「ハラスメント上司」と言われないために 部下の正しい愛し方

 部下が最も重要視していることは、「上司が自分に興味を持ってくれているかどうかだ」ということです。

 部下は、自分の成長を心から願ってくれる上司には、多少厳しいことを言われても「パワハラ」とは感じません。

 もちろん、叱る時は部下の行動だけを叱り、人格を傷つけないなどの配慮も大事です。また、褒める時には、例えば「この企画書いいね」と言うだけではなく、「最近、〇〇さんの企画書は具体的になって良くなったね」など、「変化を褒める」ことが大事です。そもそも、部下に興味がないと、ちょっとした変化に気づくことはできません。

 こうした「叱る」「褒める」などのテクニックもありますが、根本的には部下に対する「愛」が大事になってきます。

 

「求める」よりも「与える」

 では、上司はどのように部下への愛を表現すべきでしょうか。

 例えば、遅刻してきた部下を頭ごなしに叱るのではなく、まず「どうした?」と部下の事情を聞いてみる。「自分の事情を理解してもらえた」と思うと、部下はより素直に上司の言葉を受け入れられるものです。

 また、会議などにおける部下の発言が的を射ていなくても、即座に否定するのではなく、「そうだよね」と受け止めたうえで、こちらの考えを伝えます。

 部下に何かを求めるよりも、まず上司として与えられることについて考えることが大事です。与えるものとは、お金など目に見えるものだけではありません。部下は、上司が耳を傾けてくれることや認めてくれることなど、目に見えないことに喜ぶのです。

 

瞑想で平静心を取り戻す

 それでも部下の言動にイライラしてしまう時は、呼吸法と瞑想の実践をお勧めします。

 深呼吸を10回ほどして瞑想に入ると、もう一人の冷静な自分の目で、心を見つめることができます。心と対話し、平静心を取り戻すことが大事です。

 自分も他人も不完全な人間ですので、間違いも失敗もします。それでも、十分に愛すべき素晴らしい存在だと尊敬し合うことが、人間関係のトラブルを根本的に解決する上で必要なのではないでしょうか。

 

人間関係がギクシャクした時は自分の心を振り返ってみよう

 「立ち向かう人の心は鏡なり」という言葉の通り、部下の反応は自分の姿や考え方を映し出していることが多い。

 ならば、自分の心を変えることで相手の心も変わってくる。

 部下の足りない点を責める前に、まずは自分の姿勢を点検することが解決への近道です。

 以下のチェックリストに沿って、部下との関係を振り返ってみましょう。

 

欲を捨てて感謝する

 □部下の短所ばかりを見て、不満を感じていませんか

 □部下の長所を認め、貢献に対して感謝していますか

 □自分の努力に見合わない成果を求めていませんか

 

怒りをコントロールする

 □自分の思い通りにならないと、心が波立っていませんか

 □部下を叱る時に、人格を傷つけることを言っていませんか

 □問題が起きた時に責任回避をしていませんか

 

正しい見方や判断をする

 □部下の話に丁寧に耳を傾けていますか

 □常に「自分が正しい」と考えていませんか

 □思い違いで迷惑をかけたり、人を傷つけていませんか

 

組織づくりの鍵は理念浸透

 管理職の役割として最も大切なことは、トップの経営理念を部下に浸透させ、部下を一人前の社員に育てることです。

 経営理念は、会社のビジョンであり、判断の基本となる社内の「共通言語」に当たります。

 経営理念が浸透している会社では、社員が共通の目的の下によくまとまっています。そのため、一部それに反する主張をし続ける社員がいても、居づらくなって辞めていきます。

 人は、属する組織によって よい方向にも悪い方向にも染まっていくものです。正しい目標を掲げ、規律ある組織をつくっていけば、一部心得違いの社員がいても、次第に良い方向に変わっていきます。一方、挨拶がなかったり、遅刻が常態化している組織は、やる気がある社員が入っても、悪い流れに染まり、トラブルが続発します。

 ハラスメント問題の解決は、経営者や管理職が、働きがいのある強い組織をつくれるかにかかっているのです。

参考

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