堅実さと努力・精進の大切さを忘れない

大川隆法・人生の羅針盤 第145回

参考

堅実をもって旨とせよ

 不況のときにこそ、自社の弱点を克服し、長所を徹底的に伸ばすべきです。

 1980年代後半のバブル期には、「何をやっても儲かる」「マンションを買うと、その値段が二倍や三倍になり、それを転売しただけで儲かる」というようなことがよくありました。しかし、こういう〝うまい話〟ばかりが続けば、人間は、おかしくなってしまいます。

 不動産が正当に値上がりするのはよいのですが、「一億円のマンションを買っておくと、何の努力をしなくても、その値段が一年後には二億円になる。そのときにマンションを転売するだけで一億円の利益が出る」というような時期があったのです。

 そのころに、不動産を担保にして銀行から多額の借金をした人のなかには、1990年代になると、不動産価格の暴落によって借金が返せなくなった人がたくさんいました。

 こういう〝うまい話〟に引っ掛かる人は、ある意味では、「大きな目で見たら、智慧が足りないために経済的に淘汰されている」と言えます。

 そういう時代を生き抜くためには、やはり、「堅実さ」というものが非常に大事です。それは、「堅実に経営する」、あるいは「堅実に生きる」ということです。

 そして、「要るものと要らないものを、はっきり分ける」ということです。

 いま必要なものであれば、たとえば、建物を建てたり、ものをつくったり、買ったり、投資したりし、必要でなければ、「買うことができても買わない」「それは、やるべきではない」などと判断することが非常に大事です。

 家計の規模や景気の状況によって、各人の消費のあり方は、さまざまですが、基本的には経済の浮き沈みが必ずあるので、そういう流れのなかで生き延びるためには、「堅実をもって旨とせよ」ということです。

 堅実な考え方を持っていないものは必ず敗れます。「一か八か」というようなことばかりをしていれば、どこかで必ず敗れるのです。

 したがって、「それは自分にとって必要かどうか」ということを考えるべきです。

 決してバブル的な妄想にふけらないように努力する必要があるのです。

 どのような時代であっても、すべてが潰れるようなことはありませんが、脇が甘いものは、そういうときに淘汰されます。したがって、しっかりと脇を締めなくてはなりません。そうすれば大丈夫です。

 みなさんは、「脇を締める」という努力をしてほしいと思います。あらかじめ脇を締めておけば、〝うまい話〟に乗って会社を潰したりするようなことはなくなります。そういう用心をすることが大事です。

 

「弱点を克服し、長所を伸ばす」という姿勢で努力を

 また、厳しい時期には、「弱点を克服し、長所を伸ばす」ということを念頭に置いてください。そういう時期は必ず何年かで明けるので、そういう姿勢で努力を続けていけば、その時期を越えたあとに快進撃が可能になります。

 世間には「未来は明るい」という見方が書かれている本もありますが、私は、「これからは乱気流の時代が始まる」という警告をしておきたいと思います。

 いまの日本には、日本だけでは解決できない問題があります。そして、他の国々から日本が受ける影響まで考えると、「これからは乱気流の時代が来る」と見るべきなのです。

 いまは株価が下がり、円高も進む傾向にありますが、この背景にはアメリカの今後に対する不安があります。これは、まさにアメリカの新しい政権を予想した結果であり、経済の世界では、「景気は悪くなる」と見られているのです。

 したがって、それに備えなければいけません。

 ただ、「夜が明けない」ということは絶対にありません。朝が来ない夜はないのです。その言葉のとおり、必ず朝はやってきます。その日のために、身を引き締めて努力することが大事です。

  (2008年3月9日・練馬支部精舎における信者との対話)

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