経営戦略とマーケティング戦略

 経営戦略とマーケティング戦略は重複部分も多く、明確に切り分けることはできにくいものです。素晴らしい経営戦略を策定しても、肝心のモノが売れなければ、それは机上の空論、会議時間の無駄遣いとなります。経営戦略はマーケティング戦略を必ず含んでいる必要があります。

 経営戦略とマーケティング戦略をあえて切り分けると、以下のように考えます。

 「経営戦略」においては、「戦場・市場」の選択が一つの重要な意思決定となります。どの市場で戦うのか、新規参入・撤退など(M&A、事業部売却などのドラスティックな方法もその手段となりうる)も含めた、会社に大きな影響を与える決断です。さらに、独自資源、すなわち設備投資、他社のM&A、社員育成・教育、文化涵養、などの会社が長期的に投資すべきものまでを含みます。

 これに対し、マーケティング戦略は、顧客接点での比重が大きくなります。ある戦場で、ある独自資源を使うという前提の元で、顧客セグメントの決定、差別化戦略の策定などがマーケティング戦略の主要な役割となります。

 

マーケティング戦略の基本

 マーケティング戦略とは、

 ・どんな価値を: ベネフィット、Value Proposition
 ・誰に: セグメンテーション&ターゲティング
 ・どのように差別化し: 手軽軸、商品軸、密着軸
 ・どのように具体化するのか: 4P(製品、価格、販路、広告・販促)

の一貫的な考え方なのです。

 

マーケティング戦略と販売・営業戦術

 そして、マーケティング戦略は、販売・営業の戦術レベルの施策を統括するガイドラインともなります。どのようなチャネルで販売するか、どのような販促を打つか、どんなCMを流すか、という戦術的な各施策は、「誰に、どのような差別化戦略を、どのように具体化するのか」というマーケティング戦略に依拠します。

 当然ですが、顧客ターゲットなどによって、取るべきチャネル、CM、販促施策などが全く異なるからです。つまり、経営戦略と最前線での販売・営業とをつなぐものがマーケティング戦略だと言うこともできるでしょう。

 これは、マーケティング「部」が営業「部」の上に来るとか下に来る などの次元のことではありません。マーケティング「部」が「宣伝・広告」「商品企画」「販促・プロモーション」などの限られた機能のみ担当している場合もあります。ここでは、部・課、などの組織の話ではなく、機能の話をしています。マーケティング戦略は、基本的には経営戦略の一部であり、全社で共有すべきものです。マーケティング戦略を考えるのは、マーケティング「部」や企画「部」、または社長かもしれません。しかし、その実行責任は社員・パート・アルバイトも含めた全員が負います。なぜなら、企業の存続は「顧客」次第だからです。そして、マーケティングは、その「顧客」について、直接の責任を負う機能なのです。

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