ロックの目標設定理論

目標が高いモチベーションを生み出す

 ロックの目標設定理論とは、目標がモチベーションに及ぼす効果を研究し、1968年にアメリカの心理学者ロックにより提唱された理論のひとつで、モチベーションの違いは、目標設定の違いによってもたらされているとした考え方です。本人が受け入れていることを前提に、曖昧な目標より明確な目標を設定した方が結果として業績は上がり、難易度の低い目標より高い目標を設定したほうが同様に業績は上がることが確認されています。

 例えば、単に作業として黙々と業務をこなすより、目的や意味、そして、その仕事の意義を明確に理解した方が高いモチベーションを維持することができます。また、「とにかく出来るだけ頑張れ」と言われるより、「今日中に100件出来るよう頑張れ」と言われた方が目標が明確で具体的であり、目標の達成に向け高いモチベーションを維持することができます。その上で、ロックは、効果的な目標設定に向け7つのステップを紹介し、明確な目標設定を行うことで高いモチベーション維持が可能になるとしています。
 ①目的や課題を明確化する
 ②業績や成果の計測方法を明確化する
 ③達成すべき基準とターゲットを具体化する
 ④目標達成までの時間と範囲を明確に定める
 ⑤目標に優先順位をつける
 ⑥目標達成の困難度と重要度を定める
 ⑦目標達成に必要な調整を行う

 また、動機の強さ(モチベーション)に影響を与える要素には、「目標の難易度」「目標の具体性」「目標の受容度」「フィードバックの有無」の4つがあり、これらの要素を統合的に考える必要があるとしています。

 

目標の難易度

 ある程度難易度の高い困難な目標が強い動機づけにつながり、高いモチベーションを生み出します。ただし、あまりにも難易度が高すぎて、達成が困難だと諦めてしまう目標では、取り組む前から達成不可と認識されてしまい、動機づけにつなげることはできません。努力すれば達成できる可能性のある範囲で、できる限り高い目標設定をするのが適切な目標設定であると言えます。

 

目標の具体性

 定量的かつ具体的な目標が強い動機づけにつながり、高いモチベーションを生み出します。目標達成度の測定が容易であり、具体的であれば、達成に向けて必要な努力も具体的に想像しやすく、実行手段が見えてくることがその要因であると言えます。

 

目標の受容度

 目標は、他者が一方的に押し付けるのではなく、本人が受け入れていることが重要で、本人が理解・納得する方が強い動機づけにつながり、高いモチベーションを生み出します。大切なのは本人がやりたいと思う気持ちであると言えます。

 

フィードバックの有無

 目標の達成度合いを定期的に確認し、目標の進捗度を示すことにより、高いモチベーションを維持することができます。自身では見えずらくなってしまう目標までの距離感や道筋を見失わないよう、定期的なフィードバックでフォローしていくことが大切です。

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