10年先の自分を創る「情報選択」

「情報選択」で大事なのが 知り得た情報を正しく見ること

原因・結果の連鎖で見る

 「私が犯した間違いは、情熱より利益を優先させたこと。よい物を作ることよりも、利益を求める会社を作ってしまった」

 米アップル社の創業者スティーブ・ジョブズは、1980年代半ばに、自分が作った会社からクビにされたときのことを、2011年のインタビューでこう振り返った。利益のみを追求し、同じようなパソコンを作り続けた結果、他社に追いつかれ、売り上げが停滞したのです。

 1997年、彼はアップル社に戻って、顧客が「欲しい」と思うような まったく新しいデザインの商品を作り始めた。その後同社の業績は回復。当時たった4ドルだったアップル株は2014年には600ドルを超えた。顧客のニーズに合わせた商品を作ることで会社を立て直すことができたのです。

 このエピソードから分かることは、 物事には原因があって、結果があるということ。先見性を磨く第一歩は「原因・結果」の連鎖で世の中を捉えることだ。

 イギリスの哲学者ジョン・スチュアート・ミルも、「先見とは、因果関係を理解することだ」と述べた。

 原因があり、必然的に結果が出て、その結果が また次の原因となる。物事の先を見通すためには、この連鎖を一つずつ、見通していかなくてはならない。

 ある原因がどのような結果を生むかを判断するには、それなりの勉強や経験が必要となる。 常に時代の流行の変化に注意を払ったり、その業界の歴史を学ぶことも大切だろう。

 もし、物事を見通した時に得られるであろう結果が望ましいものでなければ、現在の原因を変えればよい。

 ビジネスに限らず、人間関係や政治、経済、国際的な問題に至るまで、原因・結果の連鎖を見抜くことで、「その先」が見えてくる。

 情報を正しく見る大前提は、素直で謙虚であることです。もちろん、素直すぎると間違った情報も受け止めてしまうので、そのために正しい判断基準をつくることが必要です。

 その基準をつくるには、良書、中でも仏教書や論語、聖書など長く読み継がれ、普遍的な価値を伝えるものを読むことをお勧めします。

 論語は「義」を説きますが、これは世の中のためになること。反対に、「利」とは自分だけ儲かればいいということ。「先義後利」という言葉がありますが、意外に世の中には利を優先させている人が多い。

 普遍的な価値観に支えられた信念を持てば、それに抗う勇気やエネルギーが出てくるはずです。

 

成功と失敗を分けるのは「考え方の差」

 利益や売上のために働いている人もたくさんいますが、本来それが目的であってはいけません。中国の古典の書経に、「人を玩べば徳を喪い、物を玩べば志を喪う 」という言葉があります。

 企業の存在意義は、よい商品やサービスを提供してお客様や社会に貢献しつつ、働く人も幸せにするという この2つ以外にないのです。

 普遍的な価値、すなわち、「人の生き方」を学ばないと、何が正しいかが分からなくなります。世の中には、成功する人と失敗する人、成功にしても短期的な人と、長く成功し続ける人がいます。そこにあるのは「考え方の差」です。正しい考え方を持てるか否か。これはとても大事なことです。

 

先入観を取り除く

 「原因・結果」の連鎖を見抜くために重要なのが、「物事の原因をどう認識するか」ということです。先入観を排して原因の部分を見なければ、一歩目でつまずくことになる。 他人の主張を鵜呑みにせず、「白紙の目」で ありのままに世界を見ることが重要です。

 「白紙の目」で物事を見るためには、マスコミ情報以外にも、親や兄弟、友人や学校などから教わった価値観を取り除くことが重要です。 そこから、原因・結果の法則に照らし合わせて、「このままだったらどのような結果になるか」という結論が導ける。

 先入観や利害などを排して「白紙の目」で物事を見てこそ、正しく原因・結果の連鎖を見抜くことができるのです。

 

