販売計画

 販売計画は、いくらのものを何個売るかを予定したもので、売上をどうつくっていくかという計画です。販売計画を作成するうえでは、売上がどのような積算で成り立つかを考える必要があります。

 業界や競合企業の状況、地域の事情、業歴(認知度)を踏まえて、1年目、2年目、3年目の売上を設定していきます。

(1)取扱商品・サービスのアイテム数が少ないとき、又は顧客数が限定されているとき
 平均商品単価×年間販売数

 平均商品単価は、品揃え商品の平均単価です。年間販売数は、お客さんの数や一度に購入するボリュームも含めて予測します。また、取扱商品の詳細が決まっていないときは、主力商品とその他の商品群にわけて積算してみるのもよいでしょう。

 

(2)取扱商品・サービスの幅が広く、顧客数が多いとき

 1日あたりの客数×客単価×年間営業日数

 客単価とは、一人のお客さんが一度の利用で購入してくれる金額

 このときの客数、客単価は予測になりますが、希望的観測ではなく、客数であれば、店舗がある通りの通行量や商品の特性(日常的に購入する商品か、そうでないのか)を考慮したりする必要があります。

 

(3) 店舗販売が中心のとき

 1坪(3.3m2)あたりの年間売上高×売場面積

 このときの1坪(3.3m2)あたりの年間売上高は、日本政策金融公庫のHP小企業の経営指標調査などで確認ができます。

 

(4) 飲食店や理美容店などのとき

 客単価×席数×回転率×営業日数

 回転率は、設置してある座席数がどのくらい回転したかといったことを図る指標です。例えば、10席ある店舗で100人のお客さんが来店したら10回転したことになります。
 一般的に、客単価が高ければ、回転率は低く、客単価が低ければ、回転率は高く設定するといった考え方になります。

 

 事業計画書の中では数値計画が重要です。特に、売上に関する計画(=売上計画)は重要性が高い。最終的には利益を出すことが目的ですが、利益の一番の元になっているのは売上だからです。いくら経費削減や原価低減をしても、売上がなければ利益が出ることはありません。

 売上計画の基本的な考え方を見ていきます。

 売上を分解すると、「売上=商品単価×購入数量×購入頻度」となります。

 例えば、1万円の商品1,000個を月に2回購入する取引先があるとします。

 月の売上を計算すると「1万円×1,000個×2回=2,000万円」となります。

 事業計画書の中で売上を伸ばしていくことを考えれば、これらのうちのいずれか、または全部を伸ばしていくことになります。

 パソコンメーカーであれば「機能を充実させた新製品を開発し、単価を上げる」、パン屋であれば「朝食用のパンを購入する人におやつ用パンを促すことによって、購入数量を増やす」、ラーメン屋であれば「今まで月1回しか来ない顧客に対して特典カードを発行することで、月2回に来店頻度を増やす」などです。

 このように考えると、自社がどのような業態かを考える必要があります。

 自社の業態から分析すると、以下のように分けて考えることもできます。

 ・営業を仕掛けてこちらからPRする

 ・店舗で顧客が来るのを待っている

 ・それらの複合系である

 どの企業に対してどのような対策を行うかということまで考えます。 

 新規営業であれば、どのような企業を対象にするのか、その市場規模はどのくらいかなど具体的に調べていきます。既存の取引先があるのであれば、「売り上げシェア上位2割の取引先に対してどんな対策を打つのか」「下位の企業に対してはどのように対応するのか」などを具体的にしていきます。そうすることによって、売上計画の精度が高まります。

 店舗型の場合、来店を増やしたり、購入数を増やしたりすることを考えるのと同時に、効率化を考えます。

 例えば、10席しかない飲食店では同時に入れる顧客数は限られます。そのため、顧客の回転率を考えなければなりません。

 旅館などでは、週末の稼働率が100%であれば、週末の売上はこれ以上伸びないということになりますが、平日の稼働率を上げることによって、売上全体の底上げを図っていきます。 

 よって、基本は「売上=商品単価×購入数量×購入頻度」ですが、各業種、各企業によってさらに細かく分析し、売上の計画を立てていくことなるのです。

 

売上原価計画

 販売計画を作成したら、次は売上原価の計画も立てましょう。

 売上原価とは、売上に対して直接掛かっている費用のことです。

 売上から売上原価をマイナスすると売上総利益が計算できます。

 売上総利益は「粗利」とも呼ばれ、利益の中でも基礎となるものです。

 売上総利益=売上−売上原価

 売上総利益から一般の費用(販売費および一般管理費)や営業外に掛かった費用などが引かれ、利益を算出していくので、売上総利益が黒字でないと経営が成り立ちません。

 その売上総利益を計算するためには売上原価が必要です。

 

売上原価に含まれる要素

 売上原価にはどのようなものが該当するのでしょうか。これは業種によって変わります。

・商品を仕入れてそのまま販売する業種の場合

 この業種が一番売上原価を計算しやすい。

 例えば、10万円のパソコンを仕入れて15万円で売るような業種です。

 「売上15万円-売上原価10万円=売上総利益5万円」となります。

 なお、仕入れても売上なければ在庫となり、売上原価になりません。

 

