ビジョンと戦略型経営
多くの企業は、確固とした企業(経営)理念を確立し、それに基づいてビジョンと経営戦略を練り上げ、計画的かつ着実に実施していくことが不可欠となっています。
今、多くの経営者は、「管理経営」から「経営管理」へのステップアップを果たすこと、すなわち、「ビジョン・戦略型経営」への転換が求められているのです。
管理万能・経営計画万能主義からビジョン・戦略型経営へ
かつて、昭和30年代半ごろから50年代前半にかけて「管理」主義論が唱えられたことがありました。当時の中小企業の多くは、経営のあらゆる場面で「管理」が不十分だったため、大企業等ですでに試された「管理」技法を中小企業に導入することによって、見違えるように経営が改善され、業績が伸びた例も少なからず見られました。その後、1950年代後半から平成のバブル期にかけては「経営計画」が重視されるようになりました。この時期には、計画のないところに収益なし とする「経営計画」万能論が盛んにいわれました。
このようにして、多くの中小企業で「管理」や「経営計画」が根づくようになりましたが、この場合の「管理」とは、財務管理、販売管理、労務管理、生産管理といった経営の各分野ごとの管理をいい、いわゆる経営管理全体を総称する「マネジメント」を意味したものではありませんでした。
また、「経営計画」も、売上高目標と経費予算を中心とした単年度予算をもとにした「予実管理」(予算と実績の管理)であったり、中期計画といっても、せいぜい2~3年程度の短期計画として編成され、中長期の企業の未来像を示したものではなかったのです。そのため、「経営計画」はしばしば「ノルマ」の形をとって従業員に重くのしかかり、多くの従業員にとっては、働く者の夢とはほど遠いものであることが少なくありませんでした。「経営計画」も「管理経営」の方法の一つであり、「経営管理」(マネジメント)ではなかったわけです。
しかし、今日のように激変する経営環境下では、目先の「管理」やノルマ的な「計画」だけで変化に対応できる状況ではなくなってきています。また、従業員の価値観や勤労観も多様化しています。したがって、企業の目指す近未来像(ビジョン)のもとに全従業員を結集することが重要になっています。
今日のように構造変化が激しく進む時代にあって、多くの経営者は、「先が見えない、読めない」という悩みを抱えています。それは、ちょうど創業期の何年間かにも似ています。
創業期には、創業者をはじめ全従業員が理想に燃え、企業の将来の夢を実現するために必死になって活動し、その中から新しい技術や製品、ノウハウなどを創り出したに違いありません。そして、そこでは必ずや戦略的思考があふれていたはずです。
今日のような激動期は、創業期以上に先が見えなくなっています。だからこそ、夢やロマンをビジョン化し、戦略的に経営を展開することが必要なのです。
不透明で先の見えない時代だからこそ、高い志をビジョンとして掲げ、全従業員をその旗のもとに結集させるとともに、従業員一人ひとりの多様なアイデアと創意を生かした戦略経営が不可欠となっているのです。