大倒産時代のサバイバル経営術

「本業がダメだから次」は会社を腐らせる

 「潰れる会社は潰れ、生き残る会社は生き残る」というのも事実です。会社を潰す社長にはいくつか共通点がある。「自分は大丈夫」と油断して、会社を潰してからそれに気づくことも多い。

 まず放漫経営である。

 幸福の科学大川隆法総裁は、著書『智慧の経営』の中で、「会社が倒産する原因は、ほとんどが放漫経営」と指摘している。

 会社が生き残る術を考えるべき時に、大風呂敷を広げている余裕はない。強みの分野に集中して収益を上げ、生き延びなければならない。

 この局面で多いのが、「うちは大丈夫」と根拠もなく思い込み、他分野に手を広げて失敗するケースです。本業が目立った業績を上げていないのに、社運をかけて異業種に挑戦するのは博打でしかない。こうした選択は会社を傾けかねない。

 

神頼みよりまず自助努力

 会社を潰す社長の第2の共通点は、「なんとかなるさ」と考える見通しの甘さです。

 大川隆法総裁は、「光明思想を縁として、極めて甘い経営姿勢 どうにかなる、きっとよくなるという、人まかせ型、運まかせ型、神様まかせ型の甘い経営をしていると、倒産のもとになります (『智慧の経営』)と述べている。

 「我が社は発展する」という明るい考え方は事業を繁栄させる上で不可欠です。だが、それが運任せや神頼みで、努力をしない経営になるならレッド・カード。

 「天は自ら助くる者を助く」と言う。経営環境が厳しい時代には、手足を動かして収益を何とか確保しなければ生き残れない。 他社が地道に頑張っているのに、「自分のところには、天の助けが来る」とたかをくくり、何もしなければ潰れるのは当たり前のことです。

 

「不況だから」では経営改善しようがない

 放漫経営や神頼み経営をしていると、経営難の責任を他人に押し付けるようになる。それが会社を潰す社長の第3の共通点です。「不況だから」が口癖の社長は経営改善のしようがない。

 業績悪化の理由を社員に押し付けている社長も危ない。「悪い社長が社員に言うお決まりのセリフは、『お前ら頑張れ』『イノベーションしろ』。社員は陰で『まず変わるべきなのは社長なのに』って言っています。また、赤字の責任を経理担当者に押し付けて、怒鳴りつける社長もいる。ストレスのあまり経理担当者が手を震わせていたり、病気になるようなことがあれば、社長は理由をよく考えた方がよい。

 

反省できない社長たち

 会社を潰す社長の条件を整理すると、社長が自分や自社の改善すべき点を反省できないという一点に行き着く。そして、「自分は十分反省している」と思っている社長ほど、天狗になっていることが多い。

 大川隆法総裁は、「社長族というのは、極めて反省をしない“種族”と言えます。従業員が十人もいたら、もう反省しなくなります。自分を特殊な人間だと思って、いばっているのですが、それでは駄目なのです」と述べている。

 単純なようだが、自分の問題そっちのけで、勝手に振る舞うところに落とし穴がある。見栄っ張りが一番危険。『親父がベンツだったのに、俺がカローラ乗れっか』っていうのはあるんです。「俺は社長だから特別なんだ」と浅はかにも考え、業績が悪いのに外車に乗りたがったり、業界団体での活動に忙しく、経営に時間を割いていない社長は危険です。

 私生活の悩みにも注意が要る。経営相談より人生相談の方が多い。経営じゃなくて本当はそれ以前のことで悩んでいるのです。奥さんとの仲が悪く、「家に帰りたくない」という状態なら、社長が経営に集中できるはずがない。

 結局のところ、自らをマネジメントできない者が、他者をマネジメントできるはずがないと言える。反省できない社長のところから、一つひとつ会社が潰れていく のが現実。「明日は我が身」と自らの驕りを戒めるしかない。

 

社長にも大事なホウレンソウ

 経営知識の問題以前に、社長としての資質に問題があるケースもあります。よくあるのは連絡が成り立たないこと。相談に来て「次までにこれをしましょう」とアドバイスしても連絡がない。あるいは準備すべき書類などの約束を守らない。経営難で憔悴し判断力が落ちているのかもしれませんが、こういう社長は取引先や金融機関との連絡もうまくいっていない可能性があります。「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」は社長にとっても、大切な基礎 なのです。

参考

裸の王様にならないための社長の心得

耳に痛い人の声を聞く

 経営者はついワンマンになってしまい、部下などが物を言わなくなりがちです。イエスマンに囲まれて、知らない間に裸の王様になってしまう。だから、常に謙虚でいるように心がける必要があります。

 経営者は知らぬ間に天狗になっているのが普通で、自分ではなかなか分からないものです。会社の規模にかかわらず、外部からビシッと進言してくれる人を、そばに置いておくべきでしょう。

 

自分が未熟だからうまくいかない

 うまくいかないのは、自分がまだ未熟だから。赤字や経営危機で大変なのであれば、もっと勉強しなきゃダメです。経営のプロから謙虚に教わることも必要です。

 

数字を読み現場を見て己を知る

 チャレンジする上では、自社の資金力や器、規模をわきまえていないといけない。「敵を知り己を知れば、百戦して危うからず」と言いますが、まず自社のことを知る。そして競争相手を知る。そうしなければ、博打を打って会社を潰すことにもなりかねない。

 数字が読めるというのは経営者として非常に重要です。決算書や損益計算書を見て、そして実際に現場に行って見比べる。そうすることで、どこを改善すべきかわかってきます。

 問題を特定するのは大切なことです。時代に合っておらず競争力がないのか、スタッフにやる気がないのか、商品の差別化が不十分なのか、原因は様々でしょう。しかし、その 原因を突き止めて解決したら、どんな企業でも再生することができます。

 

集中して勝機を見出す

 本業が傾くと、様々な事業を始めては潰す社長がいる。せっかくの新事業も、勝機を見定めて集中しなければ意味がない。アポロ計画のような国家プロジェクトなら、可能性のあるものを全部試せるけど、中小には無理 どこにフォーカスするか。我々のビジネスは何か。それを定義したら、そこに集中することです。

 

ビジョンだけでなく現実も見据える

 「なんとかなる」という漠然とした思い込みを捨て、足元の経営の実態をつぶさに見つめるところから経営再建は始まる。

 大企業に成長するイメージも大事だが、危機の時代には現実を見るシビアな目を持つのが生命線です。

 放漫体質を改め、削減できるコストは削り、儲けられるところで儲ける。集中と撤退の見極めが、生命線を握る。安易な神頼みに陥ることなく、地道に手足を動かさなければ、次に淘汰されるのは我が社かもしれない。このように己を戒められない社長には、もう後がない。

 

「自分は大丈夫」が命取り

 経営学者ドラッカーには、セミナーの最後に言う口癖があったという。「『いい話を聞いた』で終わりにしないでください。月曜から何をするかを考えてください」。会社のサバイバルのためには、何よりも自分の問題だと受け止めることが大事です。「自分は関係ない」「自分は大丈夫だ」と考えている人こそが、次に会社を潰す社長となる。大倒産時代のカウントダウンは、もうすでに始まっている。

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