顧客満足(CS)度の向上

購買後の評価

 商品・サービスの購入後も、消費者の一連の購買行動は終了するわけではありません。

 実際に購入した商品の使い勝手など、商品から得たさまざまな経験などは消費者の中に記憶され、次回の購買行動に影響を与えます。

 次回の購買行動に大きな影響を与える要因は「消費者の満足度」です。

消費者が実際に商品・サービスを購入・使用して大きな満足を得ることができれば、次回に同様の商品を購買する際にも同じ商品を購入する可能性が高くなります。消費者が不満を感じれば、次回は別の商品を購入することになります。

 

満足・不満足の要因

 「消費者(顧客)満足」の重要性はあらゆる場面で語られます。

 消費者の満足・不満足という評価は どのようにして形成されるのでしょうか。

 消費者は、商品・サービスを購入する前に、あらかじめ商品に対する「期待」を抱いています。一般的には、この期待と実際に購入した商品から得られる「成果・経験」などの差異が、消費者の満足・不満足を決定するとされています。「期待<成果・経験」であれば消費者は満足し、「期待>成果・経験」であれば不満足を感じるようになるのです。

 また、消費者は、購買に際して料金を支払ったり、情報の収集を行ったり、実際に商品を購入するために店舗に足を運ぶなど、さまざまな経済的負担や労力を費やしています。

 これらの経済的負担や労力に見合った成果が購入した商品から得られるか否かも、消費者が感じる満足・不満足に影響を与えます。
 不満足を感じた消費者は、製造メーカーや商品・サービスを購買した店舗などに苦情を申し出るなど、なんらかの行動を起こす場合があります。

 しかし、製造メーカーや販売した店舗などに何らかの意思表示を行う消費者は非常に少なく、不満を感じた消費者の数%程度にしかすぎないといわれています。
 最も多いのは製造メーカーや商品を購買した店舗などに対して「何のアクションも起こさない」ということです。これらの消費者は、企業の全く知らないところで、他社店の商品に乗り換えているのです。

 

顧客主導

 顧客満足度(CS)とは顧客のルールによるものです。

 市場が成熟したことで、市場の主導権は企業から顧客に移っています。

 また、市場の成熟に伴い、顧客は多くの商品知識を持つようになり、顧客主導型の市場が確立されました。

 このような市場において、企業が差別化を図るために取るべき手段の一つが顧客満足度の向上です。
 顧客満足度の向上策に大きな効果を発揮するのが、リレーションショップを図るための『顧客との関係強化』があります。

 リレーションシップの強化は、CSの向上を図るだけでなく、クレームの予防策、営業力の強化にも大きな効果を発揮します。

 

顧客対応

 電話対応、事務処理などは日常的な数多くある業務のうちの一つに過ぎませんが、多くの顧客にとって会社を意識する機会は多くはありません。
 (顧客との接点拡大はあなたを意識してもらう機会を増やす)

 ○約束したこと・時間は常に守られているか

 ○説明はわかりやすい言葉で丁寧に行われているか

 ○正しい言葉遣いで親切・丁寧に対応されているか

 ○『顧客の声』を取り入れ、それを改善する仕組みがあるか  

 これらのことはできて当たり前のことばかりです。自社に照らし合わせ、考えてみましょう。

 

お客様の期待に応える

 お客様が「〇〇してくれて当たり前」と思っていることを確実に実現する。

 言ったこと、約束したことを実行するのは当然ですが、言っていなくても、世間からみて「こうしてくれるのが当たり前」と思われていることも実行しなければなりません。

 お客様の期待に応えたいと思っていても、ついうっかりしたり、お客様の期待を誤解していたりすることもあります。
 理由はどうであれ、一度でもお客様の期待を裏切ってしまうと「万一の時は大丈夫か?」と不安にさせ、信頼を失ってしまうおそれがあります。

 お客様は100%期待通りにしてもらって当たり前だと思っており、組識全体が常にお客様の期待に応える体制作りが急務です。そのためにも、業務の遂行を勘と経験で行うのではなく、標準化してマニュアルを作成し活用することで、自社の品質を継続して維持していくことが欠かせません。

 

お客様が主語

 満足かどうかはお客様が判断します。

 ところが、お客様に聞きもせず、自分の判断基準で勝手に「こうすればお客様は不満はないはずだ」と思い込んでいる場合はないでしょうか。

 「お客様のことはわからないのが当たり前」ではなく、「お客様のことを知っている」にするためには、お客様に謙虚に聴き、それにしたがって改善する姿勢と体制(顧客管理)が大切です。

 あるアンケート調査によると、「折り返しお電話します」といった場合、お客様の時間の許容範囲は5分位と回答しており、それに対して15分後に電話したら「遅い」という不満が残るでしょう。お客様の期待はわからないので、「○分位でお電話できると思いますがよろしいでしょうか?」と確認すれば、期待通りに電話することができます。

 

お客様のことに注意を払う

 お客様は何を望んでいるか、どう思っているかなど、常にお客様のことを気にかけ、理解するように努めることです。

 それによって、お客様の期待を知ることができれば期待に応えられ、不満そうな時には改善することもできます。

 また、お客様にとっても、「気にかけられている」ことが満足度の向上に大きく影響します。

 

初心を忘れない

 あなたにとっては慣れているので大した事はないと思えることでも、素人であるお客様がとても気にしていることは少なくありません。

 慣れで対処すると、お客様にとっては事務的だったり、冷たいと感じられ不満になる場合があり、実際にこのような苦情や不満は数多く発生しています。

 初心を忘れず、慎重かつ丁寧に対処するよう日頃から注意しましょう。

 いつの時代にあっても、CSが語られないことはありません。

 

