報告・連絡・相談

 

報告・連絡・相談「報連相」の方法と重要性

 組織の規模にかかわらず、報連相が不可欠であることはいうまでもありません。朝礼などでその重要性を繰り返し説いている経営者の方も多いでしょう。

 報連相とは、「報告」「連絡」「相談」の総称です。
「報告」:

 通常の担当業務や特に指示された業務に対して、上司にその経過や結果を告げること

「連絡」:

 業務上知り得た重要な事実や決定事項などについて関係者に伝えること

相談」:

 迷った際に、上司の判断を仰いだリアドバイスをもらうこと

 報連相のなかでも、基本中の基本は部下が上司に行う「報告」であり、自社の報連相を考えるときには、この部分の徹底から始める必要があります。「報告する」という自発的なアクションが習慣化していないと「連絡」や「相談」もうまくいきません。

 

1 報告の種類

(1)事前報告

 行動を起こす前に、計画の主旨、目的、並びに予測される結果を確認する。

(2)中間報告

 中間時点の進行状況と終了までの見通しを報告し、上司から判断を伺う。

(3)終了報告

 結果→経過→内容→対策の順序で報告する。(文書による報告が一般的です)

(4)異常報告

 異常事態の報告では迅速な報告と対応が不可欠です。

報告する基本的な話し方は、結論→経過・内容→対策であり、口頭・文書・TELによる各々の手法にも共通する基本である。

 

2 報告の準備

(1)「なに」を「だれ」に報告するのか

(2)報告の筋道と要点を決める

(3)口頭でよいか、報告書にするか

(4)必要であれば実物、図書、資料を準備

(5)実例を調べる

(6)報告する「とき」と「こころ」を考える

(7)口頭報告の場合は、必ず報告に行く相手の都合を聞き、アポイントを取る

     

3 どんな場合に報告するか

 (1)仕事が終了したら直ちにする

 (2)長期に渡る仕事の場合は中間で

 (3)特別な事が起こって、状況が著しく変化した時

 (4)仕事が予定より長引くとき

 (5)結果の見通しが付いたとき

 (6)会議、打ち合わせ、出張から帰った時

 

4 報告書を必要とするとき

 (1)複雑な内容のとき

 (2)数字が必要なとき

 (3)記録を残す必要があるとき

 (4)関係先(社内・外)に報告するとき

 

5 報告の仕方

 命令した人へ、結果→経過→内容→対策の順に、事実を正しく、要点を強調して、簡単、明確、具体的に、報告を受ける立場に立って情報、資料の出所を明示する。

6 口頭・電話による報告

 (1)報告する前に相手の都合を確かめて

 (2)相手が立っている場合は立って行う

 (3)くずれた態度、言葉づかいをしない

 (4)落ち着いて要点を報告する

 (5)相手の理解度を確かめながら行う

 (6)特に電話報告は、先に資料をFAXしてから

 

報告内容のまとめ方

 5W3Hでまとめると良いでしょう。

 When(いつ) Who(誰が) Where(どこで) What(何を) Why (なぜ) 

 How to (どのように) How much (いくらで) How many (いくつ)

 

報連相を向上させる

 報連相とは「報告」「連絡」「相談」の総称です。

「報告」:

 通常の担当業務や特に指示された業務に対して、上司にその経過や結果を告げること

「連絡」:

 業務上知り得た圭要な事実や決定事項などについて関係者に伝えること

「相談」:

 迷った際に、上司の判断を仰いだりアドバイスをもらうこと

 

 会社運営において、十分な報連相(報告・連絡・相談)が不可欠であることはいうまでもありません。

 朝礼などでその重要性を繰り返し説いている社長も多いでしょう。しかし、自社全体の報連相が本当にうまくいっているのか、さらに、そのレベルを上げるためには どうすればよいかについて、深く考えて実践している会社は意外と少ないのではないでしょうか。

