営業日報

役に立たない営業日報 

 多くの会社で営業マンに日報を書かせていることと思います。ですが、何のために日報を書かせているのか、もう一度確認してください。

 営業マンは、社外にいる時間が多く、その行動を把握することはできません。そこで、営業マンの行動を把握するために、1日の行動記録を日報にして提出させる場合が多いようですが、はたして日報というのは行動記録を書くことなのでしょうか。また、営業マンに行動記録をかかせることに、どれだけの意味があるのでしょう。
 例えば、毎日10件の顧客を訪問している営業マンと、毎日5件訪問している営業マンでは、どちらが評価できるでしょうか。きっと、多くのマネジャーが「もちろん10件の顧客を訪問している営業マンに決まっている」と答えるでしょう。

 しかし、訪問件数を多くすることだけを考え、準備も そこそこに、休む間もなく得意先を回っているかもしれません。その結果、訪問件数は伸びても成約に結びつかないということも考えられます。

 一方、訪問件数よりも商談の中身を重視し、訪問の前に十分な時間をかけて準備し、高い成約率を実現しているかもしれません。

 行動記録だけを書かせる日報では、それぞれの営業マンが「何を考えたからそういう行動をとったのか」といった部分は見えてこないのです。

 また、行動記録にはウソを書き込むこともできます。
 単に営業マンの行動を報告させる日報は、営業マンにとっても、会社にとっても何の意味もなく、無駄な作業として営業マンの負担になるだけです。

では、意味がある日報とはどのようなものでしょうか。一言で言えば、営業マンの活動にプラスになるものです。

 本来、日報とは、一日の活動を振り返り、その成果や反省点を報告するものです。そうであるならば、日報とは、「営業マン自身が一日の活動を振り返り、次の活動を改善するために書くもの」であるはずです。

 「今回の訪問の目的は何か」「なぜこの商品をこの得意先に勧めたのか」「次回の商談はどう組み立てるべきか」、といったことを営業マン自身に考えさせ、気づいた点、感じた問題点とその対応策を書かせることです。
 単に行動記録の事後報告に終わらせるのではなく、営業マン自身が自分の活動を振り返り、成長するためのツールとして活用します。

 1日の営業活動を始める前に、必ずその日の目標、課題を設定してください。

 できれば、前日のうちにその日の反省をふまえて目標を決めておくとよいでしょう。

 「日報を書けといわれても、書くことがない」という営業マンがいます。それは、「ただなんとなく訪問活動をしているから」ということにほかなりません。

 営業マンにとって問題意識をもつことは基本です。

 

営業日報の書き方

 日報の活用で気を付けなければならないのは、あまりにも細かい報告を義務付けて、営業マンの管理をがんじがらめにしてしまうことです。

 事務的な作業を増やして営業に注力できなくなったり、自由な営業に縛りがかかったりとマイナス効果を生んでしまう恐れがあります。

 極力細かい日報は避け、対話ができるレベルに抑えることが望ましいでしょう。

 

営業日報の使い方(記入)

行動の記入

 商談時間と移動時間など行動の境界線は、記入者が自ら横線を引いてください。

 商談の場合は、訪問先と相談内容を書き込みます。

 その他の、社内での作業などの場合はその作業内容を記入します。

 特記事項の欄には、得意先から得た情報や、商談中に気づいた点などを記入しておき、帰社後に整理、確認します。

目標の記入

 1日の営業活動を始める前に、必ずその日の目標、課題を設定してください。

 当日の朝、設定しても構いませんが、できれば前日のうちにその日の反省をふまえて目標を決めておくとよいでしょう。

 日報に書くことがない、という営業マンは「ただなんとなく訪問活動をしている」ということにほかなりません。

 こうした状況に営業マンが陥らないために、毎日の営業活動に目標、課題を設定する必要があるのです。

 なにも難しい目標を設定する必要はなく、最初は「1日10件訪問する」とか「ライバル企業の情報を一つは聞き出す」というものでもよいのです。

 これを毎日繰り返すことで、徐々に目標のレベルは上がっていきます。

 営業マン自身が、自分の力でより高いレベルに到達することができるのです。

成果の記入

 問題意識を持って行動していないと書けない項目です。

 もちろん、「成約」が最大の成果なのですが、毎日成約できるわけではありません。

 日々の地道な活動の中で、小さな「成果」を見つけだし、積み重ねていくことが重要です。

問題点と対応策の記入

 ここには、営業活動中に気づいた問題点と それに対する自分なりの解決策を書いておきます。

 営業マン自身に解決策を考えさせることで、問題解決能力がつきます。

 

