既存顧客を育成し、優良なリピーターを増やす

 経営者の頭を悩ます問題に新規顧客の獲得があります。新規の顧客を獲得し続けなければ、事業が破綻してしまうと考えている人がとても多いのです。しかし、本当にそうでしょうか。

 確かに、新規顧客の獲得は重要です。特に起業したばかりの経営者にとっては、新規の顧客を獲得することは生命線となります。しかし、ある程度事業が軌道に乗っている会社であれば、もっと既存の顧客に目を向けるべきです。

 既存顧客を正しく育成すれば、リピーターによって事業を安定させることができます。

 

なぜリピーターを増やす必要があるのか

 ビジネスにおいて、リピーターはとても重要です。売上を安定して上げていくために、既存顧客のリピート購入はなくてはならないものです。せっかく集客したお客さんに1回しか利用してもらえなければ、常に新規顧客を集め続けなければならなくなるからです。

 ビジネスでは、新規顧客を集め続けることは当然だと思うかもしれません。しかし、新規顧客ばかりに注力することはとても効率が悪いのです。膨大な集客コストがかかるからです。

 

新規顧客の獲得にはコストがかかる

 当然ですが、集客を行う場合、広告費や販促費などのマーケティング費用がかかります。企業は新規の顧客獲得のために膨大なマーケティング費用をかけています。しかし、商品やビジネスそのものが市場に浸透していくにつれ、顧客獲得コストは上昇していきます。

 新規顧客1人を獲得するために必要なコストを顧客獲得単価(CPO:Cost per Order)といいます。例えば、10万円分の広告を出して、10人が商品を購入してくれた場合、CPOは1万円となります。

 扱っている商品が製品ライフサイクル(製品が、導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階を経るという理論)の成長期にある場合、比較的CPOは低く抑えられます。しかし、商品が成熟期に入って以降は、CPOは次第に上昇していきます。

CPOが上昇すれば、その分粗利は少なくなります。例えば、3万円の商品を販売するのに、1年前はCPOが1万円であったのが、今年はCPOが1万5千円になったとします。この場合、1年前と比較して粗利が5千円分減っていることになります。

このように、新規顧客を獲得する際には、常にCPOを考慮しなければなりませんし、1回の販売では十分な利益を得ることが難しいのです。しかし、既存顧客に商品を販売する場合はどうでしょうか。

 

顧客リストを活用することでマーケティング費用を抑えられる

 既存顧客にセールスを行う場合は、マーケティング費用を大幅に抑えることができます。なぜなら、最初に商品を購入してもらった際に、名前や住所、電話番号、メールアドレスなどの情報を取っておけば、電話やDM(ダイレクトメール)、Eメールでアプローチをすることができるからです。

 顧客の名前や電話番号、住所、メールアドレスなどの個人情報を顧客リストといいます。顧客リストがあれば、不特定多数の人に自社の商品を認知させて、興味を駆り立てるためのマーケティング費用が不要になります。つまり、広告を打つ必要がないのです。顧客リストがあれば、リストに対して電話やDM、Eメールなどの主体的なアプローチが可能となるからです。同じお客から何度も購入してもらうことができれば、マーケティングコストが安く済む分、利益は大きくなります。リピーターをたくさん作ることができれば、収益は安定的に伸びていくのです。

 それでは、どのようにリピーターを増やしていけばよいのでしょうか。

 

従来のリピーター管理法、RFM分析の限界

 従来より広く活用されている既存顧客の管理法として、RFM分析があります。RFM分析とは、Recency(最新購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標で顧客を分類する方法で、3つの指標それぞれに得点をつけます。R・F・Mともに得点が上位である顧客を抽出し、アプローチしていく手法です。

 購入頻度や購入金額が高く、かつ、最近商品を購入してくれた優良顧客に絞って、電話やDM、Eメールなどでアプローチしていくということです。

 RFM分析のメリットは、短期的に売上が上がりやすいという点にあります。また、優良顧客だけに注力するので、顧客フォローの効率がとても良いのです。

 しかし、デメリットもあります。それは、「最終購入日から時間が空いてしまっているが、過去に多くの商品を購入してくれた顧客」「少額ながらも定期的に安定して購入してくれる顧客」をフォローできないということです。

