営業力強化のためのスキル

既存顧客深堀のための営業教育

1 トップセールスに必要なポイント
 トップセールスパーソンと言われる人の多くが、「新人時代や若手のときは、売れない営業パーソンだった」と言う人が多い。

 要は初めから売れた人などほとんどいないということです。

 売れない経験から、自分を見つめ直し、営業のやり方を変えてトップセールスと言われるまでになっていくのです。

 まず、トップセールスに必要なポイントを5点挙げる。
(1)ニーズを把握したければ、まず相手の話をじっくりと聞く。
 先方が話をしないのなら、質問形式でもよい。
 相手に話をさせること

(2)どのような点で困っているのかを、うまく聞き出すこと。

(3)ニーズを把握せずに、自分の売りたい商品を提案するから、相手が嫌がって次回の訪問につながらない。
 ニーズと商品が合致していれば、先方から質問が出てくる。

(4)相手の話の中にある小さなサインも敏感に感じ取り、話を膨らませること。

(5)トップセールスになりたければ、まず聞き上手になること。

 営業担当者は、言いたいことや伝えたいことをすべて口にしようとして、しゃべり過ぎてしまう傾向にある。その結果、商談時間が長くなり、多くの話をしたことで「営業した」と勘違いしてしまう。これは営業担当者の自己満足でしかない。

 先方が必要と感じていないものを提案したところで、相手は困るだけで、押し売りにしか感じてもらえない。

 営業担当者が「聞き上手」になるポイントは、相手に気持ちよく話をさせることです。

 商談相手の話の内容からどんなことに困っているのか、興味を持っているのかを聞き逃さないことである。

 自分ばかりが話をする営業をしていないかどうか振り返りつつ、以下で説明する営業スキル強化研修を参考に、部下のスキルアップを図っていただきたい。

2 営業研修の概要
 営業教育の手法としてはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)などの手法が挙げられる。中でも、多くの企業で行われているのが営業研修である。

 営業においても、自社の営業担当者の使命(ミッション)やアプローチ → ヒアリング → プレゼンテーション → クロージングまでの流れを研修を通じて型決めし、統一を図っていくことが重要となってきます。

 基本的なパターンとしては、講義での各テーマに沿った営業テクニックの基本から自社に置き換えた事例紹介と、ロールプレイングでの実践演習を行い、個人の営業スキルの確認や共有すべきトーク(自社紹介、ヒアリング内容、商品説明、応酬話法など)の型決めを検討していく。

 ロールプレーイングとは、2人の営業担当者がセールス役と顧客役になり、実際の商談の場面を想定した商談訓練を行う極めて実践的な教育訓練手法である。

 「知っていることとできることは違う」という言葉の通り、ヒアリングやクロージングの進め方をいくら頭で思い描いていても、イメージ通りに実践できるとは限らない。したがって、まず訓練してみることが大切である。

 最近では簡単に動画が収録できるため、その様子をビデオで撮影し、営業担当者に見せることで、本人も気付いていなかった身ぶり手ぶりの癖、話し方やニーズのとらえ方、商談におけるリードの方法などを認識することができ、非常に効果的です。

3 営業研修の内容事例

(1)「アプローチの基本」
 営業担当者は、従来の売上至上主義にのっとって、数字を上げることが自分たちの役割と思っていることが多い。

 トップの営業に対する思いや、今の環境変化の中での役割・責任、顧客満足や利益重視などを再認識することから始めなければならない。

 また、既存顧客営業において、自社紹介や普段取引していない商品の説明をする機会は少なく、その対応には、個人間のばらつきがある。

 したがって、営業トークを型決めし、ロールプレーイングを実施していく。

(2)ヒアリング力(アプローチの応用編)の向上を目指す
 目的は、顧客の潜在ニーズを引き出すヒアリング力の強化。

 ヒアリング力の強化は、研修の中で一番重要になってきます。

 既存顧客の担当者や窓口(部署)が変われば、ニーズや課題も違ってくる ため、ヒアリング内容も十分に検討する必要がある。

 ヒアリング内容のポイントとしては、
 ①現状把握(現状の商品・サービスの状況)
 ②顧客の評価(商品・サービスに対する不安や不満)
 ③今後どのような取り組みを考えているか

などがあり、質問の項目や聞き方の整理をしていく。

 重要なのは、ヒアリングを行い顧客の話をしてもらうインタビュー力を体得することにあるのです。

(3)提案する際のプレゼンテーション力の強化
 プレゼンテーションは、単に商品やサービスを説明するだけではなく、ヒアリングで確認した内容を踏まえて、分かりやすく、丁寧に伝えていかねばならない。

 人には話すときの癖(スピード、抑揚、間)があるため、正しい説明の仕方と話し方を体得することが必要となる。したがって、商品・サービスごとの特徴や利点の整理、プレゼンツールの使い方を全員で検討し、プレゼントークに落とし込んだ上でロールプレーイングを行う。

(4)クロージング
 良いプレゼンテーションができても、購入までのフォローをしっかり行わないと、せっかく上がった情報も枯れてしまうことになる。

 クロージングでは、購入までに確認すべき事項(キーパーソン・予算確保・購入時期・条件の解決策)を洗い出したり、顧客の断り文句に対する切り返し(応酬話法)を考えていく。

 特に、若手営業担当者は、切り返しができずに失注することが多いので、ロールプレーイングを通じてスキルアップを図らねばならない。

4 各ロールプレーイングの指導(チェック)ポイント

 アプローチのポイントは、主に「態度・話法」「セールスステップ」にある。

特に、「適度なアイスブレーク(緊張をほぐす手法)で関係づくりができているか」「顧客の状況やニーズを探り、次回のアポイントを取ることができているか」をチェックする。

 ヒアリングでは、状況把握 → 問題・課題の発見 → 掘り下げ → 共有というステップをたどる。

ここでは、「終始聞き役に徹し、顧客の話を最後まで聴く姿勢ができているか」「顧客の現状・環境について客観的に事実を聞いているか」に注意が必要である。

 プレゼンテーションでは、オープニングから特徴・利点、利益、プレゼン力のステップで指導してほしい。

 ここでは、それぞれのステップで「顧客が理解・納得していることを確認しているか」、また全体を通して「あいまいな言葉遣いはしていなかったか」がポイントである。

 クロージングでは、その場での確認事項、応酬話法、仮クロージングを、チェックリストに基づいて確認いただきたい。

 全体を通して「他社や過去の納品・導入事例を説明して、より購買意欲を高めることができているか」がポイントである。

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