トップ、上司による行動管理のポイント

何のために訪問するのか(その目的と ねらい を明確にすること)

 ・商談締結のための訪問

 ・新商品提案(販売)のための訪問

 ・契約のための訪問

 ・クレーム処理のための訪問

 ・集金・顧客先情報収集のための訪問

 ・有益情報提供のための訪問

 その目的によって指示・指導するポイントが違ってくることを忘れてはならない。

日報をチェックするとともに、適切なアドバイスを即刻行なう

 ・翌日からの行動計画内容をアドバイス

 ・計画変更の指示

 ・計画訪問不履行の場合、その理由を確認

 ・決定した訪問計画を遵守させる

 ・訪問経路・順序・食事時間のとり方をアドバイス

 ・できるかぎり行動を標準化させる

行動効率を高める、良い仕事の習慣を体得させる

 ・行動内容別に時間を記録させる。

 ・販売活動の内容を、目的・ねらい・目標・成果別に分析させる。

 ・行動予定は時間別に計画表を作成させる。

 ・週間・月間別に活動実績を整理させる。

 ・営業マンとしての仕事の組織化が十分かどうか検討させる。

 日報は、書く側だけではなく、それを管理する側の能力も問われます。

 せっかくの日報も、営業に生かすことができなければ、書くだけ無駄に終わってしまいます。

 日報から集めた情報やノウハウを、組織として活かすための仕組みづくりが管理する側の役割となります。
       

日報を書かない営業マンヘの対策

 

 営業マンのなかには、「自分の仕事の本質は販売にあり、日報を書く時間も惜しい」と思っている人も多いようですが、営業マネージャーが営業マンの行動を管理し、要所で適切な指導を行い、効率的な営業活動に結び付けるためには、日報の作成が欠かせません。
 営業マンが日報を書かない、あるいは書きたがらない理由は、
 ・営業の仕事ができていれば、日報は必要ないと考えている

 ・一生懸命日報を書いても、上司がきちんと読んでくれない
  仮に読んでも具体的な指示などがない

 ・日報の報告は要点しか伝わらず、結局は口頭による報告も必要になる

 ・外出が多く文章を書く機会が少ないため、書くこと自体が苦手である

 ・字が汚いので書くことが嫌いである

などさまざまです。

 営業マンの日報否定をまとめます。

1 書く意味がない

 日報は、営業活動におけるさまざまな情報を上司やそのほかの部門に知らせる重要なツールです。

 しかし、それが有効に活用されなければ営業マンが「書くことが無意味だ」と思うようになるのは仕方のないことでしょう。

 日報に対しては確実にフィードバックすることが必要です。

 その際には、業務上のフィードバックとともに、日報の書き方や内容についてのフィードバックも行いましょう。

 両方のフィードバックを行うことで、営業マンの日報に対する意識が高まり、より質の高い日報を書くことができるようになります。

対策
・週に1~2度、日報のフィードバックを行うための打ち合わせの時間を決め、これを習慣化する

2 書く時間がない

 1日に何件も訪問した後に帰社してから書こうとしても、時間がかかるうえに正確な報告は書きにくいものです。

 営業マンの日常業務の流れのなかで、日報作成の時間を割けるよう指導しましょう。

 