 報連相のなかでも、基本中の基本は部下が上司に行う「報告」であり、自社の報連相を考えるときには、この部分の徹底から始める必要があります。

 まずは、「報告する」という自発的なアクションが習慣化していないと、「連絡」や「相談」もうまくいきません。

 現場レベルでの日常的な報連相については、社長からは目が届きにくいところではありますが、会社全体の報連相の土台ともいえる部分であるため、現場の上司たちに任せきりにせず、ときには社長自らその実態を確認することも必要です。

 部下が上司に報告する場に立ち会ったり、報告書の提出状況や記載内容などもチェックしてみましょう。

 

報連相の3つのステップ

 一言で報連相といっても、そこにはたくさんのレベルがあります。

 とにかく目の前の仕事をこなすのに精一杯という新入社員に求められる報連相と、社長とともに会社の未来を切り開いていく立場にある幹部社員に期待する報連相とでは当然のことながら差があります。

 また、十分な経験を積んでいる既存業務を滞りなく回すための報連相と、未知の分野を切り開いていく新規事業関連業務で求められる報連相も異なるでしょう。

 社長の方々と話をしていると、「我が社は報連相が足りない」という方が多い一方で、「何から何まで指示を仰いできて困る」という方も少なからずいます。

 報連相レベルの向上というのは、必ずしも報連相の「量」を多くしていくということではなく、場合によっては「質」の高い報連相に絞り込んでいくことでもあります。

 自社の報連相の状況を把握し、どのような「報告」「連絡」「相談」を実現したいのか、その方向性を明らかにすることが大切です。

 報連相にはさまざまなレベルがありますが、大きく分けると、「逐一型報連相」「自立型報連相」「共創型報連相」の3つのステップで考えることができます。

 

ステップ1 逐一型報連相  細かいことも尋ねる、指示する 

 逐一型報連相とは、部下が細かい行動レベルまで上司に判断を仰ぎ、上司は逐一それに対して指示を与えていくやり方です。

 部下は自分の経験や知識不足から報連相なしではほとんど行動できない「半人前」であることを自覚し、上司もまたそのことを認識したうえで報連相を行います。

 もっとも重要なのは、「分からないままにやってしまう」ことを避けることであり、部下は少しでも疑問に感じたらすべて上司に報連相することが必要になります。

 一方、上司は部下からのたびたびの報連相に対して面倒がらずに対応しなければなりません。

 上司としては「いちいちそんなことまで聞くな」といいたいところですが、教育の一環として我慢する以外ありません。

 逐一型報連相は、おもに新入社員などが仕事の仕方を学ぶために習慣化すべきことですが、十分な能力を備えた中途社員であっても、入社当初は社内外の状況がよく分からないのでこれを徹底させる必要があります。

ステップ2 自立型報連相  まずは自分で考える、考えさせる

 仕事の仕方の基本を身につけ、自社の業務についてもある程度の経験を積んできたら、次のステップとして、自立型報連相に進んでいくことになります。

 この段階では、上司は部下を「一人前」として扱います。

 自立型報連相とは、その名前のとおり、自分のなかである程度の判断基準をもち、報連相を主体的に使いこなしていくことです。

 自分で判断できる仕事であれば、報連相を「承認手段」として使い、判断できない仕事であれば、報連相を「アドバイスを得るための機会」として活用します。

 自立型報連相では、上司への報連相の仕方も、「状況はこうなっています。自分としてはこうしたいと思いますがいかがでしょうか」というように、自分なりの提案を行うことが大切です。

 また、報連相を受ける側も、単に「どうしたらよいでしょうか」という相談をもちかけてくる部下に対しては、すぐに具体的な指示を与えるのではなく、まずは「君はどのように思うのか」と考えさせることが必要になります。

 なお、自立型報連相ができる社員に対しては、ある程度仕事を任せていくことになりますが、報連相の仕方も彼らの流儀に任せることではありません。むしろ、それまで以上に上司の関心事を先取りしたスピーディーで質の高い報連相が求められます。

