コーポレート・ユニバーシティ
GEやマクドナルドといったアメリカ企業において、人材育成で大きな役割を果たしてきたのがコーポレート・ユニバーシティです。
コーポレート・ユニバーシティでは、業務の「型」や企業文化の伝承や創造に大きな役割を果たしており、ヨーロッパの企業でも力を入れて取り組んでいる企業が増えています。
日本企業においても、資生堂のような企業内大学や社内ビジネススクールといった制度を取り入れています。
ところで、コーポレート・ユニバーシティではどのようなプログラムが行われているのでしょうか。
具体的なプログラムとしては以下のような例が挙げられます。
・経営戦略、マーケティング、財務等の経営学
・チーム・マネジメント、リーダーシップ等のヒューマン・スキル開発
・自社製品、自社サービスの内容を含めた自社課題の検討
これらの内容について、ケース・メソッドやグループワークを通して学ぶのです。
また、企業組織によっては、事業計画の策定や戦略課題の抽出等を行い、その成果をトップ・マネジメントに対して発表し、検証まで行うような企業も存在します。
つまり、社員が自律的に学びながら、自社の個別の問題について解決をする実験場を用意することによって、個々の社員のプロフェッショナル化を図りながら、結果として組織力を高めようとしているのです。
欧米の企業がコーポレート・ユニバーシティに力を入れるのには、以下の2つの理由があります。
・競争優位の源泉は社員の創造性と自発的な学習力向上にあること
・流動性の高い労働市場において、如何に優秀な社員を集めることができるかを重視すること
どんなに最新の戦略理論に基づいて組織を変更しても、結局はマネージャーによってビジネスの成否が左右されるということに欧米企業は気付いたということです。
優秀な社員は転職という選択肢を持っており、そのような社員を社内に留めて、その付加価値の高いスキルを活かして会社の競争力を高めるためにも、常にそのようなスキル習得の場を提供することが重要になっているのです。
このような欧米企業の発想は、昨今変化の激しい経営環境下にあって、社員個人のプロフェッショナル化を図りながら変革を促す必要のある日本企業でも参考になるでしょう。