対策

・帰社後一定の時間を日報記入にあてるように指導する

・商談時にメモをとり、日報にそのコピーを添付させる

・移動に電車などを使う場合は、移動時間を利用して書かせる

3 書くことが苦手

 書くことが苦手という人には、「きちんとしたものにしなくてはならない」という気持ちが強いことが多いものです。

 営業日報は社内だけのものですから、必要なポイントさえ押さえていれば、最初は単語の羅列でもかまわない ということを教える必要があります。毎日書いて慣れることで苦手意識を克服することもできます。

対策

・一定の期間を区切って、その間は全部の欄を埋めるように指導する

・初めは箇条書きなどの書きやすい形で書く

 書く内容がない

「定期訪問」や「打ち合わせ」といった決まり文句の繰り返しになることがあります。

 しかし、たとえルートセールスであっても、訪問ごとに在庫状況の確認などを行っているはずです。

 営業活動の内容を整理・確認するとともに、書くべき事柄を指導していく必要があります。

対策

・営業活動の内容を より具体的にとらえるように訓練する

・書くべき項目を設定し、それについて具体的に記入するように指導する

・訪問ごとの目的を明確にさせ、それが達成できたかどうか、要因分析も含めて記入させる

 

営業日報の目的 

 営業日報の目的は営業マンの行動管理であり、収益に直結させるものです。

 営業日報は単なる事後の報告書ではなく、行動計画書、顧客情報の蓄積として活用することで営業マネージャーにとって営業管理に欠かせないツールとなります。 

 従来の日記式の日報で、営業活動の報告書を営業マンに提出させるやり方では、ほとんど意味がない。たいていは、今日できなかったことをクドクドと記述した日報が多いためか、上司もウンザリするような顔をして、読んだのか読まないのか わからずじまいとなってしまう。
 結局、完全なフィードバックもせずに、放置されるケースが多い。

 営業日報の提出が このようにマンネリ化した作業となっているのが、たいていの企業の営業部門の実態ではないでしょうか。これでは売上げが上がるはずがない。その場合は、思い切って営業日報の書き方を変えてしまう必要があります。

 ・営業活動に対する管理、指導のためのツールとして活用する

 ・営業マン自身に行動の反省を促すためのツールとして活用する

 ・営業活動により得られた情報の報告を(確実に)行う

 営業日報は、訪問活動の過程や商談の進行過程を知る基礎資料となります。これにより、1日の訪問活動の内容を確認でき、次回訪問の指針が得られます。しかし、日報を書いても上司からの反応がなかったり、その日報が部門報告などにかされていなかったりすると、営業マンは日報を書く意欲をなくしてしまいます。それどころか、営業意欲を減退させてしまうことにもなりかねません。
 日報をいかすためには、書く側、読む側の双方が日報活用のための意識を高める必要があるのです。

 日報を作成しない理由に、「営業マンの人数が少ないから」「書かせても効果がないから」という理由で、日報を作成せずに、ミーティングだけを行うという会社もあります。それでは個人の記録が残りません。

 ミーティングは、たとえ議事録という形でまとめても、

 ・個人の経過がつかみにくい

 ・経過の変化を後から確認しにくい

というデメリットがあります。

 これは、日報の作成内容、管理、活用が正しく行われていないからです。

 したがって、会社の規模や営業マンの人数にかかわらず、日報を作成して管理することが必要であるといえます。

 

効果的な日報の書き方

1 日報の書式設定のポイント

 ・日報の利用目的を明確にし、そのために必要な項目を設定する

 ・ほかの管理ツールと重複させない

 ・営業マンが記入しやすいように工夫する

 日報に記入するべき内容が毎日の行動の記録のみで、日報を書く目的が不明確な書式があります。これでは、せっかく書かれた内容を今後の営業活動に活かすことができません。逆に、いろいろな項目を盛り込みすぎ、記入に時間がかかる書式もみられます。これでは営業マンも記入が面倒になりますし、管理する側もチェックに手間がかかってしまう。

