重要度に応じた経営資源投入の在り方を考える

 「意思決定のための分析の技術」で、著者の後正武氏は、分析の基本は「大きさを考える」「分けて考える」「比較して考える」「時系列を考える」の4つであると述べています。ここでは、「大きさを考える」に着目していきます。

大きさを考える

 事業の新規参入に際し、競合他社を取り上げて収益性を試算することがあります。また、施設見学などで現地へ出向くこともあるでしょう。そのようなときに、事業規模の算出の根拠となるマーケットサイズを考えることは重要です。

 北九州のスペースワールド開業時に、東京ディズニーランドをベンチマークとした事例をあげていました。大坂のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの業績をV字回復させたと話題になった森岡毅氏の著書にも、東京ディズニーリゾートをベンチマークとした事例がでています。

 北九州市と大阪市、浦安市に立地する各テーマパークを、どのようにベンチマークしていけばよいのでしょうか。周辺の人口や対象年齢層の割合、夏休みなど長期休暇中に訪れる旅行客数、交通手段の費用などがわかれば、事業の試算はできそうなものです。

 しかし、ディズニーリゾートに関していえば、これまでにその世界観を培ったマーケティング費用がブランド資源となり、ゲストを魅了していることは明白であるので、単純な金額の比較にはなりません。

 映画をテーマにすることからはじまったユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、アニメやゲームなどのエンターテイメント領域のセレクトショップへと変貌を遂げることで急成長しています。宇宙をテーマにしたスペースワールドは、新たな魅力を打ち出せないまま、2018年元旦に閉園してしまいました。

 首都圏と大阪、北九州、これらはマーケットサイズが異なることを正しく認識したうえで、その差を乗り越える魅力を提供できるかによって、事業の繁栄と衰退の未来が変わってきます。市場規模を意識し、重要度に応じて経営資源の投入方法を考えなければなりません。

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