人材採用において大切なこと

優秀な人材はお金のためだけに働かない

 「自社が求める人材セグメントからの応募が無い」「求職者からの応募が少ない」「採用内定者の辞退が多い」「社員の離職率が高い」・・・ これらの状況に心当たりはありませんか? このような場合、多くは給与や福利厚生などの待遇面だけにあるのではなく、「採用ブランド」力の不足が多大な影響を及ぼしています。優秀な人材ほど、給与や福利厚生などの待遇面ではなく、「やりがい」「社風」「社会貢献」などのモチベーション要素を重視する傾向にあります。
 優れた人材を獲得するためには、自社の魅力を最大限に伝え、「刺激的でやりがいもあり、熱意をもって取り組める会社」「この人たちと一緒に働きたい」「自身の能力向上を望めるスキルトレーニングがある会社」などと感じてもらわねばなりません。

 

採用ブランディング 3つのポイント

 最初にすべきことは、「企業ビジョンの明確化」「戦略ドメインの明示」「モチベーションコンテンツの充実」であり、これらの具現化をすることで、自社らしさ、誠実さ、やりがいなどを伝えていきます。

1 企業ビジョンを明確化する

 企業のビジョンとは、将来、自社のあるべき姿を明確化し、長期的な企業の方向性として社内外に表明するものです。経営理念に基づくビジョンとミッションによって表わされます。

 求職者に「夢を描ける企業」であることを訴求するためには、経営理念や経営目標の標榜、代表者や事業部門長からのメッセージなどによって企業体としてのベクトルを明確化する必要があります。

2 戦略ドメインを明示する

 戦略ドメインとは、長期的な企業の方向性であるビジョンを達成するため、自社が優位性を築く事業領域を指します。企業の倒産やリストラなどが求職者にとって身近な問題となっている昨今、市場環境が激変する中にあっても安心して働ける企業であることを明示する必要があります。
 標的市場の将来性や市場におけるポジショニング、顧客ニーズを満たす独自能力についての情報開示やストロングポイントの訴求などにより、「安心して働ける企業」である論拠を力強く明示する必要があります。

3 モチベーションコンテンツの充足を図る

 モチベーションとは、『行動に繋がる動機』を指し「人の役に立ちたい」「能力を高めたい」「面白い仕事がしたい」などがモチベーションに該当します。上昇思考の高い人ほど、給与や福利厚生などの待遇面よりもモチベーション要素を重視する傾向が強いため、優秀な人材の確保にはモチベーション・コンテンツの充足が欠かせません。
 採用案内作成時におけるモチベーション・コンテンツは、社会的価値(社会貢献)を伝える企業ビジョンの明確化や活気溢れる社風、能力研鑽に適した教育体系、共に成長出来る仲間たちなど、豊富なコンテンツとビジュアル訴求によって「自己実現できる企業」であることを訴求する必要があります。

 

求職者の心に届き、響く、採用案内ツールをデザインする

 採用活動において最も大切なのは、「どう伝えるか」ではなく、「どう伝わったか」です。言語化しきれていないメッセージを明文化すると共に、写真やイラスト、音や映像などの様々な手法をもって具現化していくことで、本当に伝えたいこと、伝えるべきことを、正しく、もれなく伝えるよう採用案内ツールをデザインしていきます。

理解の深化から共感へと導く採用案内をデザインする

 どのような採用活動、採用案内を行うべきでしょうか。優秀な人材は企業の売り上げに多大な影響を及ぼし、企業の未来を形成する最重要要素の一つに挙げられることから、求職者への情報提供だけではなく、理解の深化から共感へと導くことで優秀な人材を確保すると同時に、求職者のモチベーションを高める採用案内が必要不可欠です。

わずかな「差」ではなく あきらかな「違い」を見つけデザインする

 定期採用企業は1万社以上あると言われ、その全てが有能な新卒学生の採用を求めています。理系学生や資格を有する(または取得予定)など高度なスキルを有する新卒学生は引く手数多であり、多数の企業から内定を受けることになります。

 自社で働く「やりがい」を伝え、自社の魅力を最大限までアピールするだけでなく、新卒学生に選ばれる企業になるためには、わずかな「差」を競うのではなく、自社ならではのあきらかな「違い」を見つけデザインすることが大切です。
 「違い」がない、と言われる企業も多数ありますが、違いはあります。「違い」を見つけ、磨き、デザインすること。それが採用活動における成功の秘訣です。

