組織生産性を把握する人的数値基準

組織生産性の実態を把握し改善するには、「ゴール」を設定する必要がある。

 組織の生産性を改善するために把握すべき主な数値基準は、経営効率の視点と現場効率の視点の2つがあります。

1 経営効率視点
 経営効率視点での二つの指標、人件費率と労働分配率の内容を確認。

(1)人件費率
 人件費率であるが、これは人件費を売上高で割ったものであり、低いほどよいとされる。

 計算式は、人件費率=人件費÷売上高

(2)労働分配率 

人件費が付加価値(粗利益)に占める割合のことを言います。

 人件費率と同じく低いほどよいとされる。

 組織が上げた付加価値と、その付加価値に占める人件費の割合を示すのが労働分配率である。

 業種平均との比較や過去実績との比較を行うことにより、自社の現在のレベルが分かります。

  労働分配率=人件費÷付加価値(粗利益)         

 これらの指標は、その組織全体の人件費を軸にした効率を表した指標です。

 しかし、いかに人件費を下げるかという議論だけで、改善は図れない。

 また、率が改善(低下)しても、それが人件費の減少によるものか、人員減少によるものなのか、売上高人件費率や一人当たり人件費の推移にも注意し、当初の目的とするところのゴールが果たせたのかを確認することが重要です。

 さらに、人件費のコントロール以上に、付加価値向上の要素も常に検討していくことが必要である。

 どのような人員配置で役割分担すれば、パフォーマンスが高まるかについての検証も行うべきです。

 現場の効率を把握し、改善するために、現場の作業時間を軸にした考えを持つことが求められる。

 

2 現場効率視点
 生産性の改善を図るには、人件費だけではコントロールが難しいため、より現場で目に見えやすい形で作業の改善を図る必要があります。

 このために把握しておくべき指標として、「どれだけの人数がかかったのか」という「人員」と、「どれだけの時間がかかったのか」という「作業にかかる時間」を掛け合わせて作業時間を把握する考え方がある。

 この作業時間を「人時(にんじ)」と呼びます。

(1)人時売上高
 売上高を作業時間で割ったものであり、1人1時間当たり(1人時当たり)いくら売上げたかを表したものです。

  人時売上高=売上高÷総人時

(2)人時生産性
 付加価値(粗利益)を作業時間で割ったもので、1人1時間当たり(1人時当たり)いくらの付加価値を稼いだかを表したものです。

  人時生産性=付加価値(粗利益)÷総人時

 

目標設定のための数値活用

 生産性の改善を図る上で、何をどのようにコントロールするかを考える。

 付加価値高(粗利益高)を高めるためには、「付加価値=人時生産性×総人時」の式から言えば、人時生産性か総人時のいずれか、またはどちらもを高めることが必要になる。

 ただし、総人時が増やせない(人員や作業時間を増やせない)となれば、いかに人時生産性を高めるかを考えねばならない。

 現場での現状数値を把握しておかなければ、立てた目標がやる前から達成不可能なものとなる。

 矛盾が起きないように、目標設定の前提となる現場での生産性の現状と、目標となる基準の再設定について確認する必要があります。

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