販売目標の立て方

1 販売目標についての考え方
 本来、販売目標は販売割当とは違う。

 目標とは、予算策定において最低でも経費を上回る売上げを上げるものでなければならない。

 これが必要最低限の必達目標となる。

 目標を拠点別・担当者別に振り分けると販売割当額、いわゆる販売責任額となる。

 もちろん、経費をカバーできるだけの売上げを上げればそれで良いというものではない。

 しかし、設定された目標数字の根拠が不明確であれば「何とかしろ」「気合で頑張れ」といった精神論になってしまう。

 これでは計画とは言えず、戦略もない状態で販売活動を行うという状況に陥ってしまいます。

2 目標を立てる時の注意点
 大半の会社は目標を立てる時に、前年の実績や経費、利益について検証せずに、対前年比だけで目標を設定している。ただ単純に前年より売上げを伸ばすことだけに着目して、目標を設定しているのです。

 会社は業績を伸ばしていかなければ成長しないが、現場の担当者が納得できる目標でなければ、常に成長を目指すモチベーションを高く保つことは難しいでしょう。

 現場担当者のモチベーションを維持するためにも、営業活動に携わるすべての人が販売割り当ての目標決定に参加する仕組みにすることが望ましい。

 「これだけの実績を上げろ」とトップが一方的に目標を与えるのではなく、担当役員から部長・幹部、一般社員にいたるまで全員が目標額を提出する機会を与える。

 順序としては、現場担当者から順に上司に目標額を提出していきます。

ほとんどの場合、少しでも自分が楽に達成できるようにとの心理が働いて低い目標数字を出すため、段階ごとに目標額の加算調整を行う必要がある。

 そうした調整を経た後、最終的にトップの承認を得て、上から順に戻す。

その手順の中で必ず目標の根拠を明示し、必達数字であることを全員の共通
 認識としなければならない。

3 目標数字の割当基準
 全社の目標数字がトップから示された後、目標数字を拠点ごとに振り分ける。

 各拠点は、戦略的にその構成メンバーで担当地域の全顧客を回れる範囲をエリアとして設定すべきです。

 そして、そのエリアにおける販売可能額を割り出し、拠点の人員数を設定することになる。

 さらに、その拠点の責任者が営業担当者の実績やキャリア、能力などを考慮し、担当者から出た目標額が妥当か否かを判断して、拠点全体の目標額を算出することとなる。

 過去の実績を見る場合は「対象期間が短すぎないか」「外部要因(環境)がどの程度の影響を与えているか」「実績は実力に応じた必然的なものか(偶発的なラッキー受注はどの程度の割合か)」「今後の成長可能性(伸びシロはどのくらいあるか)」などを考慮して、調整しなければならない。

4 営業担当者のモラール低下を招かないために
 営業担当者に目標数字を割り当てる際、明確にその根拠を示す必要がある。これを怠ると、「頭ごなしに数字を押し付けられた」「前年同期に比べて、ただ単に数字を上乗せされただけだ」といった不満が必ず発生します。このような状態であれば、最初に担当者から出る目標数字は上乗せを前提にした低い数字となってしまう。

 「どうせ上乗せされるから、実際の80%程度の数字を出しておけば、最終的に自分が考えているところに落ち着くだろう」となる。「100%達成できる数字を出す」ことを前提とした考えしか出てこなくなり、営業活動に求める方向性にズレが生じてしまう。

 業績の評価はそれとは別に考えなければならないが、混同されてしまうことになる。

 こういった傾向は、経験を積んだベテラン営業担当者ほど顕著に現れます。

 厳しい状況の中で目標設定を行っても、担当者が目標をきちんと理解・納得し、自らの意思で達成に向けて具体的に何をすべきかを考えれば、高いモチベーションを維持しながら日々の営業活動に取り組めるものです。

 そのために、トップは、売上げ増に向けた目標数字の根拠や、会社が健全に成長するために必要な活動は何かを、明確に説明する必要がある。

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