「情報」と「情緒」を伝える採用案内ツールの役割

 採用案内ツールの制作において大切なのは、媒体特性や採用フェーズを念頭に置いた情報設計です。多くの求職者と出展企業で賑わう採用フェアにおいて、能動的なアプローチが可能な採用案内パンフレットは、求職者の興味喚起から記憶に残るコンテンツ掲載を行うことが大切です。
 採用案内サイトでは、リクナビ、マイナビに代表される採用媒体や、採用フェアで認知した求職者がさらなる情報を求め自社採用サイトへ流入することを念頭に、ブランド体験や理解の深化を促す情報発信を行い、エントリーへと誘う仕組みづくりを行います。
 また、採用案内動画では、紙媒体やWebでの文字訴求では理解に時間を要するインタビューやワークフローを中心にストーリーを構成し、音と映像、さらにはテロップなどを用いて「情緒」を伝え、求職者の心を掴む役割を担います。

採用フェーズに合わせた計画的な情報提供

 リクナビやマイナビに代表される求人媒体で求人情報をキャッチし、採用イベント、会社説明会、面接などといった流れを多くの企業が取り入れていると思いますが、大切なのは、「求人媒体の情報を焼き直し整えて説明するだけの場にしないこと」です。
 企業側が求職者の学歴や経歴、スキルなどをより深く知りたいと思うように、求職者も、応募企業をより深く、正しく、かつ多面的に知りたいと思うのは当然のことです。であれば、いつ、誰が、何を、どのように伝えて行くのか。エントリーの段階、会社説明会の段階、合同面接の段階、個別面談の段階など、選考フェーズに合わせ「この企業で働きたい」と思わせるような情報提供と取り組みが不可欠なのです。

コンセプトをデザインする

 採用の課題や目的にあわせ、一貫性のある採用コンセプトを開発します。そのうえで、採用活動全体を包括するコンセプトのもと「何をどのように伝えるか」という表現方法やデザインを検討していくことが大切です。

採用ストーリーを設計する

 一貫性のあるメッセージでイメージ形成を図るとともに、選考の段階ごとに情報を提供する「採用ストーリー」を設計します。認知・興味喚起・理解促進・共感・理念浸透など、適切なタイミングで適切なメッセージを発信することが大切です。

 

中途採用に適した情報提供と表現方法

 中途(キャリア)応募は、新卒応募とは異なり、待遇や福利厚生など、自らのキャリアをより高く評価してくれる企業を模索すると同時に、自らの夢や目標を叶えることのできそうな企業を厳選して応募する傾向にあります。
 そして、即戦力となる中途(キャリア)人材は、人材不足の昨今もあり業界経験者であれば、引く手数多であることから、採用成功は困難を極めると言えます。
 そうしたキャリア人材の採用成功率を高めるための情報提供は、新卒とは明らかに異なり、より具体的かつ現実的なメッセージと情報訴求が必要不可欠であることを念頭に その秘訣を伝授します。

 

企業価値を印象付ける具体的な情報提供が成否を分ける

 必然的に同期入社が少なくなる中途(キャリア)採用では、「年収」「年功序列」 o、あるいは「実力主義」「中途(キャリア)採用者の比率や入社後」など、入社後の勤務環境について、新卒採用よりも現実的かつ具体的な情報が求められます。ゆえに、新卒(定期)採用者と比べて不当な扱いを受けないか、これまで培ってきた経験が活かせるか、再転職する事態にはならないかなど、中途(キャリア)採用者ならではの切実な不安の解消が不可欠となるのです。
 また、中途(キャリア)の求職者は、前職で叶うことのできなかった企業や業務への要望を抱えていることが多く、給料や福利厚生はもちろんのこと、働き方や仕事の進め方に至るまで、求職者の要望を受け入れる企業側の柔軟性が求められます。
 中途(キャリア)採用の強化を目的とする採用案内サイトや採用案内パンフレットでは、企業姿勢やビジョンなど、自社のありたい姿をインパクトあるビジュアルで具現化するだけでなく、企業としての柔軟性や、実績・安定性・将来性など、企業価値を印象付けるコンテンツの充実が不可欠です。

絶対評価での選考を想定したペルソナ設定

 多くの求職者が一堂に集う新卒採用では、自社の選考基準に求職者を照らし合わせ、相対評価にて人材選考を進めていきますが、中途(キャリア)採用では、個人の人柄やスキルそのものを評価し、絶対評価で選考を進めて行かなければなりません。
 また、中途での求職者は、各企業に応募するタイミングもまちまちであることから、内定通知までのスピード感が採用成功に多大な影響を及ぼします。このことから、中途(キャリア)採用を行う際は、事前に「求める人材像」を具現化し、慎重かつ迅速な選考が公平に行える体制を整えなくてはなりません。

