「お人好し社長」は会社を潰す

   未来への羅針盤 No.291

 いろいろな企業を大黒天企業に育てていくようなことをしたいというのであれば、経営コンサルタント的な力が必要になります。

 普通は経験がある程度必要です。「経験」と「知識」と両方ですが、まずは知識でもカバーはできます。知識を持って実践しているうちに経験が増してまいりますので、やはり勉強しなければいけないと思うのです。

 「大黒天企業をたくさんつくりたい」と思ってアドバイスをしたいなら、経営コンサルタント的な力が必要になるので、やはり、一日一冊、経営書ないしビジネス書関係を読むようには努力されたほうがいい。この世的にはその程度の努力は最低、必要です。そうしなければ、アドバイスするほどの立場に立つことは難しいでしょう。知識的に、自分では一日一冊ぐらいは経営書、ビジネス書の関係のものを努力してお読みになるほうがいいと思います。

 

経営者を一喝する「生かす愛」

 もう一つは、あらゆる企業に言えることですが、「企業は人なり」でありまして、その「企業は人である」ということの象徴はトップ一人ですので、そのトップをどう”しごく”かということが、基本的には大事なことです。経営トップ、社長をやっている人に対して、どうアドバイスできるかというところが大事です。

 当会の基本的な考え方から見ると、愛の教えを説いていて、とっても優しい団体なのでやりにくいところはあるのですが、経営コンサルタント的な立場であると、この優しいのは、必ずしも善ではないと思われます。

 というのは、社長をやっているような人たちはもう、うぬぼれ切っていて、人の意見を聴かないで、だいたい隙を見せたら自慢話をし始める種族です。

 彼らに優しく接しただけでは、大黒天企業として成長はしないので、これは心を鬼にして、逆ですけれども、他の社員が言ってくれないようなことを、きちっと外部の人間として言ってやらなければいけない。

 「あなたに隙がある」と、打ち込む隙があるところを打ち込み、油断があったり隙があったりするようなところを、やっぱりピシッと刺してやる厳しさが必要ですね。

 「生かす愛」です。これについては、経営者の場合にはやはり厳しく叱ってやらないといけない。そうすることが愛なのです。そうすることによって会社が潰れない、従業員が路頭に迷わない、ということがあるので、褒めるだけでは駄目です。

 考え方に間違いがあったり、人に対して不公正なものの考え方をしていたり、あるいは自己中心的で、自分の周りに世界が回っているように考えているような人がいれば、「それは間違っている」ときちっと教えることです。

 本来、お客様、顧客中心に物事を考えて、自分のほうはサービスする立場なので、自分を中心にわが社のために世界が回っているように考えているのは、やっぱり一喝してやる必要はあります。それと、人を不公正に扱っている場合は正す必要があると思います。

 

志が低いなら人類への愛が足りない

 それから、成功自慢ばかりしている社長等がいたら、「あなたの志が低い」ということを教えてやらなければいけないと思います。

 人は、志が低いとすぐ慢心し、成功感に酔う。志を高くしたら、まだまだ足りないことがよく分かって、自分の不足、努力の不足、勉強の不足、ということを痛感するようになるので、慢心している”社長族”に対しては、「そんなことで慢心しているようでは、大黒天企業なんかに絶対なれないので、志をもっと高く持ちなさい」「志が大事ですよ」と言うことですね。

 「志がないというのは、結局のところ、人類に対する愛が足りないということだし、あるいは、新しいこと、未知なること、自分が出くわすと本当は怖いことへ挑戦する勇気がないということではないのですか」と、言うことです。

 無茶は言ってはいけないと思うのです。一億円企業に「一兆円企業になれ」みたいなことを言うのは、それは無理は無理だと思います。

 一億円企業だったら「三億円企業を目指せ」「次、五億を目指せ」「次は十億円企業を目指せ」「次は五十億円企業を目指せ」と段階があると思います。一億円企業に「一兆円、目指せ」と言うのは、志と言うには大きすぎるかもしれません。

 とりあえず、まず現実の路線のなかで、「あなた、年商一億円でこの程度で満足しているのか」「こんなのでは駄目ですよ」「やっぱり十億、百億と目指していくべきで、目標を立てて、『何年後に十億円企業にする。その後、何年後に百億円企業にする』などと目標を立てて、そして、そこに到達しようと努力しなさい」「そうしたら現在ただいまのあなた、自分が足りないことが、努力が足りないのがよーく、分かるはずです。もっと自分に厳しくありなさい」ということを、やっぱり教えてあげなければいけません。

 トップを中心に、経営幹部層等にアドバイスをしてやらなければいけません。個人的に勉強をすると同時に、人間としての甘さをきちっと批判して詰めてあげる必要があります。

 

責任ある立場の人は自分に厳しくなければ駄目

 お人好しは会社を潰します。当会の教えを浅く読むと、ただのお人好しになる可能性が非常に高いので、経営者みたいに人を使う立場、人の生活に責任を負う立場になったら、ただのお人好しでは駄目です。自分に厳しくなければ駄目です。自分への要求水準を高く持って、志を持って、日々努力することが大事ですね。

 そういうことを教えていただくことが大事で、慢心していたら打ち砕く。そして隙があるようだったら、その隙はちゃんと指摘して、「脇を締めよ」と言う。そして、「志を高く持て」ということを申し上げる。そして、自分自身としてもちゃんと努力は続けていくということですね。これが大事です。

 そういうところを基本的に考えて、大黒天企業にいくつかアドバイスして、だいたいうまくいくような経験を積めば、つくっていけると思います。

 要するに”社長族”というのは人の言うことを聞かないので、特に部下の言うことなんか聞きませんから、もう、きついことを言える人は、外の人しかいないのです。自分がクビにできる立場にある人はきついことを言えないので、外から言わなければいけないので、それも愛なのです。

 あなたのなかに、「生かす気持ち」があるなら、それも愛であるということ。そうした「厳しい愛」も一応知っておいたほうがいいと思います。

参考

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