与えるほど豊かになる法則
成長企業は徹底的に与えている
なぜ、与えることができないのか
「まずは与えなさい」という教え自体は古くからある。
「自分がしてほしいことをまず人にしてあげなさい」という黄金律(ゴールデン・ルール)もそうだし、「損して得とれ」という言葉もある。
誰もが「与えること」の大切さは知識としては知っているわけだが、実行となるとなかなかできないのが現実です。
電器屋が顧客の犬に餌をやっても、直接売上にはつながらない。その時間と労力だけを見れば、損にしか見えない。その結果、「与えたのはいいけど、後で戻ってこなければ、丸損になってしまう」と考えて、結局与えることを躊躇してしまう。
かといって、確実に利益になるようなサービスは既に他社もやっていることが多い。他社と差別化を図るには、「そこまでやるか?」というような与える行為が必要になってくる。
どうすれば与えることができるのか
与えれば目先の損が出て、与えなければ差別化できない、というジレンマの中で、どうすれば確信を持って与えることができるのだろうか。
そのためには、与えると豊かになるということが、単に「なるかもしれない」という可能性の問題ではなく、また昔から言い伝えられた教訓だからという道徳レベルの話でもなく、いつ誰にでも当てはまる法則だと腑に落とすことが大切です。
幸福の科学大川隆法総裁の『リーダーに贈る「必勝の戦略」』では、次のような法則が紹介されている。
「この世においては、物を与えれば、与えた分だけ自分から減るように見えます。しかし、霊界の法則においては、与えれば与えるほど、その人がますます富むようになっているのです。『与えれば与えるほど、与えられる』というのが霊界の法則なのです」
この世には、「商品を一つ売れば、その分在庫が減る」という目に見える物理的な法則のほかに、目に見えない法則も数多く存在している。話題の「引き寄せの法則」や伝統的な仏教でも説いている「原因・結果の法則(縁起の理法)」などがそうである。
それと同じように、「与えるほど与えられる」という法則が存在しているというわけです。
より多くの人に最高のものを与え切ろう
この法則は私たちが日常的に経験していることでもある。
例えば、同じ商品を扱っていても、満面の笑顔で代金をいただく店と お礼も言わず無愛想に代金をもらう店とでは、「笑顔を与える」店を選ぶ。また、必死の経営努力でコストを下げ、1円でも安く売る店を選ぶ。あるいは、自宅まで商品を届けてくれない店より、届けてくれる店を選ぶ。
顧客は常に「与えてくれる」方を選ぶのです。その結果、「より多くの人に最高のものを与え切ろう」と思って生きる者が栄えていくことになる。
もちろん、世の中には「奪って成功する」というパターンがないわけではない。しかし、そうして得た成功は一時的なもので終わる。「泥棒」や「振り込め詐欺」で大企業を築くことはできない。このことは、最近頻発した数々の偽装問題でも明らかである。
ただ、「与える」にあたっては、一つの注意点がある。与えれば豊かになるからと言って、商品をタダで与えてしまえば会社は潰れるしかない。
長く与え続けるためには、変化する顧客のニーズを的確につかんで、適正な利益を確保する必要がある。知恵が必要だということです。
まして、現在のような厳しい経済環境においては、顧客の目は非常に厳しいものになっている。生半可な与え方では生き残れない。
そのためには、常に新しいものを生み出し、日々に創意工夫を続ける必要がある。ただ与えればよいというわけではなく、知恵を絞ってよりよく与えていかねばならない。そうでなければ「現状維持は破滅への道」となってしまう。
しかし、厳しい道程を経て与え続けることに成功すれば、大きな繁栄の循環が始まる。地方のシャッター街から繁盛店が生まれ、量販店に包囲された電器屋の利益は大幅に増加し、価格が半減した衣料品業界で7期連続最高益を叩き出す優良企業が創り出される。
カーネギー、フォード、松下幸之助など、洋の東西を問わず大富豪と呼ばれた人々も、みなこの法則の実践者である。
どのような状況にあろうと、最高のものを人々に与えようと志し、努力し、創意工夫をすれば、必ず道は開けるのです。
偉大な成功者はみな「与えるほど豊かになる」法則の実践者
二宮尊徳 (1787~1856)
江戸時代の篤農家。農民出身ながら藩の財政再建や農村振興に活躍し、日本型の資本主義の精神の原型をつくった。
「一粒の米を推し譲ってそれをまけば百倍の利益を生ずるし、一人が力を譲って耕せば数人の口を養うことができる。この推譲ということによって、初めて人道が立ち、国家が安らかになった」
A・カーネギー (1835~1919)
アメリカの実業家。アメリカ最大の鉄鋼会社を設立し、「鉄鋼王」と呼ばれる。図書館や大学に巨額の寄付をするなど慈善活動でも知られる。
「私が得た多くの富は、社会の一部の人が言うように、貧しい人たちから収奪したものではなく、貧しい人により多くを与えることができた結果なのである」
H・フォード (1863~1947)
アメリカの実業家。高価だった自動車を大衆でも安価で手に入れることができるように自動車の大量生産の手法を開発し、「自動車王」と呼ばれる。
「利益より先に奉仕を行うこと。利益がなければ事業は伸びない。利益を上げることは少しも悪いことではない。しかし、良い事業は、利益を上げるが、それは、良い奉仕の結果として必然的に得られるものでなくてはならない。利益は事業の基本ではなく、奉仕の結果である」
松下幸之助 (1894~1989)
日本を代表する経営者で「経営の神様」と呼ばれた。便利な家電製品を水道のように大量に安く人々に供給するのが産業人の使命だと考える「水道哲学」で知られる。
「自然に儲かるのです。金というものは、儲けようとして儲かるものではないのです私は一生懸命仕事に取り組んでいます。わが仕事に忠実です。物をつくるときでも、これでいくら儲かるといってつくるよりも、これをつくったらみなが喜ぶやろうなあということをまず考えているのです」