 RFM分析の得点が上位の優良顧客だけフォローをしている場合、それ以外の顧客はいずれ離れていってしまいます。また、優良顧客が常にあなたの商品を買い続けてくれるわけではありません。何かのきっかけで、購買が止まってしまう可能性もあります。

 すると、必要な優良顧客数を確保するために、新規顧客の開拓に注力しなければならなくなってしまいます。そうなると、コスト面で効率が悪くなるのを理解できるでしょう。

 つまり、十分なリピーターを創出するためには、RFM分析では限界があるのです。

 それでは、どのような方法でリピーターを創出していけばよいのでしょうか。

 

やずやの「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論」に学ぶ

 RFM分析ではフォローしきれない顧客を優良なリピーターに育成する方法として、健康食品の通販会社である株式会社 やずや が開発した「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論(CPM理論)」が有効です。

 やずや は、通販業界で圧倒的な成功を収めたダイレクト・マーケティングの会社です。顧客ポートフォリオ・マネジメント理論では、RFM分析ではフォローしきれない顧客を優良なリピーターに育てる方法論が確立されています。

 顧客ポートフォリオ・マネジメント理論では、既存顧客を以下の5つに分類します。

初回客

 はじめて商品を購入した顧客

よちよち客:

 初回購入日から90日未満の間に2回以上購入した顧客

コツコツ客:

 初回購入日から最終購入日までの期間(在籍期間)が90日以上あり、なおかつ売上累計が7万円未満の顧客

流行客:

 在籍期間が90日以上210日未満であり、なおかつ売上累計が7万円以上の顧客

優良客:

 在籍期間が210日以上あり、なおかつ売上累計が7万円以上の顧客

 また、本来の顧客ポートフォリオ・マネジメント理論では、最終購入日から240日未満(離脱期間が240日未満)の顧客を「現役客」、240日以上(離脱期間が240日以上)の顧客を「離脱客」と大分類しています。

 そして、顧客ポートフォリオ・マネジメント理論では、以下の順番で既存顧客を育成していきます。

  初回客→よちよち客→コツコツ客→優良客

 ここで、流行客が上記の流れに入っていないことに気がつくかと思います。顧客ポートフォリオ・マネジメント理論では、流行客を重要視しません。短期間に大量に購入をする流行客は、値引きなどの割引キャンペーンに反応していることが多いからです。

 価格に過度に反応する人は、他社で安い商品が売られている場合、簡単に乗り換えてしまいます。あなたの会社や商品に愛着を持っているわけではないのです。

 そのような流行客とは、長期的な付き合いをすることは難しいものです。もちろん、中には優良客になり、良いリピーターとなってくれる顧客もいます。しかし、多くの流行客は、安いものも追い求めて、いずれ他社に乗り換えてしまうでしょう。

 そのため、顧客ポートフォリオ・マネジメント理論では、コツコツ客をより大事にし、コツコツ客から優良客へ育成することを考えます。

 

各顧客層の反応率を理解する

 初回客、よちよち客、コツコツ客、優良客では、それぞれ反応率が異なります。反応率とはセールスを行った際に購入してくれる成約率の目安です。

 それぞれの反応率は以下のようになります。

  優良客:20%
  コツコツ客:10%
  よちよち客:5%
  初回客:1%

 初回客から優良客にいくにつれ反応率も上昇していきます。もちろん、優良客が最も反応率がよく20%もあります。反応率20%ということは、5人にセールスを行えば、1人は購入してくれるという計算になります。

 そのため、企業の収益に貢献するのは優良客であり、売上の大半を優良客で作っていることが多いのです。ビジネスでは、売上の8割は2割の顧客が生み出しているという「80:20の法則」というものがあります。

 顧客ポートフォリオ・マネジメント理論では、顧客全体の2割を優良客にすることができれば、事業が安定すると考えます。そのため、いかに既存顧客を優良客に育成し、また維持していくかということが重要になります。

