デフレ時代の市場戦略

安く仕入れて原価を下げる

 デフレ下では、常に値下げ圧力との戦いになります。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。

「デフレ基調なので、「基本的に商品は値上がりしない」と思ってください。

 メーカーであれば、商品の値段がどんどん上がっていけば ぼろ儲けとなりますが、基本的に値上がりはせず、逆に値下がりしていく傾向にあるのです。したがって、「現時点では この値段で売ると赤字になる」というぐらいの販売価格で売っても、利益が出るようなしていかないと潰れるということです。

 同業他社が激しい競争を仕掛けてくることもありますが、顧客のほうも、「物の値段は下がって当然だ」と思っています。ですから、現時点で「赤字になる」と思うぐらいの販売価格で売れるように企業努力をしない限り、生き残れない時代だと思ってください。

 そのためには どうしたらよいかということですが、考えるべきことは、まず仕入れの値段を下げることです。仕入れのほうを一生懸命叩くなり、安い業者から仕入れるなりして、原価を下げなければいけないのです。

 仕入れの部分で「大名商売」をしていたならば、それを考え直し、どのようにして安く仕入れていくかを考えなければいけません。」(P-125~126)

 高付加価値戦略であっても、値下げ圧力は容赦なくかかります。付加価値を高めれば、高い値段で売れるとは限りません。むしろ、安いのに付加価値が高いことが求められます。その意味で、常に「もっと安く仕入れる方法」を考えなければなりません。

 

中抜きされている部分を外す

 会社全体の生産性を上げるという点で言えば、流通の無駄をなくすことも求められます。

 大川隆法総裁は、『未来創造のマネジメント』で以下のように説かれました。

「販売網についても無駄を削る努力が要ります。途中に何段階もあるようでは駄目です。不況期には直接販売をするに限ります。最終消費者に出来るだけ近づかないと、利益幅が小さくなるので、なるべく直接販売に切り替え、中抜きを減らす努力をしなければいけません。

 また、不況期には、出来るだけ仕入を安くすることが必要ですし、売るほうでは値段を下げなくてはいけません。そうしないと売れないからです。売るほうでは利益がほとんどでなくなってくるため、可能な限り仕入れを叩き、安い仕入れ価格に切り替えていかなくてはならないのです。

 そして、流通の過程における鞘抜きを減らしていかなくてはなりません。

 こういう努力が必要なのです。したがって、経営者は厳しくなくてはなりません。お人好しではいられないのです。

 取引先との付き合いは大事であっても、その取引先が削らなくてはならないところなのであれば、あまりお付き合いをしないほうがよいでしょう。

 「長年付き合ってきたから」と言って問屋を通すと、利益の半分ほどを持っていかれます。ですから、「あの取引先を外そう」と思っているのであれば、そういうところとは あまりゴルフなどをしないほうがよいのでする

 そういう意味での付き合いを削減することも大事です。」P93~95)

 小売りサイドから流通の中抜きを減らした代表的な事例は、ユニクロを展開するファーストリティリングです。実質的な創業者の柳井正氏は、中抜きを減らすビジネスをつくった意図について、次のように語っています。

 「従来の衣料品小売業界では、メーカーや卸業者の企画した商品を選択仕入し、「委託販売」する方式が一般的であった。委託販売方式は、使用品が売れ残れば返品可能で、小売業者にとってリスクが少ない半面、リスク回避の分だけ仕入原価に上乗せされるために、粗利益は低い。それを維持しようとすると、売値を高くせざるを得ない。結果、消費者は高い買い物をする可能性がある。また、商品企画がメーカーや卸業者主導になりやすいため、小売店舗での商品構成に一貫性がなくなり、かつ、販売価格もメーカーや卸業者の指示に従わざるを得ず、小売業者は自由な価格設定もできない状態だった。