 日報の書式は、その利用日的に沿って、営業マンの1日の活動の要点を的確にとらえることができ、なおかつ、記録しやすい形にします。

 また、書き込む用紙は1枚にまとめたほうがよいでしょう。

2 内容の構成

 日報は、以前に記録したことが現在どのようになって現れ、さらにこれからどのような営業活動を展開していくかを記入できるようにします。

 そのためには、次の事項を盛り込むとよいでしょう。

懸案事項はどうなったか(過去からのつながりを記入)
 ・売掛金の回収はできたか

 ・顧客からの要望は解決したか

 ・出荷は計画通りに行われたか

 ・クレーム対応は完了したか

 ・解決したことは何か

新しい事項は何か(今回始めておきたかったことを記入)

 ・受注内容(何を、どれだけ、いつまでに)

 ・顧客からの新しい要望

 ・新しい顧客

予想される事項と見通し(どのようになるか、またどうすべきかを記入)

 ・売上の予測、見込み

 ・目標達成の度合いと進捗状況

 ・新しい顧客の獲得状況

 ・他社の動きと見解

3 レベルアップのために

 日報の内容を充実させるために、営業マンには、

 (1)物事を見る目と鋭い感覚をもつ

 (2)文章を要領よく、わかりやすく書く

ということが求められます。

(1)「物事を見る目と鋭い感覚をもつ」ためには

 ・人の話のなかに、自社の商品に関係するところがないか、つねに考えながら聞く

 ・他社の動きに注目する(業界情報、新聞・雑誌などから)

 ・社内の製造技術担当者や研究部門から、技術の動向を聞く 

(2)「文章を要領よく、わかりやすく書く」ためには

 ・主語、述語を明確に書く

 ・修飾語や助詞はあまり使わない

 ・数値を使って表す

 ・明記できないことは、「調査中」「検討中」とする

 ・重要なところは、多少大きめの字で書いたり、アンダーラインを引く

 また、営業に出かける際には、あらかじめ今日の面談の目的を明確化しておく必要があります。

 たとえば「先方担当者に新商品の有用性を認めてもらい、次回はその上司との面談を設定してもらう」「次回正式な提案書を提出するために必要な情報をすべて集める」など、できるだけ具体的に目的を設定することが大切です。

 日報にも、訪問の目的を書く欄を設け、実際の面談後にそれが達成されたか、未達成の場合はその理由を分析し、記入するようにします。

 

営業日報の活用

 営業日報を有効に活用するには、営業マネージャーが日報をもとに営業活動をチェックし、営業マンに確実にフィードバックを行うことが重要です。

 ・計画通り行われているか

 ・効率的に行われているか

 ・抜けているところはないか

 ・クレームを受けるような活動を行っていないか

 そして、うまくいった場合は成功要因の分析を、うまくいかなかった場合は失敗要因の分析を、営業マン自らに考えさせることで、営業マンの能力を伸ばし、現在よりもさらに効率的に営業活動を行えるよう指導します。

 有効なフィードバックを行うことにより、営業マンは日報の必要性を再確認できます。

 日報は行動計画書であり、情報収集に欠かせないものです。

 日報が有効に活用されていないようであれば、緊急に見直す必要があります。

上司コメント

 単に行動記録だけを書かせる日報だと、「移動時間」「商談時間」「企画書作成」などと書いてあるだけですから、上司もコメントのしようがありません。

 ですが、「考えて行動する」ためのツールとなる日報では、営業マンが何を考えて、どう行動しようとしたのかがわかります。

 例えば、「なぜA社には○○を売り込むのか」「何の目的でどのような企画書を書いたのか」といったことについて、営業マン自身の考え方が書いてあるのですから、上司も具体的なコメント、指示を書くことができるのです。  

 

営業日報テンプレート

 営業日報の書き方は「文字の多用」から「記号・数値化」 

 日報を文字の多用から「数値化」「記号化」して、一目見ただけで営業活動を継続的に評価できる手法をとることです。そうすれば、営業社員はスムーズに報告書が書けるし、長々とした記述もないので読むほうも結果をつかみやすくなる。