物事の判断に自分の欲を入れない

 昔から、日本人は勤勉で、寛容で、道義的でした。その国の文化を世界が真似したがるのは当然です。

 一方、中国がインチキな国であることは30~40年前には分かっていました。

 

ロジカルシンキングと直感力を合わせる

 そもそも、やたらと統計やグラフを使う人は怪しい。役人や学者がそう。彼らの予測はほとんど当たりません。

 新聞やテレビも当たりませんが、彼らは横並び意識が強く、発信したニュースが他社と同じ内容だと安心する「サラリーマン」です。一日を無事に過ごすことや上司の顔色ばかり気にしている。そんな人たちの情報をありがたがってはいけません。

 リスクをとって一生懸命情報発信している人の話に耳を傾けるべきです。

 物事を正しく見る時に大事なのは、まず「ロジカルシンキング」です。論理的にモノを考えること。歴史で言えば、「中国はウソをついてきたから、これからもウソをつく」と分かる。

 次に「直感力」。「経験則」と言ってもよいけれど、これとロジカルシンキングを合わせて物事を見通していくことが大事です。

 その際に注意すべきは、自分の欲を入れないこと。欲を入れると現実とずれて、自己中心的な結論を導いてしまう。最後まで欲を入れずに物事を見通すことが大事です。

 

宗教的な目で見る

 先見性を発揮するときに、もっとも難しいのが、物事の正邪を見極めることでしょう。企業経営や政治の世界では、この観点によるリーダーの判断で、組織や国の浮沈が決まることがある。 真理の目でもって、自分や世界を正しく見通さなければならない。

万感の思いを込めて物事を見る

智慧を得られる人は愛情と責任を持つ人

知識(intelligence)と智慧(intellect)の違い

 intelligenceは勉強で積み上げたもの。intellectは受け身の状態で物事がパッと分かるもの。元々「瞑想」という意味で、宗教的な悟りに近い。必ずしも学問が正しい訳ではないということです。

 この智慧を得られるのは、家庭や地域、企業や国家などに真の愛情と責任を持っている人です。松下幸之助さんや天皇陛下が思い浮かびますが、そうした方々は、常に万感の思いを込めて物事を見ているのです。

 

10年先の「設計図」を引く

 物事を正しく見ることができれば、正しい価値判断ができ、その先に「未来を創り出す」こともできる。その方法について考える。

 法話「先見力の磨き方」で、幸福の科学大川隆法総裁はこうも語っていた。

「『先見力の磨き方』という固定的な、やすりを掛けるような磨き方があるわけではありません。やっぱりこれは、未来の設計図の引き方ということだと思うのです」

 物事を正しく見ることができる人は、「家庭や地域、企業や国家などに、真の愛情と責任を持っている人」と語った。「先見力」や「未来の設計図」の本質は「愛」や「責任感」だと言える。

 

あなたの「設計図」に合わせて人生が変わる

 情報選択は、日々、新しい価値判断をすることであり、それが自分の仕事や人々の未来の「設計図」をつくっていく。つまり、設計図をつくるために日々どのような情報を選択するかが極めて重要です。それは、家やビルの設計図に置き換えれば分かりやすい。もし、間違ったものや無駄なものが設計図に反映されていれば、実際に建つ家やビルも歪んだものになる。

 逆に、住む人や働く人の幸福を願った設計図に基づいて建てられた家やビルでは、生活する人々が心地よく過ごせたり、生産性の高い仕事ができる。

 

日々の情報選択が設計図をつくる

 大川隆法総裁は、法話「先見力の磨き方」で次のように語っている。

「先見力を磨いているというよりは、私が、こうあるべきだと思って見ていることが、ある意味での設計図を引いている。その設計図に合わせて時代が動いてくる」

 一見、壮大なスケールに思えるかもしれないが、私たち一人ひとりも、日々、立場や役割に応じた「設計図」をつくっているはずです。日々の情報選択と価値判断が、仕事や人生の設計図となり、10年先の自分を創るのです。

参考

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