 中堅クラスの社員からは、「上司は仕事を任せるといっておきながら、報連相しろと口やかましくいう」といった不満を聞くことがありますが、それがいかにピント外れなものであるかを分からせなければなりません。

ステップ3 共創型報連相  他部門や全社への貢献を意識する

 共創型報連相とは、自立型報連相からさらに進み、自分が担当している業務だけではなく、自分の上司やほかの部門、全社的な改善までも視野に入れて報連相を行うことです。

 自分の行動結果や新たに知り得た情報、さらに、そこから導いた分析結果などを報連相の相手に投げかけて、これまでにない新しい価値を共に生み出していきます。

 特に、経営幹部には共創型報連相を行うための姿勢と能力は不可欠です。

 経営幹部が報連相する相手はおもに社長です。彼らが社長と同様の危機意識・問題意識をつねにもっていなければ十分な共創型報連相はできません。

 また、社長の現在の最大の関心事や悩みなどについても把握しておく必要があります。

 報連相をより高いレベルにしていくためには、共創型報連相ができる幹部をできるだけ多く育てることが大切です。そのためには、社長は、自社の経営理念や戦略、社長の信条などについて幹部社員に繰り返し説明しておくことが必要です。

 

報連相レベル向上のための視点

 社長が自社の報連相について語るとき、力点が置かれているのは「報連相をする側」についてです。自社の報連相がうまくいっているかどうかについて、メッセージの発信側がそれをきちんと行っているかどうかで判断することが多いのです。

 もちろん、このこと自体は非常に重要です。

 まず、メッセージが発せられなければ何も始まりません。ただし、報連相レベルを向上させるためには、これ以外に、「報連相される側」「報連相のための仕組みやルール」の視点からも考えることが必要です。

1 報連相する側(メッセージの発信者)

 第1の視点は「報連相する側」についてです。

 社員のなかには、報連相の大切さは頭では理解できていても、実際の行動に十分に結びついていない人もいるでしょう。

 彼らには報連相する側の原則について徹底して教え込むことが大切です。

報告する側の5原則

・報連相はそれ自体が仕事であり、義務である

・報連相が不足している人は上司や同僚からの信頼を得られない  社内ポジションもあがらない

・仮に報連相なしに大きな成果を上げたとしても、それは結果オーライの暴走でしかない

・「こんなことまで報連相する必要はない」という勝手な基準をもたない

・報告なしは虚偽報告と同じである

 そして、考え方を教え込むだけではなく、実際に習慣化させるために「何について、いつまでに、どのように報告する」という「型にはめるための指導」も必要です。

 また、報連相を徹底することは、上司や会社のためだけではなく、部下自身の仕事の幅が広がり、能力向上にもつながるということを理解させることも大切です。それによって「やらされる報連相」から「自主的な報連相」へと意識を変えていくことが期待できます。

2 報連相される側(メッセージの受信者)

 第2の視点は「報連相をされる側」についてです。

 上司が部下の報連相をきちんと受け止めて、適切な指示やアドバイスを行っているかということです。

 これは、大きく分けて、「部下が報連相しやすい環境をつくっているか」という準備段階と、実際に報連相があった際の対応段階に分けて考えることができます。

 たとえば、部下が相談をしたいと思っているときに、「上司はいつも不在、電話もメールもつながらない」ということが頻発しているようでは、いくら部下が努力をしても報連相自体を行うことができません。

 また、やっとのことで上司をつかまえて報連相を行えたとしても、上司が部下のメッセージを傾聴する姿勢や、正しく内容を理解し判断する能力を備えていないと、報連相の目的は達成できません。

