経営戦略

 経営戦略は、企業が長期的に利益を獲得するため、「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を配分する活動です。

 

経営戦略の定義

(1) 基本的意義:

 経営理念に基づき経営活動の基本的な方向づけを行なうこと

(2) 具体的内容:

 ・経営環境(外部環境)の変化に対応する

 ・自社が成長するための基盤となる事業分野を選択する

 ・その事業分野における競争上の健位性を確立する

 ・経営資源の有効配分を行なう

 日本の経済が成熟して企業間競争はますます激しくなり、さらに顧客のニーズも多様化・高度化しています。

 こうした経営環境の変化に対応し他社との競争優位を確保するには、優れた経営戦略が必要です。

 また、中小企業に目を向けると、従来日本の産業構造の特徴であった大企業を頂点とする下請け分業構造が崩れています。

 大企業が取引企業を選別する一方で、中小企業は海外進出や新たな取引先の開拓などをしています。

 このようなとき、自社が成長するための基盤となる事業分野の選択や経営資源の有効配分を進めるうえで、新しい経営戦略の策定が必要になってくる。

 

経営戦略と経営戦術

 経営戦略と経営戦術の違いとして、経営戦略は長期的な視野で設計されることが多いのに対して、経営戦術は短期的な視野で設計されることが多いという点にあります。経営戦術は、経営戦略を元に実際に実行することが重要なためです。
 経営戦略が企業の長期的な成長や生存競争に勝つために設計され、経営戦術は経営戦略を最終的に完遂するために実際に行うべき行動が示されるためです。経営戦略の方がより大きな視野に立って設計されるということです。
 経営戦略で長期的な計画を立て、経営戦術では実際に現場で社員がどのように動くべきか などを考えることになります。

 経営戦略が企業としての方向性の計画を主題としているのに対して、経営戦術はその方向性の実現に必要な施策の計画にまで踏み込みます。

 現代企業は従来の「管理」を主体とした経営方法から脱却し、自社の競争優位を模索しはじめなければなりません。この企業の優位を確立する一連の活動が「経営戦略」となるのです。

 

経営戦略の重要性

 企業は、それぞれの企業理念や目標を達成するための事業として、ヒト・モノ・カネ・情報を投下し、製品やサービスなどを提供して利益を得ます。
 また、企業経営は継続性が求められるので、そのためには適正な利益を上げることが必要です。 
 自社が、会社を取り巻くさまざまな環境と適合関係を図って存続・成長するためには、環境の変化に対応して行かなければなりません。 
 自社を取り巻く環境には、経済環境、政治環境、技術環境、労働環境、文化環境、自然環境などが考えられますが、その中でも、経済環境が最も大きな影響を与えることになります。
この経済環境の中には、製品市場環境、資本環境、原材料環境、労働環境、競合企業の関係、政府や地方自治体との関係などが含まれます。 
 従来の経済環境変化は、人口の増減や売上高の季節的変動、景気の循環などの量的変化や時系列的に発生する変化が中心で、比較的予測しやすかったとも言えます。 
 しかし、不確実性の時代ともいえる今は、技術開発の動向、消費者ニーズの動向、法的規制の緩和・強化など、めまぐるしい環境変化の中で、競合企業との競争は避けては通れない状況です。
 自社における戦術は日々改めなければならない状況でもあります。
 企業経営の根幹を表す場合、従来「経営方針」という言葉で表していたものから、経営計画の基をなす存在であった「経営戦略」という言葉にスポットライトがあてられています。

 

戦略の必要性

 近年、経営環境の不確実性が増していることから、経営戦略の重要性が増していると言えます。

 高度経済成長の時代、企業は、大量生産・大量販売のビジネスモデルが成り立ち、「経営戦略」を意識せずとも利益を享受できる時代でした。

 しかし、バブル崩壊後、経営環境が変化し個々の企業が戦略を持たなければならなくなりました。

 グローバル化の進展やIT・AIの普及、ニーズの多様化、競争環境の激化など、現代は変化のスピードがますます増している。こうした時代において、企業は10年、20年先の生き残りに向けてどのような成長シナリオを描いていくかが、一段と問われるようになってきている。そのためにも、経営者は自社の強みや特性を把握・理解し、組織改革や事業の方向性をスピーディ、かつダイナミックに決定していかなければならない。「経営戦略」の必要性が高まっているのもそのためである。

 企業は、目的に達成時期や達成レベルを付与して、目標を掲げます。この目標は、企業としての最終目的を達するためのマイルストーンと言えます。

 現状と目標のギャップを埋めるための打ち手こそが「経営戦略」であり、戦略を持たなければ勝ち残れない時代となったのです。

 指揮命令系統のある企業組織において、戦術だけでは従業員が一つの方向に進んでいくことはできません。戦略がなければ、従業員の向かう方向がバラバラになってしまいます。そのため、戦術を考える前に、進むべき道・方向性としての戦略をしっかりと考える必要があります。

参考

大幅な改善・向上には戦略が不可欠

 売上や利益を2割上げるためなら、今やっていることを20%改善する、今の努力の延長、言ってみれば「もっと頑張る」で達成できるでしょう。しかし、売上・利益を3倍、10倍にするために、今の努力を3倍、10倍にできますか? 今、1日10時間働けば出来るところを12時間働いて20%稼ぐことはできるでしょう。しかし、1日30時間働いて3倍にすることは出来ないわけです。体力の限界で力つきていきます。直線的改善ではなく、飛躍的向上には戦略的な発想が必要なのです。戦術的な努力、今の100を120にする発想では、売上・利益が2倍にはなっても、10倍、100倍にはなりません。今やっていることを全く別の観点から見直して、ビジネスを再構築していくためには、戦略が必要ということです。「販路開拓」に力を入れるのではなく、例えば、それを別の会社にやってもらう、お客様からこちらを探してもらう、そもそも販路開拓なんかしないで代理店にやってもらうなど、ちょっと角度を変えてみれば、今の努力が必要でないかもしれません。「そもそも、販路開拓なんているのか」、という発想の見直しが必要なのです。戦略を考えて実行する ということは終わりのない競争という側面を持っています。決して楽ではありません。うまくいってしまった戦略が、環境の変化に応じきれず、負の遺産となってしまうようなことも数多くあります。

 このようにも言えます。今やっていることをもっと頑張って20%向上することは出来ます。それが戦術です。細々した改善をして、少しずつ改善していく発想です。それを3倍にしようとすると、そのような努力では無理です。それを可能にするのが戦略なのです。

戦術=頑張って戦う

戦略=賢く戦う

戦術は戦略に従う

 経営戦略は、現代において企業が持続的に成長していく上で必要不可欠なものとなってきています。そこに従事する会社員にとっても、特にミドル層から経営者層にとって、適切な経営戦略を構築する能力はとても付加価値の高い能力です。

経営と真理 へ

「仏法真理」へ戻る