共感的理解

 どの職場でも、抱えている問題の根本は共通しています。それは「コミュニケーションの断絶」です。

 たとえば、失敗した部下に対して、上司が「お前何年やってんだ」「そんな仕事、新人でもできるぞ」と言いますが、本来は その仕事をどのように進めるべきだったのか という文脈で話をしなければいけない。しかし、多くの上司が単なる腹いせのような捨て台詞をはく。これでは、「おれはお前を認めていない」と言っているに等しい。そんな言い方をされたら、部下も「おれだって、あんたを認めていない」と反発するだけです。

 これは部下にも同じことが言えます。上司に対して、なんでも「あなたの言っていることはおかしい」というニュアンスで臨んではいけない。元々、人間関係はおかしなことだらけなんだから。上司の言うことなんて、時間や場所が違えば、違って当然。そこをどううまくやっていくかが人間関係なのです。

 

キーワードは「共感的理解」

 特に上司にアドバイスしたいのは、あまり部下に自分の成功体験を語ってはいけない。そういう話は、「おれは偉かった。それに比べてお前たちは・・・」と聞こえる。聞いている部下は、「それはラッキーだろ」とか「今は全然だめじゃん」とか思ってしまう。逆に、自分の失敗を語るんです。「おれも20代のときに、段取りが悪くて、上司に怒鳴られてさ」という風に。結局、上司と部下をつなぐキーワードは「共感的理解」です。相手に「なるほどそうだな」と思わせることが大事なのです。

 「最近の若い者は・・・」も「年寄りは頭が固い」も、互いが理解し合うきっかけを見つけられていないだけです。自ら「コミュニケーション能力がありません」と言ってるのと同じです。人間の心なんて元々意のままにならないし、組織なんて”不如意の大海”ですよ。意のままになるのは、むしろラッキーです。管理職研修でも、新人研修でも、同じことを言ってるんです。「コミュニケーションを断絶させてはいけない」と。

参考

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