会社の経営を安定させるには

   幸福の科学総裁 大川隆法 人生の羅針盤第93回

 「キャッシュ・フロー経営」というものが、いま、だいたい主流になってきつつあります。

 この場合、支払いもキャッシュ(現金)なら、受け取りもキャッシュにして、両方を統一しなくてはいけません。受け取りのほうは手形で、支払いのほうだけキャッシュで払っていたりすると、これは具合が悪いのです。受け取りが手形なら、やはり、払うほうも手形にしなくては、損をします。

 

投資には不要不急のお金を当てる

 そのように、キャッシュ・フロー経営に切り替えて、そういう資金繰りで物事を考えれば、倒産をしなくなってくるので、それについては、技術として知っておくべきである、マスターすべきであるということです。

 一年もやれば、だいたい分かるはずです。これは、「日繰り」「週繰り」「月繰り」「三カ月繰り」について、それぞれ、フォーマットというか、そういうかたちの表が市販されているので、それを使って、ちょっと練習し、やってみればよいことです。

 あとは、だんだん、その商売での現金収入を増やし、現金残高を増やしていくことです。そうすることによって、倒産を免れると同時に、経営が非常に安定します。

 そして、現金収入のなかに不要不急のお金があれば、それを投資に当てるのです。事務所や工場を建てたりする場合は、自分たちが持っているキャッシュのなかで、いますぐは要らないお金、運転資金として使わないお金の部分でもって投資をするのです。

ところが、この部分で、銀行からお金を借りて投資したら、これまた返せなくなって、あとで首が絞まって苦しくなります。

このように、「黒字にしていく」という考え方を徹底的にやっていくと、おそらく経営は安定していくだろうと思います。なるべく、そのように考えていってください。

参考

会社を倒産させないために

   対機説法シリーズ 人生の羅針盤第92回

原則、手形による決済はやめたほうがよい

 もう一つ、黒字でも倒産することがあります。これは、貸借対照表の左側の資産の部に、売掛金や受取手形が入っていて、計算上は黒字のはずなのに、現実には、取引先が潰れて、受取手形がだめになったり、売掛金の回収ができないまま、相手に逃げられたり、「ないものを払えるか」と向こうに頑張られて、お金が取れなかったりというようなことが原因で、現金が入ってこないために、月末の支払いなどができなくなって倒産するという場合です。

 手形というものは、はっきり言えば、個人や企業が発行する日銀紙幣のようなものなのです。自分で日銀と化して、手形という紙幣を勝手に発行しているのです。

 「私の信用からすれば、三カ月後には、このぐらいの収入が入るから」と言って、手形を払い、相手方も手形を払って、お互いに信用でやっているのです。しかし、いまは、あちこちで会社がバタバタと潰れているような状況なので、手形でやっていると、どこかの会社がパシャッと潰れると、関連しているところが、すべて連鎖倒産していくのです。

 手形決済の場合、支払うほうは、「手形を切って、一定の期間、支払いを待ってもらう」ということにして、現金の代わりに手形を渡します。それを受け取った相手方は、「その手形を銀行に割り引いてもらって、現金を回収できればよいのだから」と考えます。

 手形には、「九十日手形」や「百二十日手形」がありますし、もっと長いものになると、”台風手形”というものもあります。台風手形というものを、みなさんは知らないかもしれませんが、これは、二百十日、七ヵ月の手形で、目茶苦茶、期間が長いのですが、「そのころまでには、お金が入っているだろう」というような手形です。こういう台風手形というものもあります。

 しかし、手形は、社長の信用だけで、個人が発行する紙幣のようなものなので、一つの会社が潰れると、あちこちが連鎖して潰れていくのです。

 企業倒産のほとんどは手形が原因です。「手形の不渡りを出す」ということで倒産します。あるいは、不渡り手形をつかまされて倒産するのです。

 結果的に見たら、現金が手元にないために、現金決済のところで支払いができなくなるのです。これを支払うためには、どこかから借金でもしてこなくてはならないのですが、いま、銀行は、貸し渋りをしたり、個人にはめったに貸してくれなかったりということで、キャッシュ、現金が手に入りません。これで支払いがなくなって潰れるということが、倒産の主流です。

 

原則、手形による決済はやめたほうがよい

 事情があって、どうしても手形による決済をやめられない会社もあろうかと思いますが、原則、受取手形、支払手形など、手形による決済は、もうやめたほうがよいのです。

 「手形ではなく現金決済をしていて潰れた」という会社は、ほとんどありません。そういうことは、ほとんど聞いたことがないのです。

 倒産の原因は、ほとんど手形です。やはり、三ヵ月後や四ヵ月後の甘い将来設計で、「お金が何とかなる」と思っていたにもかかわらず、「ならない」ということで潰れているのです。

 現にある現金以外は使えないということです。「相手に現金で払い、相手からも現金で払ってもらう」というスタイルであれば、現金の残高がどうなるかを、毎日、見ていけばよいのです。これを「日繰り」といいますが、「日繰り表」で、ずうっと、「何月何日は、残高はいくら」と、だいたい読めるのです。

 それから、週末の残高を見る「週繰り」もありますし、月末の残高を見る「月繰り」もあります。さらには、「三カ月繰り」「六カ月繰り」もあります。

 このような「資金繰り表」というものを、小さな会社の社長さんは、あまり使っていないかもしれませんが、この現金の残高が、要するにショート、不足にならなければ、会社は潰れないのだということです。

 商売としては赤字であっても、現金残高があるかぎり、絶対に潰れません。企業の決算が赤字でも潰れないのです。

 ところが、決算が黒字でも、現金残高のところが、ショート、要するに不足すると、倒産します。これが「黒字倒産」です。この場合、「受取手形や売掛金があるから、儲かっているはずだ」と社長は思い込んでいるのですが、それが現金にならないかぎり、お金が払えないので、会社は潰れるのです。

参考

経営と真理 へ

「仏法真理」へ戻る