・材料を仕入れて加工し販売する業種の場合 

 この業種は少し複雑です。同じ費用でも製造に掛かる費用は原価であり、その他の費用と区別します。

 例えば、同じ人件費でもその製造工程に掛かる人件費は原価であり、本社の経理をしている人などは原価に入りません。これらを製造原価と言います。

 オーダーメイド製品のように、一品一品個別に製造する場合は、「その製品を作るためにどの材料を使ったか、どのくらい人件費が掛かったか」を計算できます。これを個別原価計算といい、直接かかった分を原価に組み入れます。

 しかし、大きな工場のように大量に多品種の物を製造している場合、どれがどの製品に費やされたかが分かりません。そのため、計算上で一個当たりの製造原価を算出します。これが総合原価計算です。

 

・その他の業種の場合

 サービス業などのその他の業種では、売上原価はそれぞれの業種によって異なります。 

 例えば、飲食店では材料費を原価にします。人件費や家賃なども基本的には原価に含めます。

 しかし、直接売上に関係しない作業をすることもあるので、それぞれの企業の判断によって例外的に原価を含めない場合があります。

 基本的な考え方としては、「売上に直接関係する費用については売上原価とすべき」ということです。

 

販売計画作成のステップ

 販売計画を策定するには、まず販売予測を行わねばなりません。

 そして、その予測に基づいて、一定期間における販売の量と金額を決定します。

 期間は一般的に、5年、3年、1年の期間で設定されることが多く、その中で3年、5年という中期・長期計画は、主に将来の経営戦略としての方向付けの一環として作成しますが、1年といった短期計画は、それを必達することが前提で策定されます。

 つまり、業務執行命令としての性格が強い計画となります。

 計画作成にあたっては、次のステップで進めます。

  販売需要予測 ⇒ 販売予測 ⇒ 販売目標 ⇒ 販売計画作成

販売活動との連動

 販売計画は、販売活動と連動させるため、製品別、販路・得意先別、営業所別、地域別などに細分化して、その運営と管理を行うことが大切です。

 精度の高い販売計画策定のコツの1つとして、個別計画の策定から入る(全体計画を策定する前)のも良いでしょう。

販売計画の作成方法

 具体的な作成方法としては、一般的には、商品や製品などの売上数量と単価を個々に見積もり、それを積み上げて、売上高を計算する方法がなされていますが、
 その他には売上高の算定方法には以下のような方法もあります。

①顧客一人当たりの平均売上高を算定して、一定期間の売上高を予測する。

②稼働時間の単位時間当たりの売上高を算定して、一定期間の売上高を予測する。

③営業スタッフ一人当たりの平均売上高を算定して、一定期間の売上高を予測する。

④店舗面積の単位面積当たりの平均売上高を算定して、一定期間の売上高を予測する。

 いずれにせよ、販売計画の精度を高めることができるように、業種・業態の事情に合わせて適切な基準単位を決定することが肝要です。

販売単価の検討と売上高・粗利益の構成

 売上高予測のための適切な基準単位が決まったら、商品の仕入原価やその事業にかかるさまざまなコストを考慮して販売単価を決定します。

 販売の見込み数量の設定については、単なる思い込みの数量ではなく、その商品・サービスにどのくらいのニーズがあるのか、成長性はどうかなどを慎重に検討して数量を見積もります。
 その際に重要なポイントは、売上高や原価、粗利益高の構成が全体的に整合性のとれた無理のない計画であるかどうかを検討することです。

 そして、再考の必要があれば、数量、単価、原価を修正したうえでシミュレーションを繰り返します。

 

 販売計画とは、何円の商品・サービスを一定期間にいくつ売るかの見積りです。販促計画は、商品・サービスをどのようにして広く知ってもらい売るか、仕入計画は、売上を上げるために何を何円でどれだけ仕入れるかの見積りです。

 販売計画や販促計画は、ここまでに見てきた事業内容や現状分析から明らかになるものであるとともに、数値に落とし込んで検討していくことで、事業内容や現状分析を見直すきっかけにもなります。多くの場合、双方を調整していく過程で繰り返して見直し、事業の実現見込みを高めていくことで事業計画を練っていくでしょう。

 ここで売上について理解しておくべきことを説明します。売上の計算にはいくつかの方法があります。
(1) 売上=平均単価×販売数
(2) 売上=1日当たり客数×客単価×営業日数
(3) 面積あたり売上高×売り場面積
(4) 客単価×席数×回転率×営業日数

 これらの計算式を用いて、業界や売り方、地域の事情などのデータと照合しながら、数値の見直しをすることができるかもしれません。販促計画も、これら計算式を当てはめてみて、より売上目標に近づけるように調整できるかもしれません。
 また、売上や仕入の入金・支払サイトについても入念にチェックしておきましょう。入金が1カ月遅れたばかりに資金ショート、というようなことが起こっては大変です。

 

販促・集客方法

 どのような販促や集客方法を活用し、どのように顧客に販売するかを具体的に検討します。

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