組織営業の再構築
1 売れる営業チームづくり
既存顧客を深堀するには、「経営トップ+営業マネージャー+営業担当者」の三位一体で組織営業に取り組む必要がある。
そうでなければ、成果が出るスピードも上がらない。
まずは、「コミュニケーション」「チームを動かす仕組みづくり」の2点について強化を図っていきます。
(1)コミュニケーション
営業部門の場合、報告・連絡・相談は、定期的なミーティングや日報などの形で頻繁に行われる。
顧客・業務管理においても、ITを活用し、マネジメントしていることが多いでしょう。
しかし、強い営業チームをつくるために最も重要なのは、ツールや手段ではなく、コミュニケーションそのものの充実である。
各人の能力を超えて成果を伸ばすためには、顧客情報や、ライバルの成功例など、情報を持ち寄り、議論し、アイデアを出し合うという、コミュニケーションが活発な風土づくりが求められる。
自ら考え、工夫し、行動するには、中身の濃いコミュニケーションを取ることが不可欠です。
営業マネジャーは、部下が議論や前向きな提言をしたことに対し、「前例主義」や「会社の意向」「偏見や思い込み」などで頭ごなしに否定しないこと。
ここでの否定は、新たなアイデアの芽を潰してしまう。
こうした状況下では、コミュニケーションを高めて議論し、アイデアを出していくという風土は生まれない。
相手(部下)を尊重して、議論の過程をしっかりと聞いた上で判断やアドバイスを行い、中身の濃いコミュニケーションを育む風土をつくらなければならない。
(2)チームを動かす仕組みづくり
営業部門が成果を出すためには、各人の仕事が計画通りに進んでいるかどうかのチェックが必要です。
顧客にどんな問題があって、どのように行動していくかを、部門全体で共有し、改善策を加えながら営業活動を展開していくことが大切になる。
そのためには、役割を分担し、個人の活動が生きるように、メンバー間の情報についてコミュニケーションを密にし、結合させながら営業活動を行う仕組みが必要となります。
その指揮を執るのが、営業マネージャーである。
マネージャーは、メンバーが力を発揮しやすい仕組みづくりに着手していく。
ここでのポイントは、営業担当者のつながりの中心にいるマネージャーが その役割を果たす決意を持っているかどうかです。
組織が疲弊することなく、長期的に成果を出していくためには、リーダーが個の活動を効果的に生かし、営業部門を徹底して動かさねばならない。
また、こうしたチームワークを通じて個人の成長があり、ひいてはチーム全体が成長していくのです。
2 成果を挙げるための目標管理のポイント
売れる営業チームには明確な目標が必要である。
年度の営業目標を立てるためのステップは以下の通りです。
STEP1(どれだけ売れるか)
担当者(チーム)の過去の実績や取り巻く環境など客観的な見通しから、「どれだけ売れるか」を求める。
STEP2(どれだけ売らなければならないか)
目標利益(粗利益・営業利益)および人件費、販売管理費や間接共通費などから必要な金額を算出する。
STEP3(どれだけ売るか)
STEP1と2を踏まえた上で、意欲的で政策的、かつ全員の納得(合意)を得た目標を設定する。これが「真の目標」と言える。
どれだけ売れるかという客観的な環境・業界予測と、自社の経営を維持するために必要な金額という2つの側面から検討し、真の目標を設定しなければならないということです。
経営の本質は「永続発展」である。企業を永続的に成長させ続けるためには、「目標」が優先することは言うまでもない。
目標を立てる時に、問題になる点としては次のようなものがある。
①トップからの押し付けで、営業担当者自身のものになっていない
②営業担当者だけの狭い視野から見た消極的目標になっている
③目標が高すぎて、絵に描いた餅になっている
理想とするのは、目標達成のための裏付けや根拠があり、直近実績の1~2割を新たに負荷することによって達成可能な目標である。
目標の設定に当たっては、結果として前年実績に上乗せする形であってもよいが、単純に「前年の何%アップ」という機械的な決め方では意味がない。
また、目標設定においては、細分化を行い、実績管理のきめ細やかさや異常事項の早期発見に役立てていく。
細分化の設定としては、
①時系列(月、週、日)
②地域別(売り場別)
③得意先別(顧客別)
④商品別
⑤販促別(キャンペーン別、催事別)
などが挙げられる。
3 営業PDCAの徹底
営業マネジャーは、売れるチームづくりのために PDCAを徹底させることが必要である。
特に、次の3点について確認してください。
(1)行動計画の徹底(スケジュール化)
最終的には、営業担当者の個人の力量に頼ることになるものの、前提としては目標を行動に直結させ、選考管理を行うことが求められる。
営業担当者の業績は、時間との戦いであり、計画性のある行動で時間を有効に使った人が良い結果を出すことができる。
また、顧客との商談時間の多さで得られる情報量に大きな差がつく。わずかな時間をムダにせず、「もう1軒、あと1分の商談」という行動力を積み重ねることの効果は大きい。
(2)中間チェック・フォロー
「あと何日でいくら(金額)売らなければならないか」「現在の未達成分(差額)の対策は十分であるか」が意識されなければ、せっかくの目標もムダになる。
1ヵ月が終わり、目標未達でもまだ残された時間があり、何をどうするか十分に討議し、今までのやり方の悪い点をあらためることによって目標に近づくことができる。
(3)目標と実績の差額(差異)分析と対策の明確化
二つ目の真の目標は、「差額(差異)」とも言われる。
個人(チーム)の目標に対して、実績(+見通し)を引いて いくらの差額があるかを常に頭に入れておく必要がある。
差額の概要を押さえてから、
①目標、実績、差額の内訳の把握
②差額の原因は何か
③差額を埋めるための対策
④営業活動への落とし込み
という順序で対策を明確化する。