ポーター&ローラーの期待理論

9つの変数でモチベーション要因を紐解く

 レイマン・ポーターとエドワード・ローラー三世は、ブルームの期待理論を系統立て、9つの変数を使いモデル化を行い1968年に新モデルを提唱しました。

 9つの変数には、①報酬の価値(誘意性)、②報酬の確立、③努力、④能力と資質(才能)、⑤役割認知、⑥成果、⑦外的報酬(インセンティブ、ボーナス、昇進・昇格など)、⑧内的報酬(達成感など主観的な価値や感情)、⑨満足、があり、それらの期待が連鎖することで、はじめてモチベーション向上へとつながると提唱しています。

 ポーター&ローラーの考えた期待理論では、モチベーションの強さは、「期待(可能性)」と「誘意性(欲求の強さ)」で表されます。

 例えば、「海外の大学院でMBAを取りたい」「将来は国際的な弁護士になりたい」という強い欲求(誘意性が高い)があったとしても、「挑戦しても絶対に無理だ」と思い込んでいたら期待(可能性)はゼロなので、モチベーションの強さもゼロとなり、そのような行動は起こさないということになります。逆に、「確実に大学に入学できる」ことや「確実に資格が取れる」ことが分かっていたとしても、希望している対象でなければ誘意性はかなり小さくなるため、そのような行動のモチベーションも低くなります。

 実際の企業組織内では、役割・昇進・休暇・友人・自己実現など従業員が高い誘意性を感じているものと、役割遂行能力を結びつけることによってやる気を喚起しています。

 企業組織においては、モチベーション理論を活用して、メンバーのモチベーションの向上・維持に努めています。

 組織メンバーのモチベーションが高まれば、仕事の質やサービスが高まり、その結果として職務の「生産性向上」や「効率化」につながります。

 個々のメンバーの生産性向上が組織全体のパフォーマンス向上につながり、最終的には「従業員満足」や「顧客満足」の向上につながると考えられています。

 「従業員満足」や「顧客満足」の向上がメンバーのさらなるモチベーション向上につながり、「好循環のサイクル」が生まれることになります。

 個々のメンバーのモチベーションが低ければ、職務の「質」「サービス」は低く、生産性も向上しないため、組織としてのパフォーマンスも低いままとなり、組織全体のパフォーマンス低下は顧客満足にも影響を及ぼします。

 企業組織全体でのパフォーマンス向上を実現するためには、個々におけるモチベーションを高めなければならないということです。

 なお、同じ職場内の「顧客」(上司・同僚・隣の部署等)を満足させることも、組織全体の「質」「サービス」を向上させ、結果的に顧客へのサービスの質を高めることにつながり、顧客満足向上につながることも忘れてはいけません。

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