中途採用のキラーコンテンツ「柔軟性」と「安心感」

 中途(キャリア)の求職者は、前職で叶うことのできなかった企業や業務への要望を抱えていることが多く、給料や福利厚生はもちろんのこと、働き方や仕事の進め方に至るまで、求職者の要望を受け入れる企業側の柔軟性が求められます。
 このことから、中途(キャリア)採用の強化を目的とする採用ブランディングでは、求職者が前職を離職するに至った主な原因を念頭に、求職者の要望に応える企業であることが伝わるメッセージの開発を行うことが肝要です。
 また、実績・安定性・将来性など、企業価値や安心を促す情報は、できるだけ直感的に伝わるよう、チャートやグラフなどのインフォグラフィックを用いて具現化すると効果的です。

本音だからこそ伝わるメッセージがある

 中途採用の出会いは、まさに一期一会であり、企業が求人募集を行うタイミングと、転職希望者がアクションに起こすタイミングが一致することで、はじめて双方のタッチポイントが生まれます。
 転職希望者は、自身にとって絶好のタイミングを見計らいながらも、いち早く次の勤務先を決定したい気持ちと、自分にとって最善の条件提示のある企業に転籍したい思いを併せ持つことから、応募企業を厳選し、これぞ と思い至った企業のみにアプローチしていく傾向が見られます。

 

採用成功がゴールではない 採用ブランディング

 成長期にある企業は、リクルーティング支援サービスなどを活用しながら、採用基準なども整備して体系的な採用を実施することになります。このフェーズになると、「採用ブランディング」を意識することが極めて重要となります。
 成長期にある企業の多くが抱えている課題は、優秀な人材の採用と育成ですが、事業が順調に拡大していく一方で、人材が追いつかない状況は、絶好のビジネスチャンスを逃すに等しい行為と言えます。そして、加速的に増大する仕事量を効率的・効果的に処理し、併せて顧客満足度をも高めるためには、優れた人材が不可欠です。
 しかし、採用することばかりに捉われ、その場限りの誇大表現や自社らしさに則さないデザイン表現は、採用後の離職率を高めるばかりでなく、事業の停滞や退職による社内のモチベーション低下を招きます。採用に成功しても、その後の定着なき採用に価値はないのです。
 だからこそ、重要なのが、自社の独自性(自社らしさ)を具現化であり、理解・共感から採用に至る人材であり、そのための採用ブランディングなのです。

 

求人手法を選定する

 スケジュールと採用目標に照らし、どのような採用活動を行なうのか具体的な求人手法を検討します。パンフレットやフライヤー、サイトなど採用案内ツールは何を用いるか、合同企業説明会・合同面接会などの就活イベントに参加するのであれば、「いつ」「どのイベントに」「何度参加し」「どのように応募者を管理するか」など、母集団形成の方法を具体的に検討します。
 近年では、自社でインターンシップを行い、求職者にアピールする企業も多数見受けられます。採用市場のトレンドは常に変化していますので、他社がどのような施策を行っているか情報を集めておくことも効果的です。

ハローワーク

 公的機関の無料サービスであるため採用企業側に費用がかからず、求職者も気軽に利用出来るのがメリットです。その反面、キャリアやスキルを有する人材の応募が少ない傾向にあります。

自社サイト

 採用情報に加え、企業の情報全てを伝えられる強みがあり、既存自社サイトがあれば余分な費用も要しません。その反面、自社企業に強い興味がある求職者しか情報に到達しないため、短期間で応募数を集めることには向いていません。

Web広告

 Web広告には、リスティング広告やバナー広告などがあり、料金体系は様々です。ツールを利用して細かな出稿設定や効果測定ができるので、広告内容の修正や改善も容易ですが、Web広告のクリック後に表示されるランディングページを効果的に制作していない場合、成果に繋がり難いのが欠点となります。

転職系Webサイト

 エン転職やマイナビ転職など、転職系のWebサイトが近年では主流の求人手法となっています。求職者のアクセスが多いため、インターネット広告の特徴も相まって日本全国からエントリーがあります。紙の求人媒体と比べ充分な広告スペースを活用できるので情報量も多く、求職者が予め登録するレジェメによる書類選考や応募者の管理画面など便利な機能も多い反面、有料サービスであるため、登用できなくても費用を要します。

求人誌(紙媒体)

 ひと昔前には主流であった求人手法です。有料の求人雑誌も存在してはいますが、多くはコンビニやスーパー、ファミリーレストランなどに置かれるタウンワークを筆頭としたフリーペーパーで、パート・アルバイト募集では依然として主流の求人手法です。
 インターネット媒体では、求職者が能動的にサイトにアクセスしなければなりませんが、フリーペーパーの場合は日常生活の中で触れやすく情報への到達可能性が高いという利点もあります。エリアセグメントに強く、地元で人材を確保したい場合に有効です。

