人生道場

   未来への羅針盤 ワールド・ティーチャー・メッセージ No.254

 会社を単なるものづくりや商品の売り場、あるいは何かのサービス提供の場にするだけではなくて、会社自体を「人生道場」に変えていくように、努力なされた方がいいでしょう。もう一つ、「別の絆」が必要だと思いますね。

 会社は生活の糧を得るためにものをつくったり、売ったりするだけでなく、作業は単純かもしれないし、能力は使い切れないかもしれないけれども、もう一つ、人生道場の面を持っているので、この部分をつくることが大事です。

 ですから、人生道場としての心の研鑽の場を設ける努力もなされたらいいでしょう。そういう場をミーティングでもいいし、あるいはプラスアルファで精神的な修養の場を設けたりしてもいいですが、何かお互いをつなぐ精神的な紐帯や絆みたいなものをつくることに成功すれば、残ってほしい人材は残ってくれるようになると思います。

 その間、その人が辞めたくなっていたような事情について、会社としては改善できるものは改善しなければいけないと思いますし、あるいは能力に合わないのでしたら、その人でもできるような仕事をつくり出していかなければいけません。

 

「若さ」は抜擢の条件

 たいていは不満があって辞めるわけですから、その不満の対象をよく見て抜擢する。特に気をつけなければいけないのは、日本的経営方法では「若い」ということを、昇格させない条件として考える人が多いのです。ですが、それは間違っています。

 若いということは、抜擢しないための条件でなく、抜擢するための条件なのです。若い人を抜擢しないで、年をとった人を抜擢しても仕方がありません。先の伸び代は少ないので、若い人こそチャンスを与えると”大暴れ”する可能性があるのです。

 失敗は当然あります。抜擢すると、六、七割は失敗します。ですが、その三、四割の成功のために、やはり抜擢は続けなければいけないですね。

 若いということは抜擢しない条件にならないのと同じように、女性だからといって最初からローコストで使えればいいというふうに見ているようなところは、やはり人が離れていきます。当たり前です。

 

女性にも教育投資する

 女性が低い扱いしか受けないようなところは、優秀な男性も残りません。それは一緒です。だから女性に対しても、やはり開かれた目で見なければいけません。

 子供を生む機能を持っているかどうかということと、会社の仕事ができるかどうかとは別のことです。会社が長年女性を差別してきた理由は、出産休暇や育児休暇を取られたりして、元が取れない。せっかく教えたものが回収できない。だいたいそういう理由ですが、マイナス部分を補って余りある可能性を持っている女性でしたら、きちんと教育投資して、育てていくべきだと思います。

 会社が大きくなって、余裕があれば、さらに彼ら、彼女らが必要とする子育てや出産が楽になるような付加条件をつくっていくところまでいけば、中会社や大会社に変身していくでしょう。

 いろいろなことを言いましたが、人がよく辞める場合は、二種類の理由があるということと、それから何らかの精神的な絆をつくるべく、業種問わず人生道場としての面をつくったら、定着率は上がるでしょうと申し上げておきます。

 人生道場といっても、全部が「宗教の信者」のようにはならないかもしれませんが、翻訳し直したかたちでつくることはできるのではないでしょうか。

参考

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