デフレ下で繁栄するための戦い方

汗を流し、勤勉に働く

 幸福の科学大川隆法総裁は、『社長学入門』で以下のように説かれました。

「デフレの時代をもう少し感覚的に言うなら、それは「昔返り」であり、タイムスリップして、二十年前、三十年前に戻るような感じです。生活感覚は そのころに戻っていくので、その感覚をよくつかむことが大切です。

 その感覚をつかんだなら、やるべきことは何かということですが、知っておかなくてはならないのは、「楽をして高収入を得ていたようなもの、楽をして高い値段で高い売り上げを得ていたようなものが駄目になる」ということです。これは間違いないのです。

 つまり、「昔返りをする」ということは、「もっと まめに働かなければいけなくなる」ということです。そういう時代がやってくるのです。

 「楽々、悠々、ちょっと『右から左へ』と数字を操作しただけで儲かるような時代は終わりました」ということです。少し何か絡んだだけで、ちょっと中抜きをしたり、ちょっと数字を変えたり、何かしただけで やれたような商売はなくなっていきます。そういうものは淘汰されていくでしょう。

 まめに、勤勉に働く風潮になるのです。それが来なければ、デフレ下の繁栄というものはありません。

 「楽をして、たくさん儲ける」というのは無理になります。それから、「ちょっと中抜きだけをする」とか、「名前だけ貸す」とかいうような商売は駄目になります。実態が伴わなければいけなくなるのです。しかし、実態が伴う商売はなくなりません。

 もう少し汗を流してください。「汗を流さずして稼げる」というような考え方はやめてください。

 見栄や はったりのための商売は廃業なので、消えていきます。中身がなければいけません。「実態がある。必要があって、まめに働いている」、そういう商売はうまくいきます。」(P-201~205)

 厳しい時代であるが、努力が報われる時代でもある。昨今、「ブラック企業」といった言い方で、長時間労働に対する批判が高まっているが、それが「楽をしたい」という考えを正当化しているだけの場合は危険である。智慧が特に出ないならば、八時間労働は十時間労働に、十時間労働は十二時間労働に変えて頑張らないと、未来は開けないのです。努力の否定に通じる考え方には距離を置くべきです。

 

無駄を削り、全体のコストダウンをする

 智慧を使う戦い方としては、「徹底的なコストの削減」がある。

「従来のような右肩上がりの経済であれば、部品メーカーであろうが何であろうが、どこも増収していったのでしょうか。今はコストの見直しをしなければいけないのです。商品その他、いろいろな原価の部分について、メスを入れなければなりません。ここで徹底的にやらないと駄目になります。

 ガリバー企業であるパナソニックでさえ、大改革をしました。松下電器のとき、事業部制をとり、各事業部は独立した会社のように運営されていました。これは、発展期にはよいのですが、無駄なところも多くあります。同じ会社であれば、通常は部品などを社内でお互いに融通できる部分がたくさんあるのですが、事業部として独立していて それができず、無駄があったのです。

 そこで、パナソニックは構造改革をして、事業部の垣根をぶち抜きました。

 その辺の無駄は昔から分かっていたことなのですが、景気が良く、経営も良かったために直さなかったのです。しかし、その部分が「やはり、まずいのではないか」ということになってきたわけです。

 同じ会社なら、通常は外から買ったものを社内で融通し合えるのですが、「○○事業部」というものがあるために、「その垣根を越えてはやらない」というかたちにしてしまった。そういう無駄があったのです。

 また、事業部制には、組織上も当然無駄がありました。なぜなら、無駄なポストが幾らでもつくれるからです。事業部ごとに同じようなポストができてきますが、要らないポストだってあるのです。

 このような理由から、パナソニックは、発展期には良かった事業部制を ぐしやぐしゃに壊したのです。

 コストダウンのためには、人員の無駄な部分も削らなければいけません。資材、原材料等の無駄な部分も削らなければいけません。さらに、販売チャンネルの無駄なところ、それぞれ独自にやっていて無駄なところも削らなければいけません。