 そして、ひとたび「この上司に報連相しても仕方がない」と思われたら、いくら指導しても部下は報連相してこないでしょう。

 さらに、上司は部下との日常的な報連相だけではなく、部下の報連相能力向上についても自分の仕事であることを認識しなければなりません。

報告される側の5原則

・自分から働きかけない限り部下からの報連相はないと認識する

・部下からの報連相にはイエスかノーで明確に答える  即断できない場合でも期限を伝える

・成果を上げていても報連相しない部下は厳しく指導する

・「仕事」は任せても、報連相は任せない

・部下の能力に合わせた指導(逐一型、自立型、共創型)を行う

3 報連相のルールと仕組みづくり

 第3の視点は「報連相のためのルールと仕組みがあるか」についてです。

 たとえば、日報を提出することを義務づけている会社は多いと思いますが、記載すべき内容や提出期限、提出方法(メール、紙ベースなど)がきちんと守られているケースは少ないようです。いくら催促しても日報を提出しない部下に対して、いつの間にか放置してしまうということもあります。

 また、全社的に統一すべきルールだけではなく、部門の状況に応じて特別に必要な報連相を設定することも必要です。

 さらに、緊急事態が起こったときには、迅速に社長に情報が伝わる仕組みづくりも不可欠といえるでしょう。

ルールと仕組みづくりの5原則

・報連相のモレなど、「うっかりミス」や人為的な「隠蔽」を防止できるように設計する

・より効率的な報連相が実現できるように項目やフォーマットを工夫する

・悪いことほどすぐに伝わるようにする

・報連相の内容に合わせて、対面、電話、メールなどの手段を設定する

・ルール破りには厳しい姿勢で臨む  放置はほかの社員へも悪影響を与える

 

情報を的確に伝えられるには

 報連相を適切に行うためには、相手に対して情報を的確に伝えることが不可欠です。

押さえておくべきポイント

1 要点を整理してから伝える

 報連相を行う前に、必ず自分が持っている情報を整理・理解しなければなりません。そうすることで、支離滅裂な報連相はなくなりますし、重要な情報の抜けや漏れを防ぐこともできます。

 また、整理した要点については、相手から質問をされることも想定することができるでしょう。

2 結論から先に、経緯説明は後に伝える

 相手に何かを伝えるとき、事象や原因・理由などから始め、結論が最後になると、どうしても話が長くなってしまい、受ける相手が「結局、何が言いたいのか分からない」ということになりがちです。そのため、ビジネスでは物事の結論から伝え、その後に結論に至った理由や背景、今後の展望などを伝えることが基本とされています。

 身近なところでは、新聞記事がこのような構成になっているので、参考にしてみるとよいでしょう。

3 事実と意見・推測を区別する

 事実と意見・推測が混在していては、受ける相手に誤解を与えます。事実は事実として伝えます。

 事実に対する意見・推測を加えたい場合、「私見ですが」と断ることで事実と意見・推測を区別します。

4 あいまいな表現は避ける

 あいまいな表現は、受ける相手に誤解を与えるため、できるだけ使わないようにします。特に気をつけたいのは、「とても」「少し」「いっぱい」「かなり」といった形容詞です。これらの表現は伝える側の主観にすぎません。何かを伝えようとするときには、こうした形容詞は使わないことを心がけるべきでしょう。数字を明示できる情報であれば、「たくさんある」というのではなく、「1万個ある」といったように正確な数字を伝えるようにします。なお、数字で表される情報は、「いつ(納期)」「いくつ(ロット)」「いくら(価格)」といったように仕事にも直結するものが多いので、注意をして伝える必要があります。

5 伝えるタイミングを考慮する

 相手が急いでいる様子のときなどは、伝える情報の緊急性・重要性と相手の状況を推察することも大切です。タイミングを見計らって「○○について報告があります。お時間よろしいですか?」といった具合に、相手の都合を確認するとよいでしょう。受ける相手が貴重な時間を割いていることを忘れてはなりません。ただし、本当に緊急を要する場合は、相手の状況に関係なく伝えるべきことを伝えなければなりません。

