劣後順位を決める判断力

 経営者にとっては、「護るべきものは護り、捨てるべきものは捨てる」という考え方が大事です。ただ、これとは逆の発想で、やらないものの順位(劣後順位)をいくつも考えておくことも必要です。

 例えば、「マーケット規模が5000憶円以上のところには絶対参入しない」とか、「世界ナンバーワンの商品が持てるようなところ以外は参入しない」といったように、「これは絶対にやらない」ということを決めておくことが重要です。やらないものの順位のことを「劣後順位」と言います。

 「集中戦略だ」と言いながら、いろいろな事業に目移りするのは矛盾します。経営資源を集中するには、「このような事業には参入しない」という劣後順位を決めることも重要なのです。

 経営理念や経営者としての大きなものの考え方に基づいて、企業のなかで、そのつど「取るべきもの」と「捨てるべきもの」を必ず決めなければいけなくなります。経営者であれば、痛みを伴う判断をしなくてはなりません。人から嫌われたり、恨まれたりすることに対して抵抗力を持たなくてはならないのです。その決断が出来なければ、基本的には経営者が責任を回避したことになります。

 切らなくてはならないものとしては、「無能になった人を切る」「利益の出ない商品やサービスを切る」、あるいは「投資でなく浪費になっている支出を切る」「時間の無駄遣いになっている習慣を切る」などといったことが考えられます。その時には痛みを伴いますが、勇気を持って判断してください。

 これが出来なくて倒産していく会社がたくさんあります。「今は無能になったけど昔お世話になった人」「今は利益が出ないけど、以前社業躍進の立役者だったという思い入れのある花形商品」など、心情において切るに忍びないものはたくさんあります。しかし、それを切らなくては会社全体が沈む場合には、決然として切らなくてはなりません。

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