先行管理

先行管理の目的

 「一日を勝ち、目標を達成すること」、即ち、売上目標を達成、業務目標を実現することが目的であり、その為に正しい努力を具体的に実行することが求められるのです。故に、先行管理とは、売上達成、業務目標実現を阻む業績阻害要因を発見し、対策し、解決する手段・方法であり、目標=実績、方針=実現の公式どおり経営計画(目標)を実現・達成させるためのものです。

 

先行管理の本質

 (1)経営方針を実現すること

 (2)机上論・理屈ではなく、行動することであり、実践成果を上げるもの

 (3)より速く、対策・対応すること(事前の一策、事後の百策)

 (4)対策した事に対して、正しい努力を具体的にすること

 (5)経営方針、価値観を衆知徹底すること

 (6)何を先行管理するかを理解、浸透させること

 (7)決められた事を決められたとおり実行しているか、チェック・コントロールすること

 (8)行動計画、行動管理を徹底し、やらざるを得ないシステムを組み込むこと

 

先手必勝・後手必敗

 外出の際、出かける方向に雨雲が見えたら、傘を持って出ることが先行管理です。例えば、1月に5月の社員旅行が決定し、滞りなく実現、催行させるための諸準備、手配が先行管理。より早く見通しを立て、それによって対策、対応を適切に行うことが出来る。

 この見通しを立てるために「三つの鏡」があります。

 A:顕微鏡(今日・明日)

 B:双眼鏡(1~3~6ヵ月先)

 C:望遠鏡(6ヵ月~1年~3年先)
    

トリプルチェック(3ヵ月先行管理)

 1月には、3月の事、2月の事、1月の事を準備、対策・行動し、3月には、3回目のチェックが行なわれた上で行動がなされる。これをトリプルチェックといい、仕事のピントを合わせ、考え方、行動の仕方のズレをコントロールしながら、初期 の目標・目的を実現していきます。

業績・成果の上がらない原因

 (1)やる事(行動)が遅い

 (2)やる事(行動)がピントずれしている

 (3)やる事(行動)が具体的にされていない

 (4)やるべき事、やるべき人に対してのチェック・コントロールの欠如
 業績・成果向上のポイントは、上記の点を改善することによって決定される。
 さらには、

 (5)やるべき事、やり方が解らない
という問題意識、改善意識、目的意識の欠如と基本素養の欠如があります。よって、先行管理の考え方、手法が不可欠となるのです。

何を先行管理するのか

 (1)行動の先行管理

 (2)情報の先行管理

 (3)商材の先行管理

 (4)企画の先行管理

 (5)行事・催事先行管理

先行管理表の作成要領

 特に、先行管理は売上達成のための差異(差額)管理といえるのです。

 差額(差異)とは、計画とベースとの「差」であり、「ベース」とは、既存の顧客・商品・サービスと既存のやり方で最低限、間違いなくいくだろうと思われる数値。

 この計画との差額(差異)をつかみ、対策(差異対策)するのが「先行管理表」であり、後にこの表に基づいて行動管理、マネジメント・コントロールを行います。

 (1) 計画数値を記入する

 (2) ベースをつかみ記入する

 (3) ベース対策=固定客管理(又は基本行動)によって、過去実績も参考に「ベース」を把握する。

 (4) 差額(差異)を埋める為の商材をつくり、商材を当てはめることからスタート((売上げをつくる商品)

 (5) 差異対策は金額で表わし、金額は差額の120%以上つくることが原則。

 (6) 対策は 5W2H の要領で具体的に記入する。

 (7) 差異対策行動の結果が日を追ってベースとなる。

 (8) ベースは日を追って増加しなければならない。

 (9) ベースは、80%~85%程まで高めることが理想。

 (10) 対策、行動、結果は定期的に中間チェックする。

 (11) ニューベースをつくり、追加してゆくこと。

 (12) 先行管理は情報管理である。

 (13) 新規開拓も先行管理である。

(14) 作表が目的でなく、あくまでも目標達成と決定事項(差異対策)の実行が目的。

 以上のように計画との「差」、「不足」を先手先手で対策し行動して、差を埋めることが先行管理となります。

 

先行管理の導入と実践

1 導入の為の現状認識 

 販売計画並びに経営計画達成のためには、その販売機能・経営機能マネジメント機能が適時適切に機能し、発揮されているか、又、経営目的達成に向けての判断、意志決定に迷いが生じないように、自社を取り巻く市場環境、業界特性をはじめとする経営環境の現状認識が正しくされていなければ、手法が手段としてではなく、目的化され、実践成果を出すためのシステム確立は不可能となってしまいます。