 それから、パナソニックは「連邦経営」をしていて、子会社を数多く持っていますが、親会社の言うことを聞かない子会社もたくさんあったので、このあたりの意思統一もしなければいけませんでした。お互いに意見がよく通らず、我を張り、うまくいっていないところは、もう少し風通しを良くしなければ駄目になるからです。

 こういうかたちで、組織のむだ、人員の無駄、資材、原材料等の無駄、販売の無駄など、要するにエネルギーの無駄を削っていかなければなりません。製品の無駄も当然あります。

 無駄を削っていくと どうなるかと言うと、当然ながら原価が下がってきます。当たり前のことです。原価が安くなり、商品をもっと安くできるようになってきます。そうすると、競争に勝てるようになってくるわけです。

 こういうかたちで、「どうやって全体のコストダウンをするか」ということを考えないといけません。」(社長学入門』P-206~209)

 二つめとして、徹底的にコストの削減をやらなければならないということです。品質のよい物を安く提供するというのは定石です。ただし、普通にコストダウンしただけでは競争に勝てません。工夫に工夫を重ねて、努力に努力を重ねて、コストダウンをしていただきたいと思います。

 それから、自社の欠点を見つけ出し、それを正していくということが非常に大事になってきます。(参考『智慧の経営』P-64 66)

 

高付加価値の部門を育てる

 もちろん、無駄を省いてお金を浮かすだけでは足りません。

「お金が浮いてきたら、そのお金を未来の成長性の高い部門に投資しなければいけません。この投資額も競争です。やはり、未来性や将来性の高いところに いち早く投資した会社が、五年後、十年後に勝つのです。

 「赤字だから」と言って投資しないでいれば潰れるのです。よそが どんどん良いものをつくってきたら、負けるに決まっています。

 無駄な「死に金」の垂れ流しを止め、黒字化してお金を貯め、それを将来性のあるところに投資して、競争に勝たなければいけないのです。

 智慧の一段目としては、「構造的なコストダウンの検討」が必要ですが、中国やインドなど、人件費の安いところが競争をかけてきて、先行き どう見ても価格は下がってくるので、智慧の二段目としては、「高付加価値の部門を育てる」ということが必要です。それが次の生き残り策です。

 ほかのところでも つくれるようなものを、いつまでも つくっていることはできないものです。それは、十年後にはないと思ってください。後から追いかけてきている国が、今 日本でつくっているものを つくれるようになったら、それは、もう日本ではつくれなくなるのです。

 では、どこで生きていくかというと、もう一段の高付加価値のところしかありません。

 もっと研究しないとできないようなもの、もっと高い技術が要るようなもの、もっと智慧の蓄積が要るようなもの、こういうものについては、後から追いかけてきている国も追いつくのに まだ時間がかかります。こちらのほうに進まない限り、「座して死を待つのみ」ということになるのです。

 そういう意味で、「技術をいっそう高める。ソフトのレベルを上げていく。他の追随を許さないもの、さらに高付加価値のものをつくっていく」ということが大切です。そのためには、教育投資も必要ですし、研究の時間も要るのです。」(社長学入門』P-212~214)

 技術を一層高めること。ソフトのレベルを上げていく。他の追随を許さないもの、さらに高付加価値のものをつくっていくということが大切です。そのためには、教育投資も必要ですし、研究の時間も要るのです。

 例えば、美容院であれば、カットの技術を高めるだけでなく、その他にも美に結びつく高付加価値のサービスを考えるわけです。そうした研究に怠りがないかどうか、チェックしていく必要があります。(参考『智慧の経営』P-68 69)

 なお、経営環境がインフレ基調に転じた場合は、違う考え方も必要になってきます。

 一般に、デフレではカネが不足するため、「お金を使う側=買い手」が強くなるが、インフレではモノが不足するため、「物を提供する側=売り手」が強くなる。経済環境の違いによって採るべき経営戦略は違ってくるため、マクロ環境の分析には日頃から注意を払う必要があります。

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