自社・事業の強み

事業の優位性

 事業の優位性とは、自社・事業の強みを踏まえた上で、競合他社と比較したときの優れた点を明らかにすることです。
 先ず、自社・事業の強みを整理、分析していきます。自社の取り巻く経営環境のうち、将来の変化を踏まえながら、直接的なコントロールが利く事象についてピックアップします。その後、事象のプラス面に着目し、競合他社と比較していきます。

 

自社・事業の強み

 自社・事業の強みとは、具体的には「ヒト、モノ、カネ、ノウハウ」のなかで優れている点です。例えば、「経営者が幅広いネットワークを持っている」「特殊なノウハウで商品・サービスを提供している」「潤沢な自己資金を準備している」「事業に係わる特許権を得ている」といったことです。すべてのことを列挙するのではなく、事業を展開する上で優先度の高いものを記載しています。

  顧客から選ばれる事業となるには、「自社の強み」が明確になっている必要があります。競合他社より強い点がないと、顧客がその製品・サービスを選ばないためです。

 このとき、「強み」には2つのパターンがあります。「製品・サービス自体に強みがある」パターンと、「事業自体(もしくは会社自体)に強みがある」パターンです。

 自動車メーカーは独自の開発力を使って独自の車を作り出します。車自体に他社にない強みがある必要があります。

 インターネット通販大手のアマゾンは、扱っている商品自体は本などの他社でも売っているものなので、他社との差がありません。しかし、注文の仕組みや物流網の整備など、会社全体が他社と違う強みを持っていることになります。

 

強みの把握

 次に、「強み」をどのように把握するかという点です。

 「強み」だけを強調しても、第三者から見ればそれが「本当に強みなのか」と疑問に思うかもしれません。また、「強み」があるということは「弱み」もあります。

 ここで、あえて「強み」以外の部分も総合的に分析することによって、結果として「本当の強み」を発見したり明確にすることができます。

 これらを総合的に把握分析する方法が「SWOT分析」と呼ばれます。「強み」「弱み」「機会」「脅威」の英語の頭文字を取ったものです。

 「強み」「弱み」が会社内部のことで、「機会」「脅威」が外部のことになります。 

 「機会」とは、自社にとってどんな事がチャンスになるかという点です。景気がよい時には売上が上がりやすいので、それをチャンスととらえることができます。

 「脅威」とは、自社にとってどんな事がピンチになるのかという点です。法律の改正によってその事業がマイナスの影響を受けるのであれば、それをピンチととらえることができます。

 このように、「自社が強い」と思っていることだけを書いても説得力が低いのですが、「強み」「弱み」「機会」「脅威」まで把握分析していく中で、「強み」を記入することによって説得力が増すことになります。

 なかなか「自社の強み」が分からないこともあります。そのようなときに、SWOT分析を行い、「機会」「脅威」の外部分析をしているうちに、「自社の強み」に気付いたり、「弱み」を分析している中で「自社の強み」が明確になったりすることもあります。

 もちろん、「競合他社」が明確になっていないと、そもそも自社の強みと弱みが分かりません。「市場」が明確になっていないと「機会」「脅威」も分かりませんので、「競合他社」や「市場」を明確にしておく必要はあります。

  競合他社や自社・事業の強みを整理、分析したら、市場の中で起業して実施する事業のどこに優位性があるのかといったことを明らかにしていきます。事業計画書に記載するときは、ことばで記載するだけでなく、自社を含めた商品・サービスについての比較一覧表や十字線の図表などを用いるとわかりやすくなります。

 例えば、店舗を開店するときに、商圏内における優位性を十字線の図表で表現する場合は、十字線の縦軸と横軸の項目を設定し、商圏を大きく4の象限に分類します。その上で、競合店、自店を十字線の中に位置づけていきます。どのような軸を設定するのか、「ターゲットとするお客さんの属性」「品揃えの幅」「価格帯」「サービス提供速度」など、様々な軸の設定が可能でしょう。

 ここで留意することは、設定した軸で市場を分類した場合、4つの象限に空白(該当する店舗が存在しない)がでないような軸を設定することがポイントです。商圏内に多数の競合企業が存在する場合、明確に優位性を表現するのであれば、自店の最も特徴的な点を軸の項目として用いれば、自ずと自店が軸の先端側に位置づけられることになり、競合店との比較がはっきりと表現されます。
 また、競合状況の確認のために作成した表に自社欄を追加することで、優位性を表現するのもよいでしょう。

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