差異の要因を明らかにするギャップ分析
ギャップ資料は、IR資料等でよく用いられ、前年度から収益性がどのように変化したのかを説明するときに便利です。
ギャップ分析の特徴には、まず全体のギャップの大きさを示し、次にその差異要因を細かに示すことがあります。収益性の変化を見るための具体的な事例は、利益の対前年比を説明するため、勘定科目の増減をグラフに表現することです。
ギャップ分析のグラフを活用すれば、売上高を過年度と比較したとき、どの事業分野が影響を与えているのかがよくわかります。
コストの分析方法は、主に2つあります。マクロアプローチは、財務諸表や統計資料から推計するものです。そのため、個別の製品について正確なコスト感をつかむことができません。
一方、ミクロアプローチは、製品を部品に分解して一つひとつのコストを積み上げていくか、製造工程のプロセス毎にコストを積み上げていく方法です。マクロアプローチで大局観をつかみ、ミクロアプローチで個別のコスト分析を行う手順を踏むとよいでしょう。
インダストリー・コストカーブ
コスト分析について、広く普及した製品の競合分析のひとつに「インダストリー・コストカーブ」と呼ばれるものがあります。各社の生産コスト・原価軸と、生産量を軸に、市場全体としての収益を推計することができるものです。
インダストリー・コストカーブでは、現在の供給量線上にある企業を限界生産者と呼びます。損を出してまで生産する企業はいないと考え、限界生産者より生産能力が低い企業は撤退の可能性が高くなります。
生産能力が高い企業がシェアを取ろうと生産量を増やすと、価格が下落して利益が薄くなる可能性もあるでしょう。このように、インダストリー・コストカーブでは、価格弾力性の概念と競合の状態を一つのグラフで表現できるので、大変便利です。