 しかし、既存顧客を優良客に育成するには、以下の3つのプロセスが必要となります。

 1.初回客→よちよち客
 2. よちよち客→コツコツ客
 3. コツコツ客→優良客

 各顧客層で適切なフォローの方法が異なります。

 フォローのやり方は大きく2つに分けられます。それは、「初回客・よちよち客」のフォローと「コツコツ客」のフォローの2パターンです。

初回客・よちよち客のフォローの方法

 初回客とよちよち客のフォローで重要なことは、商品情報を提供するということです。この顧客層は、あなたの商品を購入して日が浅いので、商品のことを深く理解していない状態だと考えられます。そのため、商品情報を与えることで商品への理解をより深めてもらうことが重要なのです。

 そこで、初回客・よちよち客には以下のような情報を提供しましょう。

 ・商品の正しい使い方
 ・商品から得られるベネフィット
 ・商品のこだわり・他社との違い
 ・購入者の感想
 ・商品に関するよくある質問 など

 このような情報を提供することで、少額ながらも2回目、3回目と購入頻度を増やしていってもらうのです。そして、初回購入日から90日を超えて再度商品を購入してもらうことができれば、「コツコツ客」への育成が成功したことになります。

コツコツ客のフォローの方法

 コツコツ客は、既に90日を超えて在籍してくれているので、少額ながらも複数の商品を購入してくれています。そのため、商品知識に関しては理解が深まっている状態です。

 そこで、コツコツ客に対しては、企業情報を提供していきます。企業の情報を提供することで、あなたの会社に対して愛着を持ってもらうことが目的です。最終的にファンになってもらえれば、どのような商品であっても無条件で購入してくれるようになります。

 そのためにも、以下のような会社情報を提供していきましょう。

 ・あなたの会社が掲げるビジョン
 ・企業として行っている社会貢献活動
 ・社長の熱い想い
 ・従業員の顔や声
 ・商品開発プロセス など

 このような企業情報を提供することで、企業イメージのアップを図ります。そして、「この商品が欲しい」ではなく「この会社から買いたい」と思ってもらえるようになれば、コツコツ客のフォローは成功です。

 また、コツコツ客から優良客になるためには、売上累計が7万円を越えなければなりません。そこで、コツコツ客には積極的にクロスセルを行いましょう。

 クロスセルとは、購入してもらった商品の関連商品を勧めることです。一つ例を言うと、ハンバーガーショップで行われている「ご一緒にポテトもいかがですか」というものです。

 クロスセルは、客単価をアップさせることが目的なので、上手に活用することで7万円の壁を超えることができます。そのためにも、コツコツ客にはクロスセルを行えるよう関連商品を用意しておきましょう。

 しかし、クロスセルは、主力商品の理解が深まっていることが条件となりますので、既存顧客をコツコツ客まで育成してから積極的に行うようにしましょう。

 

優良客のフォローは特別感を演出する

 リピーター管理では、優良客に育成して終わりではありません。優良客をいかに維持するかも大変重要です。そのため、もちろん優良客へのフォローも忘れてはなりません。

 優良客にはどのようなフォローの仕方が適切なのでしょうか。

 優良客は既に商品理解が深まっていますし、会社への愛着も持ってくれています。そこで、優良客には日頃の感謝を伝えるという意味で特別なオファーを行います。

 例えば、以下のようなオファーを行うとよいでしょう。

 ・優良客限定の特別商品のオファー
 ・セミナーやパーティーなど、優良客限定のイベントへの招待
 ・優良客限定のニュースレターの発行  など

 上記以外にも、優良客にだけ特別に行う魅力的な限定オファーを考えてみましょう。そして、優良客の満足度を120%高めることができれば、優良客から「ファン」になってもらうことができるかもしれません。少なくとも、今後もあなたの会社から商品を購入し続けてもらうことができるでしょう。

 

初回客のフォローは、きめ細かく行う必要がある

 優良客の反応率が最も高いことから、いかに既存顧客を優良客にまで育成するかが重要であることが理解できます。しかし、ここで特に注意したいことがあります。それが初回客のフォローです。初回客とよちよち客のフォローは、商品情報を提供することが重要ですが、初回客には特にきめ細やかな対応が求められるのです。なぜなら、初回客が離脱してしまった場合の反応率が極端に低いからです。初回客の反応率は1%でした。しかし、もし初回の購入から240日以上経過してしまった場合(離脱客となってしまった場合)、反応率は0.2%にまで落ちてしまいます。

