「リピーター獲得力」を高めるマインド

 事業を成功させるためには、リピーターを獲得することが重要だとよく言われます。ビジネスに限らず、恋愛などの人間関係においても、相手から信頼を得て、自分を”リピート”してもらうことは大切なことでしょう。しかしこれが意外に難しいモノ。「一回ならお客さんは来てくれるんだけど」「どうすれば相手の心をつかめるんだろう」。真剣であればあるほど、そんなつぶやきが聞こえてきそうです。

 マネジメントの父 P.F.ドラッカーは、著書『マネジメント』の中で、「企業の目的の定義は一つしかない。それは顧客の創造である」と述べています。

 その「顧客」とは、商品やサービスへの関わり(コミットメント)の度合いによって、以下の5つの段階に分けられます。

(1)潜在顧客:必要性に気付けば、顧客になり得る人

(2)見込み顧客:購買時期が近付いている人

(3)顧客:商品・サービスに出会い、実際に購入した人

(4)リピーター:商品・サービスを繰り返し利用してくれるファン

(5)ロイヤル・カスタマー:商品・サービスに惚れ込み、購入し続けてくれる人

 

顧客は「商品」ではなく「付加価値」を買っている

 幸福の科学大川隆法総裁は、著書『経営が成功するコツ』の中で、「顧客が『何のためにそれを欲しがっているのか』を考えることが大事」という趣旨のことを述べています。

 例えば、宝石を買うにしても、顧客は宝石という「モノ」が欲しいのではなく、それによって得られる「価値」を買っています。プレゼント用であれば、相手への愛や感謝の気持ちを伝えたい。自分用であれば、その宝石で素敵な自分を演出したい。顧客が、商品やサービス、またはセミナーなどを通して、どのような「価値」を求めているのか考えることで、顧客をより満足させることができます。

 

「サプライズ」で感動を与える

 顧客に商品やサービスを好きになってもらうためには、ちょっとした「サプライズ」が効果的です。「やはり、人というのは、『自分のことを覚えてくれている』とか、『名前を覚えてくれている』とか、『自分の趣味を覚えてくれている』とかいうことに対しては、驚きを感じることがあります」(『経営の創造』)

 売り手である店長やマネージャーは、顧客の名前や職業、以前に買ったもの等をよく覚えているといいます。高級ホテルのフロントやベルボーイは、顧客の顔と名前を覚え、顧客に「特別感」を提供しています。このような「気配りのサプライズ」の奥にあるのは、相手を喜ばせようという気持ちではないでしょうか。「ここまでやるのか」という驚きがあると、「また来たい」と思う顧客は多いでしょう。

 

毎回が一期一会の「真剣勝負」

 また、「人との出会いは一期一会」という気持ちで、毎回の機会に最善を尽くす心構えが、顧客満足を高め、リピーター獲得につながります。提供するサービスがマンネリ化したり、手抜きをすると、顧客は敏感に感じ取り、何も言わずに買わなくなってしまうこともあります。

「松下幸之助さんの言葉を使えば、これは、『経営は真剣勝負だ』ということです。彼は、そのような言い方をいつもしていましたし、繰り返し述べていました。『真剣勝負というものは、道場における竹刀での打ち合いとは違うのだ』ということです。これは、私も、折に触れて肝に銘じたものです。私は、今までに、いろいろな行事等を、二千二百回以上行ってきましたが、やはり、一つひとつ、真剣勝負というつもりでやってきました。(中略)それは、聴く人にも自然と伝わっていったのではないかと思います」(『「経営成功学の原点」としての松下幸之助の発想』)

 どのような商売でも、つきつめれば顧客に「幸せ」を提供することで成り立っています。自分中心の考え方ではなく、「顧客にどのような『幸せ』を提供できるか」という視点で振り返り、改善を積み重ねることが、顧客からの信用につながります。顧客を愛し、顧客からも愛される関係を目指していきたいものです。

参考

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