 業界を問わず、CSは経営における永遠のテーマであり、実践がおろそかになっている課題でもあります。
   

CSこそ差別化策

 商品の品質やイメージだけでは差別化できないこの時代に、高品質のサービス提供こそ数少ない差別化策なのです。

 しかし、現実には顧客が求めるサービスを実践しているところは ほんの一握りしかありません。

 それがよく分かるのが、顧客との接点の最前線である営業や内務事務における電話対応といった現場においてです。
 そこでは、きわめて劣悪なサービスが日常茶飯事のように行われ、顧客満足どころか、不満やストレスを提供するといった経営がなされているのが実態です。

 これまでの活動が商品をモノとしての発想でしか見ていなかった会社、経営者、社員が圧倒的に多かったのです。

 「買ってもらえばそれでおしまい」と考え、お客様に対して質の高いサービスや付加価値、気持ちよく契約してもらい、いつでも安心して任せられるといった満足感を提供することまでには考えが及んでいないのです。
 商売の基本となる商品の品質管理+サービスの品質管理=CSという構造に気付いていません。

 自分たちの都合を優先している多くの会社を見受けるのです。

 情報が不足な時代の つくれば売れた時代から、今「心の満足感、充足感」を実現するための努力が求められ時代になってきているのです。

 継続して収益を上げるのにインスタントな方法などありません。

「あれもこれも」と手を出さず、まず1つのことを愚直なまでにやり続ければ、次にやるべきことが明確に見えてきます。

 

マインド × スキル × 仕組み

 お客様に伝わるサービスにはマインドが重要な要素です。

 正しいCSの実行は、基本を仕組み(マニュアル)で理解し、応用となるスキル(技術)は訓練で身につけ、マインド(心のこもった)で対応。

 CSは、お客様が判断するものであって、会社が判断するものではありません。

 CSを実現するためには、お客様の要望・意見に真摯に耳を傾け、お客様の期待・要望を把握し、お客様の期待を上回る商品やサービスを提供することが大切です。

 

お客様を満足させる5つの基本

1 信頼性 

約束した事柄を約束どおりに実行する能力・信頼度・正確さ

2 迅速性

 すばやく直ちにお客様の役に立とうとする、やる気
  (直接利益にならないことでもいやな顔をせずテキパキ処理をする)

3 安心感

 お客様に示す知識・丁寧さ・確かさ

4 共感性 

 お客様に示す配慮、個人的感情の度合い、問題を解決するのに、お客様の立場を理解し、そのニ-ズ(不足)に細かく配慮する。

5 仕事場の整理・整頓、身だしなみ

 ・現場スタッフが商品であり、CSのカギを握る

 ・現場スタッフが会社の代表者

 ・現場は会社の顔

 顧客満足とは、お客様が満足していること、すなわち、お客様があなたの対応に喜びや感動、感謝といった感情をもつことです。
 『顧客は満足を買っている。しかし、だれも、満足そのものを生産したり供給したりはできない。満足を得るための手段をつくって、引き渡せるに過ぎない』(ドラッカー)

 顧客満足で一番難しいのは、あくまで お客様の判断、主観、感情であるということです。

 よくあるケースですが、お客様があなた(会社)のサービスに対する苦情を申し立ててきた場合に、苦情を受けた側に聞くと、「自分は、特にあのお客様には充分すぎるほどのサービスを提供してきた」という答が返ってきます。しかし、それはあなたの判断(顧客ニーズとあなたの顧客サービスとのミスマッチに気づかない)であって、お客様は実際には満足していないというケースが見受けられます。
 どんなにすばらしい商品・サービスを提供したとしても、お客様が本当に満足しているのかどうかを自問すべきです。

 あなたの挨拶、身だしなみ、態度は、お客様を不快にしていないだろうか。お客様はあなたを見た目で判断しています。

 このように、顧客満足度向上のためには、社会人・組織人としての基本である基本動作の習得が不可欠です。
 お客様のニーズは、お客様に聞くのがもっとも確実な方法ですが、あなたとしては、日頃から顧客との関係づくりの強化を図っていくことがCSに繋がるのです。

 また、顧客満足、特にお客様のあなたに対しての満足度は、本質的には、お客様が購入した商品・サービスに支払った料金の額と提供を受けるサービスの価値が同額か、それ以上の時に得られるものです。

 お客様から頂く料金と あなたがお客様へ提供するサービスは、必ず等価交換(またはサービスがより大きい状態)でなければなりません。

 料金額に見合わないサービスしか提供しないあなたからは、やがてお客様は離れていきます。
 ネットビジネスは別にして、あなたの価値は、人間が介在して お客様の目の前で提供されるサービス、すなわち、提供する付加価値の一つ一つ、そして、そのことによってもたらされるお客様の信頼感、満足感などです。

 お客様は、それらのことをあなたに求めているということがいえます。

 あなたの価値はまさにそこにあります。

 

お客様はどのような時に「満足」や「信頼」を感じるのでしょうか?

 ・担当者の顔を知っている

 ・いつでも連絡がとれる

 ・常に自分のことを気にかけてくれている

 ・担当者は提供した商品・サービスについて何でも知っている

 あなたがお客様に自分の持っている価値やサービスを提供する場合、以下の点を明確に意識しておくことが重要です。

 

自分のもっている価値やサービスは何か、競合他社と差別化できる強みは何か

1 企業として当然提供しなければならない基本的な価値、サービス(基本業務サービス) 

2 基本的な価値やサービスに付加して提供できる付加価値サービス 

3 これだけは、自社しかできないと言える差別化サービス

 その価値やサービスは、誰が、どのような手順でお客様に提供していくのか。これは「行動」として明確化し、実践していかなければなりません。

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