「時間貧乏」から救う 「凡事徹底」の働き方改革

「予習型」の習慣をつくる

 自分の行動を記録していくと、無駄な時間は 意外に「仕事の中」にあることに気づくだろう。次々と舞い込む案件をいくつも抱えて、判断できないまま延々と悩み続けていれば、長時間働いても生産性は限りなく低い。

 その日にできるものは、時間を区切って「即断即決」を心がけ、手元の仕事を消し込んでいくことが必要になる。

 そのためにも、一日の始めに、その日にやるべき仕事と時間の段取りの目標を立てる「予習型」の習慣をつくり、前倒しで仕事を片付ける努力が要るだろう。

 予習型の人生は業務知識などの勉強でも大事です。10年後、20年後も価値の高い仕事を続けるためには、目の前の仕事をただこなすだけでなく、日々新しい知識やスキルを学ぶ必要がある。

 そうした時間を確保するためにも、テレビやスマホなどの娯楽の時間を見切る厳しさも必要です。

 

「利自」から「利他」へ

 幸福の科学大川隆法総裁は、著書『凡事徹底と静寂の時間』の中でこう述べている。

作業的なものであっても、毎日毎日、淡々と続けていくことは、自分の生活のリズムを維持するとともに、自分の仕事の『目的性』を失わないためにも大事なものがあるということは知っておいてください

 家やビルを建てる時のように、予習型の仕事で強固な土台を築ければ、その後は淡々と作業をこなしていけばいい。

 大川隆法総裁は、同書で、一見、セルフィッシュに自分の時間をつくり出しているような人には、実は、その後は利他的になっていく傾向があるとも指摘する。

 自分の時間をつくり出すために努力することは、短期的には「セルフィッシュ」に見えるかもしれない。だが、長期的には、組織のリーダーが陰の努力を積み重ねることで、組織のプロジェクトの土台作りにも貢献できる。「利自」の努力が「利他」につながる。軽視しがちな凡事を徹底することが成功への近道です。

 

「考える力」が武器になる

 忙しく働いていても、それで成果が上がらないなら、何かが足りないということ。一体それは何なのだろうか。

 組織の方向性を決めるのはリーダーの「考え」です。そこに間違いがあれば、成果は出ず、すべてうまくいきません。リーダーは「正しい考え」を持つ必要があります。

 そのために何をすべきか。 まず反省が必要です。 成功しても失敗しても「やりっぱなし」で反省しない人は、自分の判断を独善的に「正しい」と思い込んでいて、いつまでも人生のステージが上がりません。

 一人になって自分の判断を振り返る。その時間の積み重ねが判断をより正しいものに近づけてくれます。

 

良書で正しい考えを知る

 また、良書を繰り返し読んでください。 リーダーには『論語』などの古典や仏教書を読むことを勧めています。長く読み継がれてきた本には、時代を超えて人々を導く普遍性があるからです。松下幸之助さんや稲盛和夫さんといった優秀な経営者の本もお勧めです。

 良書には、思想家や成功者の優れた考えが詰まっています。それを薫習していくと、判断する際の「自分の軸」ができ、ぶれたときにもチェックできます。

 日々、新聞を読むことも大事です。一面だけでなく政治面や国際面なども、大きな記事のリード文だけでもよいから読む。それは、自分の関心を世間の関心に合わせる訓練です。

 事前にインプットがないものは絶対にひらめきません。普段から色々な知識や情報をインプットしているからこそ、それらを結びつけて、新しいアイデアが生み出せます。世の中で起きている問題に関心を持つことで、「何か改善できないか」という気持ちが湧いてくるのです。

 

考える力で本質を見抜く

 リーダーでも、「景気が悪くなった」と目先の「現象」に振り回される人もいます。大切なのは現象をどう解釈するか、つまり「考える力」です。

 便利な世の中になって、現代人の考える力が弱まっている中、思考力が高ければそれが強力な武器になります。

 考えることによって、現象の底流に流れる物事の本質を見抜く。それを仕事の判断に反映させ、成果につなげる。本当の成功は正しい思いや行いの先に築けるものです。

 

「静寂の時間」こそ多忙なあなたを救う

 立場が上がって仕事が忙しくても「静寂の時間」をつくり、上手に使い続けた人はどうなるのだろう。

 「早め早めの仕事を心がける」「同時並行処理を心がける」「即断即決する」「重要でない部分は見切る」「仕事を部下に任せる」 このような経営者としての「凡事」を「徹底」することで、忙しくとも静寂の時間を生み出すことは可能です。その時間を上手に使うとどうなるのか。

人格が向上する

 まず、静寂の時間に自らの思いや行いを反省したり、心の肥やしになるような良書を読むことで、人格が高まっていく。

 思慮深く不動心のある「深沈厚重」な人物こそ、人の上に立つ経営者やビジネスリーダーに相応しい。

 経営における最終的な決断を下すのは経営者などのリーダーですが、その決断には必ずリーダーが根っこに持つ価値観が反映されます。

 つまり、「お客様の幸福を第一に、社会に貢献しよう」と考える経営者が最終的に成果を上げるということです。

仕事の成果につながる

 また、静寂の時間に、「お客様を喜ばせるにはどんな商品やサービスが必要か」と考え続ければ、よいアイデアも生まれてくる。

 瞑想でアイデアを得ることを大切にする経営者は多い。

 iPodやiPhoneなど革新的な商品を生みだしたアップル社創業者のスティーブ・ジョブズ氏。Windowsを開発したマイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ氏。彼らが瞑想の時間を取り、アイデアを得ていたことは有名です。

 京セラ・第二電電(現KDDI)社創業者で若いころから瞑想の習慣があったという稲盛和夫氏も見事、日本航空(JAL)の再建を果たしている。

未来の仕事が変わる

 さらに静寂の時間には、未来の仕事を変える力もある。

 静寂の時間に深く瞑想することで「会社のあるべき姿」が見えてくる。そのビジョンを維持し続け、そのための努力を惜しまなければ、それは将来、現実化してくる。

 大川隆法総裁は『凡事徹底と静寂の時間』でこう述べている。

自分自身の固有の時間を、『将来のための勉強の時間』としてつくり出さなければいけません。そのためには、仕事の中身の片付け方が大事で、やはり、『一日一生』の考え方を持っていなければいけないわけです」

 現在の勉強や努力、構想していることが10年後の未来をつくっている。つまり、「未来の種は現在にある」。その未来をつくる種を育てる土壌こそ静寂の時間なのです。

参考

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