 販売価格を小売店がコントロールするには、別注を増やすしかない。店舗数を増やし、バイイングパワーをつけるのと同時に、自主企画商品をメーカーへ製造委託する方式(=別注)をとるしかない。」

 ユニクロは、こうしてメーカーへ大量の製造委託を行うことによって、生産管理における主導権も握り、卸業者を外すことにより、低価格のわりに品質の高い商品を開発することに成功している。

 一方、メーカー再度から流通の中核を減らした代表的な事例は、パソコンの直販を行っている デル です。

 デルの直販方式は、単なる低価格の実現に成功しただけではなく、顧客の要望を直接聞き、その要望に合わせて製品をつくるというスタイルを生み出しました。その結果、顧客ニーズを間違えて大量の在庫を抱えるというリスクも回避できるようになり、急成長した。

 ユニクロやデルは、今日では誰もが知るビジネスモデルとなりつつありますが、流通の無駄をなくすことは、一つのビジネスヒントになります。「どこかに無駄がないか」という視点で、日頃からアンテナを張っておく必要はあります。

「流通の段階で中抜きをされ、利益を採られている部分を極力外していくことが今後の流れです。デフレ基調下では、最終の値段が下がらなければ物は売れないので、流通の途中で問屋や取次などをいろいろ通し、二重にも三重にも中抜きされているようでは駄目なのです。

 このことは、中抜き業者にとっても死活問題です。これからは、そういう中抜き業者が潰れていくのが基本的なトレンドなので、生き残るのは大変です。なかを取り次ぐときに付加価値を生み出せなければ、基本的には潰れていくということです。

 メーカーとしては、問屋や取次を通しているようでは、やがて潰れるのは間違いありません。最終ユーザーに商品を直接送り届けるのが今の流れであり、そのようにして中抜きを減らせば、定価を下げても利幅を確保できるわけです。さらに、仕入れ原価を叩いて下げていき、利益幅を増やすことも必要です。

 お客様から見れば、値段が安くなるのは有難いことですが、「二千円のものを千円に」、あるいは、ユニクロ風に「五千円のものを千円に」というような商売をしていくと、そのままでは普通の企業は倒産になります。

 そのように、以前なら大赤字が出るような値段で商品を売っても、生き延びられるだけの工夫が必要なのです。そのためには、仕入れ原価のところを一生懸命に下げることと、流通経路のところで中抜きをできるだけ外し、直接 最終ユーザーに売り込んでいくことが大事です。

 さらに、販売を中心にしている企業では、「どれだけコストをかけずに、販売の実をあげていくか」という努力をしなければなりません。インターネットの利用なども考えていかなければならないでしょう。

 このように、時代の大きな流れとしては、最終製品の定価を下げていき、他社との競争に勝てなければ生き残れないということです。これが基本的な流れであると思ってよいのです。そういう努力をしないと、「明日のわが社はない」と考えてよいと思います。」(『未来創造のマネジメント』P-126~130)

 流通の中抜き部分を外す典型例は、PB(プライベート・ブランド)の開発です。PBとは、信頼と実績を有するメーカーのNB(ナショナル・ブランド)に対応する言葉で、一般に「自主企画商品」と呼ばれ、小売・流通業者が企画するノーブランド商品のことを指します。流通業界では、ダイエーが1960年から本格的に取り組んでいます。

 その意図を、ダイエーの創業者・中内功は次のように述べています。

 「単にメーカーが作ったものを仕入れ、販売するだけでは、価格を大幅にさげることは出来ない。それなら、自分たちの手で「圧倒的な安さ」を前面に打ち出したプライベート・ブランド製品を作るしかない。」

 PBは、元々安売りのために始まった中抜き部分を外すためのモデルでしたが、近年では、安いだけのPBは競争力を失いつつあります。そこで、NBと共同開発するかたちでのPBが投じようしています。その典型は、コンビニエンス・ストアのセブン・イレブンが開発する「セブンプレミアム」です。

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