 「営業活動の結果を記号化・数値化」した営業日報を作成すれば、読むほうもずっと報告者にフィードバックしやすくなります。

 また、面談時の相手の反応(感覚)も記号化することです。

 

 面談の印象を記述させようとすると、長々とした文章を書くことになり、書くほうも読むほうもマンネリ化してしまいます。

 また、不在で面談ができなかった場合には、「不在表」を置き、さらに、帰社した後にハガキを郵送することをしなければ子供の使いと化してしまう。

 問題は、面倒くさがらずに、継続的な実行ができるかどうかです。

 業務の見える化に日報は欠かせません。

 特に、営業日報は単なる事後の報告書ではなく、行動計画書、顧客情報の蓄積として活用することで、営業活動の効果を発揮させることができるのです。
 あなたは社員が今日どんな仕事をしているかを知っているでしょうか。

 トップ、責任者はこの問いかけに「Yes」と答えられるでしょうか。 
・顧客との約束を期限までに回答しているか?

 ・仕事はうまくいっているか?

 ・今日やるべきことを先延ばししていないか?
 これらの問題を解決していくために活用されているのが「日報」です。

 しかし、この日報を部下の行動管理と位置づけているトップ、責任者が大多数ではないでしょうか。

 営業担当者がサボらないよう、サボらせないようにするため「日報」を報告書として捉え、書かせることでまじめに仕事をしているかどうかをチェックしようとしていませんか?

 しかし、日報は本人の自己申告により書かれるので、都合の悪いことは書かないことも考えられます。

 このような日報であれば無用の長物になりかねません。

作れば売れた時代ならば、頑張れば頑張るほど売れましたが、今は頑張っても売れない時代なのです。 
 日報の誤った使われ方により、本人の自己申告に基づいて書かれたものだから、都合の悪いことは書かないことも考えられ、なかには嘘を書く人も出てくるでしょう。

 このような日報では、単なる事後報告書と化し、時間の浪費としか言いようがありません。

 日報は、社員の行動管理のためではなく、収益を上げるために活用していくことが 本来の趣旨です。

 なぜ日報がこのような使われ方になってしまうのでしょうか。

 原因として、営業マンの例で言えば、彼ら個人に集客(見込み客開拓)から顧客管理までの全てのプロセスを任せてしまっているからです。

 これでは継続した売上げアップは望めず、モチベーションは下がり、コンプライアンス問題にも発展しかねません。 

 営業マンが日報を正しく活用することで、見込み客へのアプローチに専念でき、有効な面談(収益に直結した)時間の拡大につながります。  

 

営業日報は行動計画書

 日報を事後報告書と捉えるから、営業担当者は、ついごまかしを交えた内容を書いてしまうのです。

 日報に次回行動予定の欄を設けることで、トップ、責任者のアドバイスが入れやすくなります。

 ・営業であれば商談内容を記載し、内務であれば業務内容を記載

・営業であれば商談中に感じたこと、内務であれば業務中に感じたことをそれぞれ記載

 ・次回の行動予定

 今日、日報を紙ベースで活用しているところは少ないと思いますが、せっかくのITを活用しない手はありません。

 エクセルでも十分ですし、安い市販のソフトでもよいでしょう。

 要は、収益を上げる道具として日報をどう活用するかです。

 正しい日報の使い方によって、

 ・業務(営業、内務)が時系列に見える

 ・情報の共有化が図れる

 ・チーム営業(役割分担・営業のプロセス)が明確になる

 ・「決められたことを決められたとおり実行する」を評価することができる

 ある雑誌のアンケート調査によると、営業スタッフ・営業責任者に以下の問題があるとのことでした。

営業スタッフ

 ・顧客の立場になった提案ができていない

 ・活動量が少なく、やる気がない

 ・場当たりなトークに終始し、適切なトークを知らない

 ・セールスの決め手が価格や商品の特徴だけになっている

 ・アポがとれず、顧客との接点が希薄

営業責任者

 ・適切な活動指示・助言ができていない

 ・営業戦略を立てられない

 ・営業手法がワンパターンで改革できていない

 ・部下のやる気を高められない

 ・ターゲットとなる市場・営業先を部下に指示できない

 今必要なことは、単に件数を増やした訪問ではなく、一件一件の訪問で如何に効果のある活動をするかということなのです。

「言われたことだけこなしさえすればよい」、よ「指示がなければ動かない」といったことであれば、営業のアウトソーシングもあれば、人材派遣もありますから、わざわざ固定給を払って正社員の営業担当者を雇う意味がありません。

