市場調査で需要が発見できるとは限らない

 需要の発見と創造に関しては考えなければならない重要な点がある。必ずしも市場調査で需要が発見できるとは限らないということである。

 幸福の科学大川隆法総裁は、『社長学入門』で以下のように説かれました。

「例えば、エジソンが電球を発明するまでは、電球に対する需要は存在しませんでした。彼がそれを発明したことによって、初めて生まれた需要というものがあるわけです。それまでは存在しなかったものが、あるときから存在するようになったわけであり、エジソンが電球を発明する前に「電球が欲しいか」と訊いても、欲しいという人はいたはずはないのです。

 このように、生産者の側が「これは必要なものになる」と思ってつくったことによって、広がったものがあります。そういうものも必ずあるのです。

 鉄道も、それができる前に「なぜ鉄道が必要なのか」ということが分かる人は、かなり優れた人であり、普通はなかなか分かりません。馬はどこでも走れるし、まぐささえ与えれば元気に動くので、「馬のほうが便利ではないか」という考えもあるわけです。「馬がいるのに、わざわざ汽車という重い鉄の塊の化け物のようなものを走らせる必要があるのか」ということです。しかも、鉄道の場合は、延々と何百キロもレールを敷かなければならず、その上だけしか走れないのですから、非常に不便なようにも見えます。

 そのため、鉄道が敷かれる前には、「馬があれば、どんな小道でも走れる」「鉄道ができると、馬でご飯を食べている人たちが気の毒ではないか」という議論がたくさんありました。」(P-103~104)

 まったく新しい商品を世に出す場合、市場調査には限界があることを知っておく必要がある。

 

市場調査が有効になる時はいつか

「マーケット重視の考え方は大事なのですが、まったく新しいものの場合には、マーケットがそもそも存在しないこともあります。「天才的な発明家や起業家がマーケットをつくり出す」ということもありうるので、単に消費者に訊いて回れば需要が発見されるとは限らないのです。

 しかし、一定のニーズが出てきた段階では、消費者の動向を見ながら新しい商品をつくっていくということは十分にありうることです。

 経済学的には、「セーの法則」といって、「供給はそれ自ら需要をつくり出す」、つまり「供給すれば売れる」という非常に原始的な理論があります。近代の歴史はその通りであっただろうと思います。

 それまでは知らなかったものを、誰かがつくったら売れ始めるのです。例えば、ラジオも、初めは「そんなものが何になるのか」と思われたかもしれませんが、使い道が分かったら、誰もがラジオを買うようになりました。車もそうですし、テレビもそうです。

 ただ、テレビならテレビが、何種類もいろいろな会社から出始めると、「つくったら売れる」という理論は もう通用しなくなります。この場合には、より多くの消費者が求めているテレビを出さなければ駄目なのです。

 そのためには、サイズや値段、色合い、デザインなど、いろいろなものについて、消費者の好みを調査しなくてはいけません。「今、どんなテレビが求められているのか」ということを調査する必要があるのです。

 最初は、新しいものをつくらないと、マーケットそのものが存在しないことが多いのです。しかし、新しいものができてきた場合には、次に消費者側、顧客側の嗜好、好みに合わせて、新しいものを供給していかなければならなくなります。その意味で、それを使っている人の動向というものを常に調査する必要があるのです。」(『社長学入門』P-105~108)

 マーケットにない新商品を売り出す時は、市場調査をしてもうまくいかないケースが多い。しかし、何らかの方法によって新商品の需要が発見出来ると、「つくれば売れる」という状態が実現することがある。その場合、同業他社が参入し始めるため、より顧客のニーズに応える商品を開発する必要が出てくる。こういう状況になれば、こまめに消費者のニーズを調査することは効果的になる。

 調査の方法には以下のものがある。

1 専門の調査会社を使ってデータを収集する

 観察調査(交通量調査など)、サーベイ調査(質問による調査)、実験調査などの手法があり、調査方法には、郵送、電話、面接、オンラインなどがある。

 それぞれ一長一短があるので、目的に応じて使い分けたり、組み合わせたりして実施される。

2 営業や販売部門の顧客情報を集約・分析する

 飲食店の店頭で顧客に書いてもらったアンケート用紙を回収して、改善点を採る目的などで用いられる。

3 製造・販売の現場や取引先を訪問して回るウォーキング・アラウンド経営

 一倉定の「社長は自らお客様を訪問せよ」という主張がその典型である。

 顧客のニーズをつかむためには、「『お客様のために」ではなく、『お客様の立場』で考える」ということが大事である。「お客様のために」は、自分たちが良いと思うことを顧客に押し付けている場合があるのです。

 「正しい考え方は、「お客様のために」ではなく、「お客様の立場」で考えることです。

 実は、「お客様のために」という考え方のなかには、供給する側の論理、物やサービスを得る側の論理が入り込んでいるのです。」(『経営入門』P-26)

経営と真理 へ

「仏法真理」へ戻る