クリティカル・マス(しきい値)を超えるか超えないか

 商品がマーケットに受け入れられる状態というのは、必ずしも直線的な右肩上がりになるわけではありません。大きなヒットを飛ばした商品も、発売当初は一部の人にしか受け入れられていなかったということがあります。しかし、それが口コミで広がり、マスメディアに取り上げられることによって、爆発的なヒットにつながるということがあるのです。

 ある一定ラインを超えるまでは需要がほとんど増えませんが、一定ラインを超えた瞬間に、爆発的に需要が増えるということがあります。

 このような現象を考えたとき、商品が広く認知されるまでの販促活動や製造の現場では、「成果を得るために集中的に経営資源を投入することが必要だ」とされることがあるのです。

 この必要量のことをクリティカル・マスと呼びます。不十分な量の投資では、どれだけ時間をかけようとも、成果を生み出せないことがあるのです。

 例えば、新製品の商品広告は、短期間にマスメディアにどれだけ露出するか、という瞬間的なものです。これは、広告出稿量と広告費の兼ね合いで解決できることが簡単に予測ができます。

 他にも、開発の現場について考えてみましょう。5人いる研究開発員が1人1テーマで5年かけて開発する分散投資よりも、5人が1テーマに1年かけて取り組むことで、開発の成果を次々と商品化する集中投資のほうが実益を得られることがあります。

 開発要員の投入と同じことは、戦闘時の兵力を考えるときにも定説とされています。戦争では、兵力は1点に集中して大量に投入することが定石です。戦力の逐次投入は、兵法では愚かな行為とされています。

 このように、重要度の高いところには、戦略的なリソースの割り当てが必要になることがわかるでしょう。これを、クリティカル・マス(しきい値)と呼びます。

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