。出来るだけ階層のない組織をつくらなくてはなりません。

 この10年ぐらい、大きなところほど組織のフラット化の動きが非常に激しくなっています。そうしないと生き残れないからです。

 そのため、中間管理職はなくなる方向、死滅する方向に動いています。

 結局、判子を押すだけのようなセクション、「上の目が届かない」という理由によって存在できていたセクションは、電子メールなどが進歩してくると、だんだん死滅していくことになるのです。

 世の中が便利になってきたため、「途中で鞘抜きをする」ということは極めて困難な時代になりつつあります。そのことを知らなくてはなりません。」(社長学入門』P-171~173)

 

セクショナリズムの克服

 他人に関心がなく、他部署と軋轢を生む人は、いわゆる「セクショナリズム」の問題かと思います。どの人も「自分が仕事で専門としてやってきたこと」は詳しく知っており、部下を指導できるのですが、「他部署が何をやっているか」はなかなか分かりませんし、お互いの連絡もしにくいものです。

 全体的な幹部になる人には、できるだけいろいろなところを経験してほしいのですが、なかなかそうはいかないところもあります。

 ですから、自分のいるところで学び切れないところは、何らかの“補習”が要るということは知っていなければなりません。「自分たちの仕事以外のところがどうなっているか」ということを補完し合える関係をつくっていかなければいけないと思います。

 どうしてもセクショナリズムは出るのですが、「もう一つ上の立場だったら、どういうことを考えなければいけないのか」ということを常に考えていれば、「お互いに連絡し合っておいたほうがよい」ということは分かるはずです。

 やはり、「どこかを打てば、必ず響いてくる組織」というものが よい組織なのです。

 組織には、「個人でやるよりも、何倍もの大きな力になって動いていく」という面がなければいけません。そのへんをもっと研究していくことが大事です。(2017.9.9 法話「人望力の伸ばし方」質疑応答より)

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