人材紹介サービス

 採用条件を細かく指定できるので、指定のスキルや条件を有する人材を募集する場合に有効です。専門家の事前面接などによりフィルタリングされた人材のみ選考対象とすることができ、採用活動に要する工数を減らすことも可能です。その反面、人材紹介サービスへの支払額は採用者の年収に応じた金額となるため、費用が高くつく傾向にあります。

合同企業説明会

 合同企業説明会は、求職者と求人企業を結ぶ合同説明会で、リクナビを始めとした就活情報サイトをはじめ、大学や地方自治体などが全国各地で行っており、その規模は、数百社が集まる会場に数万人もの学生が参加するものから、数十社程度が参画し数十人程度の学生が集うものまで様々です。
 その場で面接効果も得られるのが利点ですが、会場での印象だけで他社と比較されがちなため、出展料の他にブース装飾代などの費用を要する点と一定規模の都市開催が中心となる点が欠点です。

ダイレクトリクルーティング

 従来の求人掲載サイトなどを利用して募集をかける「待ち」の採用手法とは異なり、人材データベースから企業自らが求める人材を探し、アプローチをかける「攻め」の採用手法です。

 沢山の候補者から選ぶのではなく、特定の条件下でフィルタリングされた求める人材にピンポイントでアプローチをかけられるため、効率的に優秀な人材を集めやすい利点があるほか、今まで不可能だった潜在層へのアプローチが可能となるため、採用の可能性を広げられる利点もあります。また、募集内容を競合他社などに知られたくない場合でも、採用プロセスを不特定多数に公表することなく採用活動が可能です。

ダイレクトリクルーティング

 従来の求人掲載サイトなどを利用して募集をかける「待ち」の採用手法とは異なり、人材データベースから企業自らが求める人材を探し、アプローチをかける「攻め」の採用手法です。沢山の候補者から選ぶのではなく、特定の条件下でフィルタリングされた求める人材にピンポイントでアプローチをかけられるため、効率的に優秀な人材を集めやすい利点がある他、今まで不可能だった潜在層へのアプローチが可能となるため、採用の可能性を広げられる利点もあります。また、募集内容を競合他社などに知られたくない場合でも、採用プロセスを不特定多数に公表することなく採用活動が可能です。

ソーシャルリクルーティング

 FacebookやTwitter、YouTubeなど、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を活用した採用手法で、面接だけでは得られない応募者の素の情報を入手することができます。

 投稿内容により交友関係や人物像も知れるため、面接時には隠される内面をも垣間見ることができます。
 SNS利用者の多い若年層には有効ですが、ITリテラシーの低いターゲット層には不適です。費用を要さないのは利点ですが、集客力のあるコンテンツを制作するには技術とノウハウが必要です。

リファラルリクルーティング

 社内外の信頼できる人脈を介した「紹介・推薦」による採用活動です。リファラル(referral)は「委託・紹介・推薦」などの意味で、自社の経営者や社員からの紹介、外部の専門家や著名人からの推薦などを指し、自社の顧客やファンからの紹介で採用に至るケースも増加しています。

 

 近年のソーシャルネットワークサービスの発達に伴い、既存の採用チャネルに頼らない「人づて」採用の利便性・効率性は飛躍的に進化しています。募集・選考にかかる費用と手間が非常に少なく、予め企業の業務内容や雰囲気が理解された上での採用となるため、勤務後のミスマッチによる早期退職リスクも限りなく低くなります。
 その反面、応募人数を沢山集めることは困難であることと、勤務後の仕事振りが悪いと紹介者と被紹介社の交友関係に悪い影響を与えることがあります。

 

面接官を育成する

 面接官の印象は企業の印象とイコールですので、求人手法の選定と共に面接官の育成を行うことも大事です。求職者は、Webサイトや採用案内ツール、説明会などでも企業の印象を強く受けますが、最も強い印象を持つのは面接官の対応であると言われています。面接で対応した人物の印象が応募企業に対する典型的な人物イメージとなります。最低限度のマナーはもちろんのこと、求職者は自社の御客様であると捉え、丁寧な対応を心掛けた方が良いでしょう。
 また、面接官の育成にはスタッフのマネジメント能力が向上するメリットもあります。人を正しく見極め、評価やフォローを行うことはマネジメントにおいて重要なスキルですが、面接官として必要な人の多様性を認めながら、自社の求める人材を正しく見極めるスキルは、人を指導・管理する立場となっても必ず活かされます。面接官研修などを実施しビジネスマナーや人を見極める力を育むことで、面接官経験を積ませましょう。

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