6 状況が変わったときは、中間報告を行う

 ある業務をしているうちに別の業務を頼まれるなど、状況が変わることは仕事につきものです。状況が変わったときは、中間報告をして その後の指示を仰ぐとよい。

 中間報告によって状況が変わっても、そのまま業務を続け、結局時間を無駄にしてしまったという事態を防ぐことができます。

7 指示を受けた本人に直接報告する

 報告をする際は、指示を受けた本人に直接報告するのが原則です。

 例えば、課長が不在のとき、課長のさらに上位である部長から指示を受けたとしたら、まず課長には部長に指示を受けたこと、次に指示の進捗を報告します。

 指示が完了した場合、課長が「私から部長に伝える」といった場合を除いて、直接、指示をした部長に報告をします。

8 ミスやトラブルなど悪い情報ほどすぐに伝える

 ミスやトラブルなど悪い情報を報連相するのは勇気がいるものですが、放っておくと事態はますます悪化するばかりです。

 悪い情報こそ早く正確に伝えることが肝要です。自分一人で悩んだり勝手な判断をすることは、取り返しのつかないことにもなりかねない。

9 ケースや相手によって伝える方法を選ぶ

 報連相の方法は、大きく書面によるものと口頭によるものとに分けられる。

 伝える情報の緊急性・重要性に応じて、書面と口頭のどちらが良いのか判断をします。仮に書面で行う場合も、電子メールを送信することで済ませて構わないのか、印刷した文書を手渡ししたほうが良いのか考慮することも大切です。

10 一人で何とかしようとする前に「報連相」をする

 当初「一人で2時間もあればできる」と思っていた業務が、実際にやり始めたら「全くはかどらない。このままでは時間に間に合いそうにない」という事態は起こるものです。こうしたときに、一人で何とかしようとしがちですが、その結果、時間を守れなかったり、ミスが多く質の低い仕上がりになってしまってはならない。こうした場合は、間に合いそうにないと分かったときに、すぐに報連相をすること。そうすれば、ほかの人の手を借りたり、スケジュールを再調整したりといった修正も可能でしょう。

 

 幸福の科学大川隆法総裁は、『不況に打ち克つ仕事法』で以下のように説かれました。

「報告・連絡・相談のことを、よく「ホウレンソウ」と言いますが、これは、そう簡単にできることではありません。
 最も無難なのは、「指示待ち族」になることです。「指示を受けて、そのとおりにだけやる」という仕事の仕方をすると、身の安泰を護りやすいからです。
 確かに、「上司から言われなければしない」「余計なことはしない」「催促されなければ報告をしない」というようなことをすれば、自分の身は守れるかもしれません。しかし、それでは、会社の危機を救えないし、ましてや、会社の発展に貢献することもできないのです。
 また、本書第1章でも述べましたが、上司から仕事を任されたときは、「全権委任された」と思ってはいけません。それは間違いです。
 仮に「あなたに任せるよ」と言われたとしても、それは全権委任されたのではなく、「この仕事の担当はあなたです」と言われたにすぎません。上司は、本当は自分でその仕事をしたいのですが、ほかにも仕事があるので、「担当はあなたです」と言って、その仕事を振っているだけなのです。
 したがって、「自分の仕事だから、自分勝手に全部やってよい」というわけではありません。
 上司は、本当は自分でやりたいけれども、自分の手が足りないので、ほかの人に任せているのです。「任せたよ」と言われたからといって、単純に「任された」と思い、「百パーセント、自分の好きなようにしてよいのだろう」と考えてしまったならば、それは絶対的な間違いなのです。
 やはり、「任された」と思えばこそ、的確な報告が要ります。つまり、任せてくれた上司の立場に立ち、「あの人だったら、そろそろ中間報告が聞きたいだろうな」「どういう問題点が出てきたかを知りたいだろうな」などと考えなければいけないのです。
 そして、タイムリーに上司へ報告をし、「こういう問題が出てきましたが、どうしましょうか」と、判断を仰ぐことが大事です。
 そのときに、「いや、構わないから、そのままやりなさい」と言われる場合もあるでしょうが、「それであれば、こちらに考え方を変えたほうがよい」と言われる場合もあります。仕事の途中には、このように、考え方などが変わる「重要ポイント」があるので、きちんと伺いを立てたり、報告をしたりする癖をつけなければ駄目なのです。
 繰り返しますが、「任せたよ」と言われて、その言葉を本気で受け取っては駄目です。「自分の代わりにやってほしい」と言われていると思わなければいけません。
 仕事を進めるに当たっては、「上司がその仕事をするとしたら、どうするか」ということを常に考えると同時に、「上司であれば、ここで迷うだろうな。その場合、どう判断するだろうか」と思うようなことについては、上司にきちんと報告・連絡・相談をしなければいけないのです。」
(123~126ページ)