 アウトソーシングや人材派遣にすれば、決めたことはやってくれますし、仕事ぶりが不満なら契約を解除するだけでよいのです。

 労働環境や雇用制度も変化しています。

 過去の延長線上で営業担当者の行動を管理するといった日報では、通用しないことだけは確かです。

日報を行動管理のための報告書だと思っているから、営業担当者もごまかしを交えた内容となってしまうのです。

このような無意味な日報をどのようにしたら生かすことができるでしょうか。

 日報が行動管理のための報告書と思うから、営業担当者もごまかしを交えた事後報告書を書いてしまうのです。

 「○○様に見積書を提出しました」「△△社に新商品の説明をしました」といったように、自分がその日何をしたかという報告が書き込まれるだけになってしまいます。
 このように、今までの日報の考え方からでは次の行動へつながる内容がありません。

 日報に必要なのは、「相手の反応はどうだったのか」、そして、「次回のアプローチはどうするのか」が書かれたものでなくてはなりません。

 このように、次回行動予定欄を設けることで、トップ・責任者が事前のアドバイスができます。
 「次回訪問時には、○○の資料を持参し、トークに□□を織り交ぜて話すと効果的な提案ができるよ」。逆に、事後のアドバイスになれば、「どうしてもっと早く見積書を提出しないんだ」といったようなコメントになりがちです。

 このような内容で日報を書かせることで、日報自体が行動計画書となり、場当たりな御用聞き営業から脱するために、日々次回の行動予定を考えていくようになるのです。

 

営業活動の見直し

 日報は営業活動の見直しにも役に立ちます。

 営業活動の見直しとは、各営業マンごとの販売計画と営業活動内容を検討することです。

 営業会議の場でこのような内容の反省会が行われる企業もあるようですが、単なる状況報告に終始しがちです。

 営業マンがしっかりと自分の営業活動を見直すには、個別に時間をとり、自分の日報をもとにじっくりと検討することが効果的です。
 また、長期的な見直しは日報だけでは不十分なので、週報や月報とあわせて営業マンの活動の軌跡が分かるようにしましょう。

 日報が正しく使われなければ、せっかくの営業マン個人の情報が会社の共有物にならず、有益情報が垂れ流し状態になってしまいます。これは会社にとって大きな損失です。
 日報は、江戸時代の商人が活用した大福帳にさかのぼります。顧客とのやり取りを時系列に書き込んだ帳面です。顧客との履歴を蓄積し、情報の共有化を図るために、誰が見てもわかるようにしたのです。同様に、富山の薬売りも、「懸場帳」と呼ばれる帳面で顧客管理をしていました。今で言うデータベースです。

 日報を行動計画書、顧客情報の蓄積として活用していくためには、仕組みづくりが欠かせません。
 営業担当者に限らず、組織自体の場当たりな行動の原因は、無計画と顧客情報の整備不足にあります。

 熱意や根性といった精神論をかざし、がんばっても売れない時代だからこそ、1件1件の訪問を中身の濃いものにしていくかということです。

 日報を事実だけを書かせた事後報告書にさせないためにも、事実だけでなく、「相手の反応」、「担当者の考え」「感じたこと」など、ニュアンスでよいから書かせることです。

 労働環境や雇用制度も変化しています。今までのような営業担当者の行動を管理するといった日報では通用しないことだけは確かです。

 どんなに業務の「見える化」を図っても、組織の根底にあるのは、「理念」「ビジョン」であり、「ES(従業員満足)」です。
 「見える化」を実現させる成否は「人(従業員)」であるということです。

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