 元々1%と低い反応率が、さらに0.2%という絶望的な数字になってしまうのです。つまり、初回客が離脱してしまうと、復帰させることがほとんど不可能だということです。そのため、初回客はなんとしても よちよち客にまで育てなくてはなりません。初回客の離脱数が多いと優良客にまで育成できる可能性が著しく低下するからです。初回客をよちよち客に育てなければ優良なリピーターを作ることなどできないのです。

 それでは、初回客のフォローはどのように行えばよいのでしょうか。

 

メルマガとDMの両方で接触回数を増やす

 初回客が離脱してしまう原因には、大きく次の2つの問題があります。

 ・購入後に後悔する
 ・あなたの商品や会社を忘れる

 初回客が購入後に後悔する現象のことをバイヤーズリモースといいます。人は購入する瞬間は感情が高ぶっているので、心の中で購買行動を正当化しています。しかし、購入後時間が経つにつれ冷静さを取り戻すので、商品を購入したことを後悔し始めるのです。

 また、商品や会社のことを忘れるというのは とても単純です。何か商品を購入した後で どの程度その商品や企業のことを覚えているか考えてみてください。とても気に入った商品やお店であれば別ですが、多くの場合すっかり忘れてしまうのではないでしょうか。

 以上のような理由で、多くの初回客が離脱してしまうのですが、これを防止する方法があります。それは顧客との接触回数を増やすというものです。

 心理学に単純接触効果(ザイオンス効果)というものがあるとのことです。単純接触効果とは、人は繰り返し接触を図ると好感や印象が高まるというものです。

 この単純接触効果を利用すれば、初回客にあなたの商品や会社のことを思い出してもらえるようになります。また、適切な情報を提供し、コミュニケーションを図っていくことで、バイヤーズリモースを回避することができるのです。

 具体的、どのように接触回数を増やしていけばよいのでしょうか。効果的な2つの方法が メルマガとDMです。

週2回以上のメルマガを配信する

 まず1つ目の方法は、週2回以上のメルマガ配信です。購入時に顧客にメルマガへの登録をしてもらえば、メルマガを配信することができます。

 最初の90日間の間に2回目の購入をしてもらうために、なるべく短い間隔でメルマガを配信し、接触回数を増やす必要があります。内容としては、商品情報の提供をメインに行います。

 重要なことは、いかに顧客の役に立つ情報を提供できるかということです。決してセールス色の強いメールを送ってはいけません。セールスの臭いをなるべく消して、お役立ち情報を提供していくのです。その中で、時折巧みにセールス情報を交えて、購買につなげていくのです。

 可能であれば、毎日送る日刊メルマガにしても構いません。日刊で配信するのがベストですが、ネタが尽きてしまって厳しいというのであれば、最低週2回、できれば3回程度配信しましょう。

 日刊でメルマガを配信する場合は、雑談を交えた内容にすると長続きします。

 予め配信するメールを準備して、ステップメールを組んでおけば、自動的にメルマガ配信を行うことが可能です。初回客にはステップメールを使って、自動的に接触回数を増やす仕組みを築いておくのです。

3ヵ月で3回ダイレクトメール(DM)を送る

 人間の記憶には「3の法則」というものがあります。それは、3のつく数字で、人はものを忘れやすいという法則です。3のつく数字とは、「3日後」「3週間後」「3ヵ月後」の3つです。

 人は約3日間対象のものを思い出さないと、記憶を呼び戻すのが困難になるといわれています。また、3日以内に思い出したとしても、3週間でまた忘れてしまうのです。そして、ある経験をしてから3ヵ月間一度も思い出さないと、その記憶が呼び戻される確率は極めて低くなります。そのため、「3日後」「3週間後」「3ヵ月後」の3つのタイミングでダイレクトメールを送ることで、顧客に自社のことを忘れないようにしてもらうのです。

