シェールガスの採掘と地震

 定説では、石油やガスは、生物由来の有機物が地下深くで、地球内部の熱によって化学変化を起こした結果、生成されると考えられています。水中に堆積した砂でできた砂岩、泥でできた泥岩は、プランクトンや藻の死骸を多く含んでおり、地下数千メートルで何億年も温められるうちに それらがガス化したという。

 トーマス・ゴールド博士は、長年の研究の結果から、石油及び天然ガス、石炭は、巷で言われているような化石燃料ではないと主張しています。博士によれば、これらの資源は常に地球内部で自然に形成されているという。これらの物質(炭化水素)が他の幾つもの天体の内部で実際に生成されている事が発見されたことであるという。地球誕生の時からすでに内部に炭化水素が存在しており、それがその形成物を地表にまで押し上げているのでしょう。

 近年、「シェールガス革命」という言葉が世間をにぎわせています。シェールガスも従来の天然ガスも、成分的にはほぼ同じ。できる過程も変わりません。ひとつ違うのは、それが産出される場所です。従来の天然ガスが主に砂岩層から産出されるのに対して、シェールガスは、硬くはがれやすい頁岩(けつがん=シェール)層の割れ目に閉じ込められています。頁岩は泥岩の一種で、水中で水平に堆積した泥が固まってできたものです。薄く割れる性質が本のページのようだということから「頁岩」と命名されております。

 在来型の天然ガスが貯留されている砂岩の層は、比較的粒子が粗く、その間を縫ってガスが移動し、地層が褶曲してできた隙間に溜まり、ガス田を作りやすいのに対して、頁岩は粒子が細かいために、ガスがその場から移動することができず、岩石の中にとどまっていました。これがシェールガスというわけです。

 その存在は、百年以上も前から知られていましたが、採掘に掛かる費用が莫大すぎて、採算がとれず、世界中の多くの地域で眠れる資源とされてきたのです。

 近年、アメリカを中心に採掘技術の革新が進み、状況が一変。シェール層を水平に掘り進める水平掘削法や、水の力でシェール層を破壊してガスを取り出す水圧破砕法が発明され、十分に採算のとれる生産が可能になったのです。

 2013年米エネルギー情報局発表によれば、世界のシェールガスの採掘可能な埋蔵量は、206.7兆立方メートル。従来型の天然ガスを含めた総埋蔵量の32%を占めるという。国別では、中国が約31兆立方メートルと最も多く、アルゼンチンの約22兆立方メートル、アルジェリアの約20兆立方メートル、アメリカの約18兆立方メートルと続きます。技術導入が進むアメリカは、日本へのシェールガス輸出に関する認可を出すなど、エネルギー資源の輸出に慎重な従来の姿勢を見直し、積極的なエネルギー政策に転換しようとしています。

 2004年に起きた新潟中越地震の震央から約20kmしか離れていないところに、天然ガス田(南長岡ガス田)があり、地下4,500mのところに高圧の水を注入して岩を破砕していた。

 坑井を「刺激」するために、深い井戸を通じて油ガス層に人為的な刺激を与え、坑井近傍の浸透性を改善することにより生産性を高めるために行われた。地下4,500m付近に分布する浸透性が低い緑色凝灰岩層に対して、「水圧破砕法」を使って岩にひび割れを入れ、生産性を8倍も増加することに成功したと言われている。

 水圧破砕法は、地下の岩体に超高圧の水を注入して亀裂を生じさせる手法である。高温岩体地熱発電やシェールガス・シェールオイルの採取に用いられている。

 しかし、それらの天然資源とともに、大量の廃水が発生し、これを地下1キロほどの深さに掘った廃水圧入井に圧入して処分している。大量の廃水がこのように処分されることにより、地震が起きることがあるという。

 シェールガスの採掘で なぜ地震がおきるのか。水圧破砕法(Fracking)では、採掘に当たって、オイルまたはガスが含まれる頁岩層を薬液と高圧水を使って破砕し、できた空隙には砂粒を送って閉まらないようにさせています。高圧水が既存の地下水をさらに深部へとトコロテン式に送りこんで、高熱地帯に移動させれば、水の熱解離が起きます。熱解離という現象で、水素と酸素の混合ガスが「生産」されてしまうのです。このガスは爆鳴気ガスですから、「爆縮現象」という爆発を起こしてしまう。

 「シェールガスの水圧破砕法が原因の可能性」といった報道がなされていますが、本当はもっと深部に「廃液」を圧入していることが真の原因であると認識しなければなりません。

 地下深くに大量の水を注入すると、それが引き金となって地震が発生すること、1936年完成のフーバー・ダムで明確になった。

 フーバー・ダムは、ラスベガスの南東約50km、アリゾナ、ネバダ両州境コロラド川ブラック峡谷に建設されたアーチ式ダムで、高さ221m、長さ377m。上流の砂漠の中に琵琶湖の1.5倍もある巨大なミード湖を出現させたことで有名。水位は170mの高さで1938年に満水となった。このあたりは殆んど地震の無いところなのだが、1936年には21回の有成地震が発生、翌年にはそれが116回に増えた。しかも、1939、42、48、52年と立て続けにM(マグニチュード)5の大きな地震の発生をみるに至った。周辺が砂漠地域だけに大きな被害は出なかったが、これが都市に近いと、揺れは震度5弱程度で大きな災害となった可能性がある。

 旧ソ連のタジク共和国では、1968年完成したヌーレク・ダムで、ほとんど地震の無かったが、水が深さ60mほどに達した1971年から有威地震が発生し始め、その後5年間でM4の地震が8回も発生している。

 水の地下への人工的注入については、コロラド州デンバーでの廃水処理が有名である。1962年から、工場からの(この工場は核関連の問題ありの施設なのだが)廃水を深さ4000mの深井戸から地中に注入、処理した。その量は月間2000~3000万ℓであった。ところが、注入を開始してから間もなく地震が発生し始め、M4.5を記録したこともある。

 コロラド州ランゲリコ油田でも、1957年から深さ2000mの坑井に注入を始めたところ、M3.1の地震が起こり始めた。

 水であれ、液化炭酸ガスであれ、液体を圧入することは、解離ガスの発生を促進する危険性、つまり、人為的な地震発生の危険性が高まる可能性があるわけです。

 

メタンハイドレート

 メタンハイドレート(MH)を含む地層は海面から約1260メートル下に存在するとみられる。海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」のやぐらから、先端にドリルをつけたパイプを連結させて海底まで下ろしていき、掘り進める。

 メタンハイドレートの生産方法には、加熱方式と減圧方式とがあり、現在減圧方式が検討されているようです。

 ハイドレート層内で水を組み上げて減圧し、発生するMHガスを組み上げるということですから、今のところ地震誘発の心配はしておりません。試掘でも安全に生産されているようですから、それほどの危険性はないと考えます。

 減圧方式で吸い上げれば、海底深部にも影響が伝播して解離層を乱すのではないかと心配をされる方もあるかと思いますが、メタンハイドレートは個体として存在しているので、そのような心配は無いと考えられます。

 地震の発生が想定されるのはハイドレート層よりももっと深い場所で、マグマが存在して高温になっている場所です。そのような深部にまで掘削などの人為的工作をすることが地震を誘発させる危険な行為となります。

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