会社と顧客
経営を理解する時に最初に考えて欲しいことは、「経営に関わる人は誰か?」ということです。経営をするにあたって絶対に必要な登場人物は誰でしょうか。
経営に関わる人やモノは多いのですが、それらがないと成り立たないという必要不可欠な登場人物は2人だけです。それが「会社と顧客」です。この2人の登場人物が存在すれば経営は成り立ちます。
どのようにすれば大切な顧客との関係を上手に築いていけるのでしょうか。「2つの方向」が考えられます。
1つ目は「商品」を通して顧客との関わりをつくっていく活動。
2つ目は「営業」を通して顧客との関わりをつくっていく活動。
「商品」を通して目指す究極の関係は、「顧客にファンになってもらう」ことです。ファンとは、自社の商品が好きで好きでしょうがなくて、何度もリピートして下さる顧客であり、また、会社自体のファンでもあり、提供する商品の多くを利用して下さる顧客です。そういった顧客を生み出すための「商品力」を磨いていかなければなりません。
「営業」を通して目指す究極の関係は、「顧客にアンバサダーになってもらう」ことです。
アンバサダーとは、「自社の営業マン」のような存在です。自社の商品を何度もリピートして下さるだけでなく、周囲の人に宣伝してくれたり、実際に新しい顧客を紹介してくれる心強い味方の顧客です。こういった顧客を生み出すための「営業力」をつくっていかなければなりません。
また、「商品」を通して「顧客にファンになってもらう」ことができる会社、「営業」を通して「顧客にアンバサダーになってもらう」ことができる会社は、どういう体制であらねばならないのかを考えるのが「管理」という分野です。
会社は、顧客との「2つの関係づくり(商品・営業)」をサポートする社内の「管理力」も高めていかなければなりません。
経営のパフォーマンスを決める「3つの力」
経営には「商品力」と「営業力」と「管理力」の3つの力が必要です。
これらの「3つの力」を持つことができれば、「顧客との関係づくり」を高いレベルでできるようになります。そして、経営は成功していきます。
経営のパフォーマンス(成功度)は「3つの力」の掛け算で決まります。
「経営のパフォーマンス」 = 「商品力」×「営業力」×「管理力」
最終的にはバランス良くそれぞれの力を高める必要があります。
注意が必要なのは、3つのうちの1つが「0」だと全体が「0」になってしまう可能性があるということです。たとえば、商品力の高い魅力ある商品を持っていて、それを多くの人に売る力があって売上が上がっていたとしても、それらが掛売りで売られていて、管理力がなく代金を回収できなかったら、黒字倒産してしまうような可能性があるということです。
4つの価値」をつくって「顧客をファン」にする
商品は、基本的に「4つの価値」があって初めて売れます。
商品力を高めていくと考えると、商品の機能的な価値である「絶対価値」だけに目を向けてしまいがちですが、顧客はそれだけで価値を判断して商品を買っているわけではありません。4つの価値を総合して価値を決めているのです。
商品力の4つの価値
①存在価値・・・ミッション
②絶対価値・・・商品力の29Cuts
③相対価値・・・ポジショニング
④認知価値・・・ブランディング
「4つの価値」のそれぞれの価値に配慮し、それぞれを高めていかないといけません。「顧客をファン」にするレベルを目指すためには、「4つの価値」で高いレベルを目指しましょう。
サイレントセールスで「自然に売れる仕組」を構築する
顧客が自社の営業マン(アンバサダー)になってくれるようにするには、「売り方」が重要です。
ただ単に売るというのではなく、顧客と良い関係を構築しながら販売できるように、「自然に売れる仕組」を構築していかなければなりません。そのような売り方を「サイレントセールス」と呼びます。
より良い人間関係を構築するためには、「段階」(ステップ)を意識することが必要です。相手との距離に応じた段階的な付き合い方をすることができれば、良い関係を自然につくることができます。
営業の現場も人間関係の場ですから、大切なことは同じです。顧客との距離に応じた段階別の対応が成功への鍵です。
顧客との段階は「4つのステップ」に分けられます。
それぞれのステップですべきことを行って、顧客との距離を自然に縮めていきましょう。
営業の4ステップ
①集客
②見込客フォロー
③販売
④リピート
社長が不在でも回る体制にして「事業を永続」させる
「商品力」と「営業力」を下支えする力が「管理力」です。
「商品力」と「営業力」は直接的には事業の「発展」に寄与することに対して、「管理力」は事業の「継続」に寄与していく力です。
起業時などは「商品力」と「営業力」のほうが優先順位は高いのですが、一時的な成功は長期的には意味がありませんから、「管理力」も磨いていきましょう。
管理力のゴールは「社長が不在でも回る業務体制」をつくることです。
社長が不在でも日常業務が回るということは管理力が高い証拠です。また、この体制ができると、社長は本来の社長業に専念することができるようになり、会社全体の力が飛躍的に伸びるのです。事業が軌道に乗ってきたら、あなたが日常業務をしなくてもすむ体制の構築を目指していきましょう。