 それぞれのタイミングで、どのような内容のDMを送ることが適切なのでしょうか。

3日後に「お礼」のDMを送る

 まず、初回客が購入してくれた3日後に届くように「お礼」のDMを送ります。購入してくれたことに対するお礼を述べるのです。しかし、お礼状だけでは多くの企業が行っていますので、差別化になりません。

 そこで、商品のこだわりやうんちく、経営者の熱い想いなどを入れ込むことによって、より記憶してもらいやすい内容にするのです。このような追加情報がユニークであれば、口コミで評判が広まるので、リピート以外にも新規顧客の獲得につながる可能性があります。

 この場合のは、手書きであるとより効果が高まります。一回一回手書きをするのが難しければ、手書きしたものを印刷するのがよいでしょう。

3週間後に「推薦の声」のDMを送る

 次に3週間後に「推薦の声」のDMを送ります。推薦の声とは、業界の権威ある人などによる自社商品を勧めるメッセージや既存のお客様による好意的な感想などです。3日後に送ったDMで自己アピールをしているので、今度は客観的なアピールを行うのです。

 業界の権威者や有名人に つて がある場合は、商品を無料でお渡しして、推薦の声をいただけないかお願いしてみましょう。お客様の声は、普段からアンケート調査などを行い、継続的に集められるような仕組みを作っておくとよいと思います。

3ヵ月後に「値引きオファー」のDMを送る

 ここまでで週2回以上のメルマガや3日後と3週間後のDMを送っています。それでも反応しない顧客は離脱客になる可能性がとても高いのです。そこで、最終手段として3ヵ月後のDMで「値引きオファー」をするのです。値引きに反応する顧客は、いずれ他社の安い商品に乗り換える可能性が高い。そのため、安易に値引きをするべきではありません。

 しかし、初回客が離脱してしまった場合、復帰する可能性は極めて低い。それであれば、値引きをしてでも「よちよち客」にしてしまった方がよいでしょう。つまり、値引きは最後の砦として、初回客が離脱する前に行うのが適切な使い方なのです。

 どの程度値引きをすると効果があるのでしょうか。ここでも「3」という数字が意味を持ってきます。人は、ある程度の割引率を超えると、とたんに反応率が上がるといわれています。それが「30%割引き」です。

 値引きをするのであれば、確実に効果を上げられるものにするべきでしょう。そこで、「値引きオファー」のDMでは、30%割引を提案します。しかし、ただ「30%割引です」と提示するよりも、もっと効果のある見せ方をしましょう。

 例えば、「通常1万円の商品を、今すぐ注文してもらえれば7,000円でご提供します。通常価格よりも3,000円もお得です」というように、実際の値段で見せた方が効果が高いでしょう。

 また、「3,000円割引券」を同封するという方法もあります。手元に高額な割引券が届けば、使いたくなってしまうというのが人間の心理です。せっかく値引きをするのであれば、より効果の高い方法で演出するようにしましょう。

 

顧客に忘れられないためには USPを明確にする

 初回客が離脱してしまう理由の一つは、単純に忘れてしまうというものでしたが、接触回数を増やすことで自社の商品を思い出してもらうという施策です。

 しかし、その他にも自社を思い出してもらう基本的な戦略があります。それはUSPを明確にするというものです。USPとはUnique Selling Propositionの略で、日本では「独自の売り」と訳されます。あなたの企業もしくは商品に、他社にはない独自の売りがあれば、顧客に思い出してもらいやすくなるのです。これは、ポジショニングを明確にすること とも言えますし、他社と差別化すること とも言えます。

 USPを明確にした商品やお店は、顧客の記憶に残りやすく、思い出してもらいやすくなるでしょう。

 きめ細かな顧客フォローも重要ですが、まずは大きな戦略として、USPを明確にするということから始めることも大切なのです。

 

 このようにして、初回客を離脱させずに、よちよち客に育成する工夫をしてみましょう。最終的に、優良客まで育成できれば、それまでにかかったコストを大幅に上回る収益を上げることができます。

 しかし、優良客に育てるには、初回客をよちよち客にすることがはじめの一歩です。決して初回客を離脱させないという覚悟で、きめ細かなフォローを心がけましょう。

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