 さらに、経営計画書と先行管理は直結・連動していなければなりません。

 もし、経営計画書がなければ早急に作成してください。

現状認識のポイント

*自社の業種・業態特性(及び営業特性)

*自社を取り巻く市場・販売環境

*ライバル動向

*業績の実態把握(過去3ヵ年、得意先・商品・サービス種目・地区)

*現状の問題点

*営業担当者のストロング・ウィークポイント

*幹部マネジメントの現状把握

*セールスマン並びに全社員のモラール
 (モラル・・・一般的な道徳観のこと モラール・・・職務遂行上における意欲のこと)

*自社のビジョン、経営理念、方針

2 導入時の留意点 

 導入時の現状認識をふまえ、次の点について把握・確認をすることが肝要です。

*営業担当者の能力(知識・技術・態度)

*マネージャー の管理能力、適性

*業績検討、チェック・コントロールの会議制度(先行管理会議の提案)

*業績検討資料の現状、作成の内容

*ベースのとらえ方の確認 

 

目標達成のための管理手法 

(1)業績先行管理

 業績が伸びない会社の特徴として、まず「結果管理」になっていることが挙げられます。「今月は業績が良かった」あるいは「良くなかった」と、その月が終わってからあれこれ言ったところで結果を変えることはできません。結果を検証し、次につながる戦略を立てることが重要です。
 しかし、安定した業績を上げるためには、締日までの確定売上げと目標との差額がプラスかマイナスかを見極め、マイナスならどのようにして埋めるのかを明確にする必要があります。そして、差額を埋めるための具体的な見込み情報を 5W2Hでチェックする。

 業績を管理する期間は、当月だけでなく、3ヵ月先、できれば6ヵ月先まで行うのが望ましいでしょう。そうすることによって、どの段階の受注状況でも把握できるようになります。もちろん、業種によって先行管理が可能な期間は異なるが、できる限り先まで状況を予測できるようにすることが重要となります。

 先行管理によって、目標と現状のギャップである差額を早めに把握できれば、目標を達成するために何をすべきかという対策を立てることができます。

 常に、「現在」「来月」「3ヵ月後」「6ヵ月後」の状況を把握し、事前に対策が打てるようにしなければならない。

(2)スケジュール先行管理

 目標を立て、安定して実績を上げるには、「業績先行管理」が重要です。

 では、具体的にどのような行動をすべきか。この行動も、先行で管理しなければなりません。

 訪問計画を立てる場合でも、例えば効率の良い訪問方法や活動の標準化、訪問の量的目標設定と基本的な回り方、ランクに応じたバランスの良い訪問活動などが重要となってくるが、この中でも、特に正確に評価したランクに基づいて、具体的に「いつごろ」「どこから」「いくら受注をするか」を、今週・今月・来月・3ヵ月以内・6ヵ月以内の訪問計画としてスケジュール表で管理する必要があります。また、再訪問が必要な場合には、再度スケジュール表に落とし込んで予定との調整を図ります。特に、訪問先の決定権者とのアポイントや上司の同行が必要であればしっかりと調整し、成果に結びつける活動ができるようにスケジュール化することが重要となります。

 このスケジュールの先行管理によって、業績の予測が可能になり、目標達成に向けた管理ができるようになるのです。

 

管理の「見える化」

 先行管理は非常に重要です。これを実際に機能させるためには、だれもがすぐに分かるような管理が必要となります。自分だけが分かっていても他のメンバーが把握できなければ、チーム一丸となって目標に向かう体制が取れなくなり、結果として業績が上がりにくいのです。
 また、営業担当者だけでなく、他部門のメンバーのだれが見ても状況がひと目で分かるように、また、だれもがすぐに見られるように掲示することも重要になります。

 「見える化」がうまく機能していない事例として、情報をデータベースや会議室のホワイトボードの裏に掲示するなど、「見る」意思がなければ見えない状態にあることが挙げられます。このような状態でも、管理ができていると思っている経営者や幹部が多いのではないでしょうか。

 本来の「見える化」は、現在の状況が嫌でも目に入る状態をつくり出すことです。

 そして、業績や見込み情報、行動予定(スケジュール)が常に更新される環境をつくらなければ、「見える化」は機能しません。
 情報が更新されなければ、上司だけでなく、同僚や管理部門のメンバーがチェックできる仕組みにしておけば、担当者の意識も変わるはずです。

 重要なことは、目標達成のために現状を把握し、それぞれの担当者が何をすべきかを全員が共通して認識し、活動する仕組みをつくることです。 

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