「値下げしない」という値上げもある
値上げして増えた利益は、あくまで品質の向上や従業員の給料、販促費などに充てて、「善の循環」を生み出していくためのものです。したがって、値上げは決して悪ではありません。 むしろ無理に値引きして、倒産してしまえば、商品を気に入ってくれていたお客さんはがっかりします。
ただし、売れなかったらすぐ値下げするような、安易な値上げはすべきではありません。顧客の信用を失うからです。
一方、値下げはすべて善かというと、実際には不要な値下げがたくさんあります。 たとえば、客が見積もりを黙って読んでいると、「もうちょっと下げましょうか」と自分から言い出す営業マンがいます。これは自社商品の良さを腑に落とせておらず、自信がないのが原因です。
不要な値下げを止めるのも、実質的な値上げであり、それを徹底するだけでも収益が改善する会社は多くあります。営業マンの教育にひと手間かけているか否かでも差がつくのです。
利益を上げることは、経営者も従業員も顧客も、皆を幸せにします。本来、経営は人を幸せにするものであるはずです。そのためには、値下げだけでなく、時には 「100円の商品を150円にするには、どのような付加価値が必要なのか」を考えることも大事ではないでしょうか。
付加価値の創造こそ対デフレ戦略
消費増税後は、これまで以上にターゲットやコンセプトを練り込んだ商品や、それを使う人のきめ細かいニーズにミートするサービスが求められる。 消費者からの選別は厳しさを増すだろうが、それは逆に言えば、消費者が企業の努力を見逃さない時代でもある。
実際、長引く不況にもかかわらず、発展を続ける企業は、人々の満足や喜び、不満解消のために、自社にできることは何かを考え続けている。顧客の気持ちや願いに関心を集中させ、人を動かす動機づけや、付加価値を創造するという経済の原点に立ち返って、その能力を磨き続けることが求められるだろう。
デフレ下の経営戦略について、幸福の科学大川隆法総裁は、法話「忍耐の時代の経営戦略」の中でこう指摘している。
「社員一人ひとりが、企業内起業家として自分の部署等で、いかにして新規事業を立ち上げ、利益部門をつくり上げるかを考えなければなりません」「次から次へと押し寄せてくるように、ヒットがサイクル的に続いていくことが基本的に大事です。勤勉に、コツコツと堅実な努力を積み上げていく方針は外してはならないと思います」
大川隆法総裁の経営戦略をもとに、長引くデフレ下で成長している企業は数多い。まさに「知は力なり」である。
企業に勤める一人ひとりが起業家精神を持ち、顧客のニーズを発見・創造して、ヒット商品を送り出していく。その成功の連鎖を作り出した企業が、増税下を生き抜き、日本経済を支えることになるだろう。