アダムスの公平理論
モチベーションに公平感を加えた
アダムスの公平理論とは、1965年にJ.ステーシーアダムスにより提唱された、個人の努力が公平に評価されているかどうかがモチベーションに影響を与えるとした公平理論です。
人は、自分か仕事に投入した全て(努力、経験、スキル、知識など。公平理論ではインプットという。)と、仕事から得たもの全て(昇進、昇給、特権・社会的地位の向上など 公平理論ではこれをアウトプットという)の割合を比較して、両者の割合が同じだと感じた時に公平感を感じ、モチベーションを向上させると主張しています。
人は、誰でも自己の仕事量や投入量に見合う報酬や結果を得たいと願うものです。
公平理論とは、この投入と結果の比が他のメンバーと等しい場合を公平、等しくない場合を不公平とよび、不公平の程度が大きいほど人はより不快となり、その解消へと動機づけられるとするものです。
不公平には、不足(過小報酬)ともらいすぎ(過大報酬)の2つがあり、不公平の解消には以下のような対応策があります。
・自己の投入を変える(努力量の増大/低下)
・自己の結果を変える(報酬のカットや返却、昇給の要請)
・自己の投入や結果を認知的に歪曲する
・不快な比較を避け、その場を去る
・比較他者の投入と結果の比を変える
過多評価で生じるモチベーション
自身と他者の努力あたりの評価が等しくない場合に不公平感を抱き、努力あたりの評価が等しくなるよう行動するモチベーションが生じるとしています。
アダムスの公平理論は、自身が過多評価を受けた場合、評価に見合うモチベーションが生じるとした性善説と、自身が過小評価を受けた場合に、不公平感を感じる性悪説が混在した理論であると言えます。
公平理論は、報酬の分配にとどまらずに投入と結果にさまざまな要因をあてはめることによって、援助行動や親密な他者との魅力関係など多様な人間行動を説明できます。