新規参入への対策 「競争回避の戦略」

 競争回避の戦略は、ファイブ・フォース分析で挙げられる5つの競争環境のうち、新規参入企業の「新規参入の脅威」に対する対策です。

 

新規参入を防止する「6つの参入障壁」

 参入障壁とは、ある業界に新規参入しようとする企業に対し、参入を妨げる障害のことを指しています。市場に新規参入があることで、市場での競争度合いが高くなり、一般的には業界の収益性が低下すると言われているため、既存企業は、参入障壁を高くすることで新規参入の脅威を阻止しなければなりません。

 新規参入を防止する阻害要因には、主に以下6つの参入障壁が挙げられます。

規模の経済性

 大量生産を可能にする大規模設備があると、規模の経済が大きく働き、一製品にかかる平均費用が低下することで利益率の向上が見込めます。また、製品の低価格化が実現できることから、新規参入企業にとっての大きな参入障壁を築くことができます。

差別化戦略

 既存企業が市場において認知度の高い製品を持っている分野に新規参入を図る場合、参入企業は、莫大な広告宣伝費をかけて製品の認知度向上を図らなければなりません。この場合、既存企業はブランド・ロイヤルティを確立しており、スイッチング・コストにより消費者を囲い込むことで、参入障壁を築いていることから、新規参入企業にとっての大きな参入障壁となります。

初期投資額

 必ずしも成功するとは限らない事業に対しての巨額な初期投資はリスクが高く、大きな参入障壁があると言えます。

 日本の通信事業大手3社(ドコモ、ソフトバンク、au)に楽天が参入したケースは、初期投資の参入障壁を巨大な資本力で乗り越えた事例であると言えます。

流通チャネル

 既存企業により、既に流通チャネルが確立されている場合、新規参入企業がその流通チャネルに参加することが困難であるケースや、独自の流通チャネル構築に巨額な投資が必要である場合などは、新規参入企業にとっての大きな参入障壁となります。

専門的技術・独占技術(特許など)

 業界への参入に専門的技術が必要な場合、または業界における技術が特許などで保護されている場合には、多額のライセンス料が必要となるなど、新規参入企業にとっての大きな参入障壁となります。

政府や法規制など

 事業開始にあたり、免許・許認可・承認・届出などの法的な規制が必要な場合、許可を得るまでの時間やコストが多大なものとなり、新規参入企業にとっての大きな参入障壁となります。電気・都市ガス・水道などのインフラ事業、運輸業、金融業、通信・放送分野などで多く見られます。

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