「昔から「報・連・相」と言われるように、「報告・連絡・相談」の部分がキチッと行き届いているかが極めて大事なことです。

 要するに、「報告・連絡・相談」がまったくなされていない仕事は、たまたま分かることや目につくことがあっても、その人一人が個人でやっている個人プレーであるわけです。よく言えば、「自分の手柄を見せずに無私の心でやっている」ということになりますが、悪い言葉で言うならば、「いざミスや失敗したときの用心のために、報・連・相をしていない」ということもありうるわけです。

 「自分はこんなことをしています」とか、「失敗しました」とか、「成功しました」とか、いちいち言わない理由は、万一のときに責任を取らせないために、誰がやったか分からないようにしておくためであることも多いわけです。」(『帝王学の築き方』P-83-86)

 報告・連絡・相談を意識して実践しないと、すぐに他の人の仕事の状況は見えなくなる。それは、致命的なミスに気付かずに組織を危機に陥れることにもなりかねない。経営者としては、報告・連絡・相談を習慣化し、組織文化にしていかねばならない。

 

社内規定

 就業規則には「情報の共有」、「報告、連絡、相談の徹底」を記載します。

(サンプル)

第○条

 欠勤、遅刻、早退及び休暇の連絡等の届出事項、並びにその他職務に関連するすべての事項について、従業員は、報連相(日常的に行うべき報告、連絡、相談並びにあいさつ、合図等をいう。)を徹底しなければならない。

 これに違反した場合は、懲戒処分を行うことがある。

 ことあるごとに、日常業務の中で「報連相の大切さ」「情報を隠す危険性」についても伝えることが重要です。日常的に伝えること、小さなミスがあったときに伝えることが重要です。情報を隠した結果、大きな損害が発生することもあります。この場合、会社は本人に対して「一定の処分」を科すことができます。これについても就業規則に記載しないといけません。

 就業規則の整備が必要ない代理店にとっても、同様に規程の作成をお勧めします。

 具体的には次のように記載すればよいでしょう。

(サンプル) 

第○条 

 従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。
 ・過失により会社に損害を与えたとき

 ・虚偽の申告、届出を行ったとき

 ・重大な報告を疎かにした、又は虚偽の報告を行ったとき

 処分をすることが目的ではありませんが、情報共有の重要性を認識してもらうためにも、罰則を設けることは重要です。

 実際に処分を行なうかどうかは別問題であり、あくまでも意識をもって欲しいための形式を整えるためです。

 また、上司が部下をかばい、これにより被害が拡大することもあります。これでは上司として「不適格」であり、場合によっては降格することも考えましょう。また、上司自身が情報を隠したり、チェックを漏らしたりしたため、会社の損害が大きくなった例もあります。場合によっては懲戒解雇もやむを得ないケースもあります。

 情報の共有は組織の核となります。報連相の重要性を社員に意識させ、仕組み(運営の形式を整え、運用し、改善を繰り返す)づくりが重要です。

経営と真理 へ

「仏法真理」へ戻る