女司と部下の果てしなき戦い

管理職こそ「心の教育」が必要

 年配の男性は女性が働くことに抵抗を感じている人が多いですね。これは育ってきた環境が違うから仕方ないのですが、そんな男性の抵抗感に正面から向き合ってしまうと、もっと女性への圧力が強くなってしまいます。

 男性も働く女性に無理してバリアを張っているわけではないのです。長い歴史が男女の壁をつくったということを理解して、職場では柔らかい気持ちで接することをお勧めします。

 初めて管理職になられた女性が心掛けることは、まず「公平感」です。好き嫌いが激しい女性は多いものですが、上司は部下を公平に評価しなくてはいけません。次に「感情をコントロールする」ことが大切です。女性はひとくくりに感情的だと思われてしまいがちですが、意識して、①冷静な接し方をする、②人の話をよく聞く、③相手を思いやり共感する姿勢を持つ といいでしょう。

 また、若くして管理職に抜擢されると、完璧主義になり、自分を飾ろうとする傾向が出てきます。しかし、これでは自分が疲れてしまいます。人は誰もが〝発展途上人〟ですから、肩に力を入れる必要はありません。管理職になったからと言って、完璧に人をまとめることができる人なんていないのです。ボロを出しても構わないと思います。

 上司は悪口を言われるための存在だと割り切って、謙虚に部下の考え方を理解しようと耳を傾けてほしいと思います。聴くべきことには耳を傾け、言うべきことは言う。分からないことは分かる部下に教えてもらう。それぐらいの姿勢で充分だと思います。

 会社は、人の心や魂が一つの所に集まって成り立っているものなので、管理職は、「人の心がよく分かる人」でなければなりません。管理職こそ徹底的に「心の教育」を受けるべきだと思っています。仕事のなかに〝他の人に対する愛〟がなければ会社は発展しないからです。自分の職場に、同僚や部下に、そして、与えられている仕事に、感謝する心を忘れず、人を活かすことが大事なのです。

 

素直さと謙虚さが女性の最大の強み

 女性の最大の強みは「素直さ」と「謙虚さ」です。プライドの高い男性に自分のことを理解してもらおうとするなら、謙虚さを失ってはいけません。分からないことがあれば、「私はこれについては苦手だから、助けて下さいね」と言えばよいのです。

 自分ができないことを恥ずかしいと思って、強気で「あなたの仕事だからやるのは当然でしょ」などと言えば、反発を招くだけ。あくまでも誠実に接することです。

 注意したいのは、時に女性は部下を自分の所有物のように管理しすぎてしまうことです。細やかさが行きすぎて、必要以上に部下の欠点に目が行き、小さなことでも正義感を貫かずにはいられないのです。結果的に部下を追い詰めてしまうので、特に男性はこういう女性上司を嫌います。このタイプの女性管理職は、部下に逃げ道をつくってあげること。そのためには、管理職は部下のよいところを見て、長所を伸ばすことを忘れないことです。重視したいのは、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)は上司から」ということです。部下が心を開いてくれないと嘆くのではなく、まず上司が部下に心を開く必要がある。

 自分は何を考えていて、何を部下に期待しているのかをしっかり伝え、部下が話しやすい雰囲気をつくることが大切です。

 

嫉妬心ではなく悔しさを持つ

 最近は男性のような話し方をする女性も多くなりました。今の若い方は、何でも言い合う中で男女が対等であるという位置関係を築いているのかもしれません。そういう人が、将来管理職になれば、対等の関係を築いているので部下に指示を出しやすいのかもしれません。

 ただ、基本的には、丁寧な言葉、綺麗な言葉を使うことをお勧めします。言葉は人格を飾るとも言いますし、女性が本来持っている 場の雰囲気を調和していく素晴らしさを発揮しない手はないと思います。

 柔らかい雰囲気を保ちながら、①しっかりと自分の意見が言えること、②言い訳をしないこと が大切です。自分をよく見せようとする思いが強いと、どうしても言い訳をしてしまいます。起きてしまったことへの責任はすべて自分が引き受けるくらいの気概は持たなければいけないでしょう。

 また、特に女性に気を付けてほしいことに「嫉妬心」があります。同僚が自分より先に成功すると、うらやましいと思い、嫉妬心を抱く人がほとんどだと思います。ただ、確実に言えることは、「嫉妬よりも悔しがる方が得だ」ということです。嫉妬心は相手に向けられ、人の不幸を喜ぶような思いを抱いてしまいます。でも、悔しいという思いは、ベクトルが自分に向いているので、「もっと勉強して努力しよう」という発展的な気持ちにつなげることができます。一つの出来事を自分の糧にするために、「悔しい」と思う自分であることが理想だと思います。

 

女性上司が突然怒る原因は

 「ウチの女性上司は突然怒り出すんです」という人がいます。この場合、突然怒られた部下が胸に手をあてて考えなくてはいけません。理解してほしいのは、女性が怒るには理由があるということです。

 女性には、他人の意見を一度は受け入れ、呑み込むという傾向があります。突然、女性上司が怒りだす場合は、日頃から呑み込んでいる気持ちに男性たちが気づかないことが原因になっているのです。部下としては、一度ご自身の胸に手を当てて言動を振り返る必要もあるのです。

 ただ、原因が部下にあったとしても、管理職である以上は一度呑み込んだ案件には最後まで責任を取るべきでしょう。受け入れたつもりでも心のどこかで こだわっているから爆発してしまうのです。こうならないためには、しっかり勉強をして自分の考えを持つことです。勉強をしていれば、いざというときに男性の意見を論理的に押し返すことができます。中でも本を読むことは非常に重要です。本を読むと、実生活での行動が正しかったのかどうかを確認できるだけでなく、本から得たヒントを仕事に活かすこともできます。勉強と実践を組み合わせていけば、次第に自分なりの理論を構築できるようになるのです。また、ビジネス本に偏らず、世界情勢や古典文学などは、人間としての器量を学ぶことができるのでお勧めです。

 

人の幸せを願えば喜びが倍増する

 自分だけのために努力しても、どこか寂しく、次第につまらないものになります。でも、他の人が喜ぶことが楽しいと思って努力していると、人に出会えば出会うほど楽しさや喜びが増していきます。ベクトルが内に向いているか、外に向いているかは、仕事への姿勢を大きく変えると思います。

 若い頃から学びたいという姿勢、教えていただきたいという姿勢を持ってください。その姿勢さえあれば、どこででも勉強することはできるし、楽しめます。人生は個々人の感じ方次第で良くも悪くもなるものです。ぜひ、人との出会いを堪能しながら、自分の人生を彩りあるものにしてほしいと思います。

 

平和な職場作りは互いに歩み寄ること

 女性管理職としてのポイントや部下の側からの付き合い方があるといっても、基本的に性別と仕事の成果とに決定的なつながりがあるわけではない。気をつけるべきことがあるとすれば、女司もその部下も「女性特有の性質がある」ことを理解するということだろう。

 お互いの違いを理解し、上司と部下が互いの足りないものを補完し合う。それが人間同士の付き合いというもの。女性の上司だから という固定観念を取り払って、お互い歩み寄れば、職場に「平和」が訪れることだろう。

参考

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